なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

認知症の診断は難しい

2018年10月08日 | Weblog

 糖尿病で通院している80歳男性は、2年前に退職した内科の若い先生から引き継いで診ている。HbA1cが7.5%で特別に良くもないが、まあまあといったところだった。

 名前を呼ばれると診察室に入ってきて、検査結果の話をしてもあまり関心がない様子で、特に質問するでもなくあっさりと出ていく。いつも一人で通院していたので、家庭内での様子はわからない。

 1か月前に娘さんもいっしょに診察室に入ってきた。自宅では昨年からぼおっとしていて、積極的に何かをやろうとする意欲がないという。身体的な動きは年齢相当で、錐体外路症状もなかった。食欲はあり、特に体重の変化はない。睡眠障害もなかった。意欲がないことを指摘するとそんなこともないと否定して、あまり何度も言うと怒るそうだ。認知症ではないかと言う。

 長谷川式HDS-Rは21/30点、MMSEは22/30点だった。頭部MRIでは全体的に軽度の脳萎縮がある。有意な脳血管障害や腫瘍はなかった。アルツハイマー型の評価としては、VSRAD advance2は1.85と、「関心領域内の萎縮がやや見られる」だった。側脳室周囲に広範は白質病変があり、Binswanger型白質脳症ととっていいのだろうか。そうなると(脳)血管型認知症になる。

 神経内科新患外来(外部の病院からのバイト)で診てもらったが、認知症ではないということで、脳波検査が行われた。脳は判定は軽度脳は異常とされて、抗てんかん薬のイーケプラが処方された。娘さんは、痙攣のないてんかんもあると言われたという。発作的に動きが止まったり、反応が低下するわけではない。

 老年期うつ病ではないかとも思ったが、違うようだ。身体的な検査でも甲状腺機能低下もビタミン不足もなかった。認知症薬(コリンエステラーゼ阻害薬)を開始しようと思ったが、神経内科で抗てんかん薬が処方されたばかりで、認知症疑いで紹介したこともあり、少し経過をみてから検討する。

 一度検査しておけば、3か月後、6か月後に症状の推移をみたり検査を再検していける。

 

 

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