なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

尿中電解質

2018年10月11日 | Weblog

 10月6日に記載した感染性腸炎・脱水症・急性腎前性腎不全の45歳女性は、入院後の点滴ですぐに症状は改善した。腎機能の改善も早かった。

 血清クレアチニンは初診の10月4日が1.05mg/dlで、入院した10月6日が5.10mg/dl、翌10月7日4.32mg/dl(3連休なので悪化してないのを確認)、10月9日0.92mg/dlと軽快していった。

 経過からは脱水症による急性腎前性腎不全としたが、腎実質性も否定はできない。もっと腎機能・電解質検査で鑑別を図る必要があるのだろう。

 

 須藤博先生の講演(若手医師セミナー、CareNeTV)を繰り返して聴いているが、なかなか理解が及ばない。とりあえず、尿中電解質の検査はわかりやすいので今後は検査してみよう。

CareNeTV
Dr.須藤のやり直し酸塩基平衡
第10回尿中電解質の使い方

General rule

 "If you don't know
 what's going on,
 always save the urine."
 もし、何がおこっているのかよくわからなかったら・・・とにかく尿をとっておけ!

尿中電解質の使い方
 Na、K、Cl、Crを測定する

 尿Na 
   volumeの指標 
   腎前性VS腎実質性
 尿(Na+K)tonicity
  浸透圧の指標(水の出納) 
  低Na血症の鑑別
 尿K 
  低K血症の鑑別診断
  腎性K喪失の有無
 尿Cl 
  代謝性アルカローシスの鑑別診断
  生理食塩液の感受性VS抵抗性
 尿Anion gap(Na+K)-Cl
  NH4+の排泄 尿酸性化障害
  尿細管性アシドーシス、下痢の鑑別
 FENa
  腎前性vs腎実質性

尿中Cr
 尿検査における”モノサシ”
 ・体内での産生量=排泄量
 ・筋肉量によってきまる
  男性 20-25mg/Kg/day
  女性 15-20mg/kg/day
  簡単に20mg/kg/dayと覚える

 ・畜尿が正確かどうかの判定
 ・g・Crの排泄量でその物質の腎でのハンドリングをみる

尿pH
 ・正常範囲4.0~7.0
 ・著明なアシドーシスがあるのにpH>6.0
   尿の酸性化障害=RTA、CKD
 ・pH8.0 高い時
   尿路感染(リン酸アンモニウムMg)の可能性(urea splitting bacteria;proteus etc.)
 ・代謝性アルカローシスの回復期
   酸性尿→pH>6.0になると過剰のHCO3-が排泄されはじめた証拠

尿中Na、FENa
 容量調節系の指標
 ・腎血流量の指標
 ・摂取量と排泄(尿細管での再吸収)
 ・尿中Na低値
  ・腎前性腎不全(乏尿)
  ・腎血流量低下:心不全、肝硬変、ネフローゼ症候群
  ・閉塞性腎症の急性期
  (<24時間)
  ・急性糸球体腎炎

尿中Cl-
 代謝性アルカローシスの鑑別診断
 
 尿Cl-<20mEq/L
  ・生理食塩液反応性(Cl-反応性)代謝性アルカローシス
 ・体液欠乏を示唆
 

 尿Cl->20mEq/L
 ・生理食塩液抵抗性(Cl-抵抗性)代謝性アルカローシス
 ・鉱質コルチコイド過剰
   

尿中K+
 低K血症の鑑別診断(これはすぐに使える
 尿K+<20mEq/L
 ・腎外性喪失を示唆
  ・下痢・下剤
  ・嘔吐・胃管吸引
 尿K+>20mEq/L

 ・腎性喪失を示唆

  ・利尿薬

  ・多尿・K喪失性腎症

尿Anion Gap(UAG)
 UAG=(Na+K)-Cl
  AG正常代謝性アシドーシスの鑑別診断
 NH4+の排泄をみている 

 尿Anion Gap負の値
 ・HN4+が排泄されている状態
 ・下痢・下剤濫用

 尿Anion Gap正の値
 ・NH4+排泄に障害がある状態
 ・尿の酸性化の障害
  ・RTA尿細管性アシドーシス
  ・CKD

尿中(Na+K)の意味
 ・"尿のtonicity"
 ・浸透圧調整系の指標
 ・血清Na濃度がどのように変化するかを予測
  ・血清Na=尿(Na+K)なら 血清Naは不変
  ・血清Na>尿(Na+K)なら 血清Naは上昇
  ・血清Na<尿(Na+K)なら 血清Naは低下
  

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする