なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

膀胱癌、肺癌

2021年06月11日 | Weblog

 地域の基幹病院泌尿器科から80歳男性が転院してきた。当院内科に高血圧症・高尿酸血症で通院していた。

 14年前に当院で肺癌の手術を受けていた。当時は呼吸器科医がいて気管支鏡検査もしていた。大学病院の呼吸器外科から定期的に外来診療に来ていて、肺癌の手術を当院外科の常勤医としていた。(呼吸器外科医は当時講師で、他大学の教授に転出した)

 今となっては、そんな充実した診療体制の時もあったと、懐かしく思うばかりだ。

 

 5年前に肉眼的血尿があり、市内の泌尿器科クリニックからがんセンター泌尿器科に紹介された。膀胱癌の診断で、BCGとTURを繰り返し行っていた。内科外来を受診するたびに、本人から「こんな治療を受けて、今後はこういう方針になった」と聞いていた。

 その後、「膀胱癌が尿管に進行して、肺癌も見つかった」という話になり、「治療はできなくなって緩和ケアとなった」という話を聞いていた。(肺癌は扁平上皮癌なので転移ではないらしい)

 

 5月になって、ご本人は外来に来なくなった。高血圧症・冠攣縮性狭心症で通院している奥さんから、「当地域の基幹病院に入院した」という話を聞いた。「いつ急変してもおかしくない状態」と涙ぐんでいた。

 幸いに小康状態となり、当院に転院依頼が来た。今日転院してくると、予想したよりも案外元気だった。食事(全粥刻み食)も自力摂取できる。

 

 診療情報提供書になると、失語症の症状が出て、先方の病院の脳神経内科に入院した。頭部MRIでまだ病変が出ていないため、t-PAを使用した。すると肉眼的血尿が続き、膀胱タンポナーデになってしまった。泌尿器科に転科して、腎瘻造設術を行って、膀胱に緩和照射を行った。

 血尿は軽減して(消失はしない)、貧血を呈していたが、まだ輸血するほどではなかった(Hb8g/dlだが)。発熱と炎症反応上昇が続くが、腫瘍による症状とみている、ということだった。処方はカロナール(500mg)3錠分3だけ出ていた。

 今後どこまで持つかわからないが、感染症(尿路感染症、肺炎)・尿路出血・脳梗塞再発などの併発が予想される。脳梗塞はトルソー症候群となっていたが、この年齢だと脳血管の自体の問題か、トルソー症候群か正確にはわからない。

 

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