なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

副腎皮質機能低下症

2021年06月17日 | Weblog

 66歳男性は何度も肺炎で入退院を繰り返していた。直近では5月24日から6月3日まで入院した。セフトリアキソンで普通に解熱軽快して、治療としては問題なかった。2週間後に、通院している呼吸器外来の予約をとった。

 6月9日の夕方に食欲不振で受診してきた。前回同様に姉が連れてきた。発熱はなく、胸部CTでみても前回入院時の陰影が残っているが、新規の肺炎ははっきりしなかった。

 炎症反応は白血球9800・CRP0.8で、炎症の初期を示しているような所見だった。翌々日にCRP8.3と上昇していたので、軽度に気管支肺炎があるのかと思われた。

 前回は3日くらいの治療で食欲が回復していたが、今回は回復しない。平熱~微熱で推移して、血圧などは問題なかった。1週間以上食不振が続き、さっぱり改善しない。

 慢性甲状腺機能低下症があり、抗サイログロブリン抗体・抗TPO抗体陽性で、橋本病と診断されていた。もっとも2017年から外科の甲状腺外来(2名の外科医がいたが、もういない)で診ていた。

 当初は甲状腺機能亢進症があり、ちょっとだけメルカゾールが処方されたこともある。その後は橋本病の急性増悪を疑われたり、壊死性リンパ節炎が疑われていた(詳細はカルテをみてもよくわからない)。

 プレドニンが20~25mg/日が数年投与されていた。その後、気管支喘息は当院呼吸器外来に通院するようになり、そこでは喘息としてプレドニンがやはり同様の量で投与されていた。

 2017年から2021年3月まで量の調整はあるが、プレドニンが処方された。呼吸器外来では吸入ステロイド(ICS/LABA)のみで、ステロイド内服は不要とされて中止していた。

 2017年から2021年までプレドニンが投与されていたことから、グルココルチコイド長期投与による二次性副腎機能低下症が疑われた。

 また橋本病があるということは、原発性副腎皮質機能低下症であるアジソン病の併発(多腺性自己免疫症候群Ⅱ=Schmidt症候群)も考えられた。

 意識清明で血圧は問題なく、副腎クリーゼではないので、ACTH・コルチゾールの結果(外注検査)を待つことにした。

 結果はACTH・コルチゾールともに低値だった。下垂体疾患なのか?。甲状腺機能検査ではTSHが軽度高値でFT3・FT4は正常域にある。潜在性甲状腺機能低下症相当で、現在のチラーヂンS(50μg)2.5錠を3錠に増やそうかと思っていた。副腎不全で甲状腺ホルモン増量はまずい。

 クリーゼではないが、まずヒドロコルチゾンの点滴静注をして、内服(ヒドロコルチゾン=コートリル)を開始することにした。(院内臨時薬として取り寄せになる)誰か内分泌に詳しい先生に相談したいところだ。

 白血球分画で好酸球が増加してきて原因不明だったが、そういうことだった。低ナトリウム血症・高カリウム血症はない。

 とりあえず頭部MRIで下垂体を見てみる。TSHは出ているので、下垂体全体の問題ではない。ACTH単独?。

 

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