金曜日の午前中は救急当番をしていた。市内の救急隊から、畑仕事をしていて倒れたという、熱中症疑いの62歳男性の搬入依頼がきた。気温が高く、いかにもありそうだと思われた。
ひとりで作業をしていると倒れても気づかれなかったりするが、自宅に隣接した畑だったそうだ。意識レベルは1という報告だった。
午前9時半ごろから畑で作業を開始して、午後10時ごろに声を上げたので家族が気づいた。家族が畑に行ってみると倒れており、救急要請していた。
作業時間30分では熱中症にならないのではないか。体温は35.3℃でむしろ低下していた。大汗をかけばかえって冷えることはあるが、ちょっとおかしい。
血圧213/115mmHg、心拍数54/分と血圧高値で徐脈だった(結果的にはCushing徴候)。目が細いが開眼はしていて、会話は成り立つがぼんやりしていた。
生食500mlを用意していたので、血液検査を提出して点滴を開始した。頭部CTを行うことにした。救急搬入された別の食欲不振の高齢女性を診ていると、放射線科の技師さんから呼ばれた。CTで出血があるという。
頭部CTで右小脳に出血があり、脳室腔に穿破していた。
すぐに地域の基幹病院脳外科に連絡した。地域医療連携室で当番の先生(4月に赴任された)に連絡したがつながらないそうで、別の先生(以前からいる先生)につながった。
どうしましたかと懇意な感じで応じてくれて、受け入れOKだった。血圧を伝えると、がっちり下げてくれと言われた。ペルジピン2mg静注で、搬送前は160/90くらいにはなった。
搬入前に血性(赤黒い)の嘔吐があり、搬送前にもまた同様の嘔吐があった。頭蓋内出血(頭蓋内圧亢進)によるCushing徴候(血圧高値・徐脈)とCushing潰瘍(急性の上部消化管出血)で、いかにもの症状があったことになる。