昨日内科新患を診ていて先生(大学病院から出張=バイト)から、膵炎の患者さんがいて、と連絡が来た。外来でいいのか入院にすべきか迷いますという。
患者さんは65歳女性で、アルコールは機会飲酒で日本酒1合かビールジョッキ1杯を1週間に1回飲むか飲まないかくらいだった。普段は住んでいる町の病院に通院していて、カモスタットメシル酸塩(フオイパン)の処方を受けている。そちらの病院に25歳・28歳・51歳時に3回入院していた。普段は無症状だった。
今回は受診3日前に日本酒1合を飲んだそうだ。症状はその後から出ている。軽度だが心窩部痛が続いて、別の町の医院を受診した。病院で診てもらった方がいいと言われて当院に来ていた(紹介状はない。たぶん医院近くの基幹病院を想定して言った?)。当院は初診になる。
血清アミラーゼ500、尿アミラーゼ2000と上昇していた。白血球数は正常域でCRPも陰性。肝機能障害はない。外来の先生が腹部造影CTを行っていて、膵臓は全体的に萎縮していて腫脹はない。周囲脂肪織に炎症像があるとは言い切れない、膵頭部に石灰化があった。主膵管は軽度に拡張していて、ちょっと走行が変だ。総胆管に胆石はない。
患者さんを診察すると、腹部は平坦・軟で心窩部にごく軽度の圧痛がある。食事はとれて、それでの症状増悪はないそうだ。入院する気はなく、診てもらって薬をもらうくらいのつもりで受診していた。FOY入りの点滴を夕方までかけて行って、今日また受診してもらうことにした。
今日も症状はあるが、軽減しているそうだ。アミラーゼは昨日よりも下がっていた。今日もFOY入りの点滴をすることにした。MRの空いた時間にMRCPを入れてもらった。主膵管は主乳頭ではなく、小乳頭に開口しているようだ。特発性慢性膵炎と思ったが、この主膵管の走行異常自体が慢性膵炎の原因になるのかもしれない。
飲酒は膵炎の引き金になるので、機会飲酒も辞めた方がいいと伝えた。処方に消化剤(リパクレオン)を追加することにした。