10月6日に記載した感染性腸炎・脱水症・急性腎前性腎不全の45歳女性は、入院後の点滴ですぐに症状は改善した。腎機能の改善も早かった。
血清クレアチニンは初診の10月4日が1.05mg/dlで、入院した10月6日が5.10mg/dl、翌10月7日4.32mg/dl(3連休なので悪化してないのを確認)、10月9日0.92mg/dlと軽快していった。
経過からは脱水症による急性腎前性腎不全としたが、腎実質性も否定はできない。もっと腎機能・電解質検査で鑑別を図る必要があるのだろう。
須藤博先生の講演(若手医師セミナー、CareNeTV)を繰り返して聴いているが、なかなか理解が及ばない。とりあえず、尿中電解質の検査はわかりやすいので今後は検査してみよう。
CareNeTV
Dr.須藤のやり直し酸塩基平衡
第10回尿中電解質の使い方
General rule
"If you don't know
what's going on,
always save the urine."
もし、何がおこっているのかよくわからなかったら・・・とにかく尿をとっておけ!
尿中電解質の使い方
Na、K、Cl、Crを測定する
尿Na
volumeの指標
腎前性VS腎実質性
尿(Na+K)tonicity
浸透圧の指標(水の出納)
低Na血症の鑑別
尿K
低K血症の鑑別診断
腎性K喪失の有無
尿Cl
代謝性アルカローシスの鑑別診断
生理食塩液の感受性VS抵抗性
尿Anion gap(Na+K)-Cl
NH4+の排泄 尿酸性化障害
尿細管性アシドーシス、下痢の鑑別
FENa
腎前性vs腎実質性
尿中Cr
尿検査における”モノサシ”
・体内での産生量=排泄量
・筋肉量によってきまる
男性 20-25mg/Kg/day
女性 15-20mg/kg/day
簡単に20mg/kg/dayと覚える
・畜尿が正確かどうかの判定
・g・Crの排泄量でその物質の腎でのハンドリングをみる
尿pH
・正常範囲4.0~7.0
・著明なアシドーシスがあるのにpH>6.0
尿の酸性化障害=RTA、CKD
・pH8.0 高い時
尿路感染(リン酸アンモニウムMg)の可能性(urea splitting bacteria;proteus etc.)
・代謝性アルカローシスの回復期
酸性尿→pH>6.0になると過剰のHCO3-が排泄されはじめた証拠
尿中Na、FENa
容量調節系の指標
・腎血流量の指標
・摂取量と排泄(尿細管での再吸収)
・尿中Na低値
・腎前性腎不全(乏尿)
・腎血流量低下:心不全、肝硬変、ネフローゼ症候群
・閉塞性腎症の急性期
(<24時間)
・急性糸球体腎炎
尿中Cl-
代謝性アルカローシスの鑑別診断
尿Cl-<20mEq/L
・生理食塩液反応性(Cl-反応性)代謝性アルカローシス
・体液欠乏を示唆
尿Cl->20mEq/L
・生理食塩液抵抗性(Cl-抵抗性)代謝性アルカローシス
・鉱質コルチコイド過剰
尿中K+
低K血症の鑑別診断(これはすぐに使える)
尿K+<20mEq/L
・腎外性喪失を示唆
・下痢・下剤
・嘔吐・胃管吸引
尿K+>20mEq/L
・腎性喪失を示唆
・利尿薬
・多尿・K喪失性腎症
尿Anion Gap(UAG)
UAG=(Na+K)-Cl
AG正常代謝性アシドーシスの鑑別診断
NH4+の排泄をみている
尿Anion Gap負の値
・HN4+が排泄されている状態
・下痢・下剤濫用
尿Anion Gap正の値
・NH4+排泄に障害がある状態
・尿の酸性化の障害
・RTA尿細管性アシドーシス
・CKD
尿中(Na+K)の意味
・"尿のtonicity"
・浸透圧調整系の指標
・血清Na濃度がどのように変化するかを予測
・血清Na=尿(Na+K)なら 血清Naは不変
・血清Na>尿(Na+K)なら 血清Naは上昇
・血清Na<尿(Na+K)なら 血清Naは低下