なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

総胆管結石

2021年06月14日 | Weblog

 前々回の日曜日の夜間に、悪寒・発熱の84歳男性が救急搬入された。当直は大学病院からバイトで来ている外科医だった。

 腹部CTで総胆管結石を認めた。炎症反応は白血球9700・CRP0.4と(超?)初期像だった。翌日には白血球23400・CRP11.2と上昇した。肝機能障害もある。

 救急外来には、「総胆管結石・胆管炎は当院で対応できないので、内視鏡治療ができる病院に搬送して下さい」と記載しているが、当直医は高齢ということでそのまま当院入院とした。セフトリアキソンを点滴静注していた。

 翌日の月曜日に、発熱は微熱程度になっていたが、血圧が夜間から朝にかけて90台だった。意識は清明で、話もできる。家族に電話で対応できる病院に相談することを伝えた。

 地域の基幹病院消化器内科に連絡した。その日5人目の紹介になり、とても対応できないと言われた。県庁所在地の専門病院と相談してくれ、ということだった。いらいらした感じが伝わってきて、相当に忙しいようだ(通常は受けてもらえる)。

 ちょうど家族が病院に来たので、経緯を伝えた。すると息子のお嫁さんから、当院でできるだけの治療でいいです、と言われた。

 この患者さんはほとんどベット上の生活で、尿閉で尿カテーテルが挿入されている。家族の介助でやっとトイレには行けるそうだが、介護度は高い。

 脳血管の治療を受けていて、これ以上の治療はできないといわれたそうだ。ADL低下と認知力低下もあるので、専門病院への通院も難しい。

 結石があると抗菌薬だけでは治療は難しい、敗血症性ショックから死亡する可能性がある、と伝えたが、それでも仕方がないという。

 いっしょに来ていた患者さんの妻(小柄で介護力はなさそう)に、それでいいね、と言っていた。妻は何か言いたそうだったが、一応同意した。お嫁さんはそれから他県に赴任している夫(患者の息子)に電話してやはり、それでいいね、と言っていた。家族内の力関係がわかるようだった。

 それから抗菌薬をゾシン(PIPC/TAZ)に切り替えて治療を継続したが、幸いに解熱して炎症反応・肝機能ともに軽快している。動いて撮影できない時は中止でいいという条件でMRCPを行うと案外立派な画像がとれた。

 放射線科の技師さんの話では、動きがなさ過ぎて、呼吸をしているかわからないくらいだったという(あのうるさいMRI台で静かに寝ていたのだった)。

 

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