春日武彦先生の新著を購入した。「あなたの隣の精神疾患」(インターナショナル新書、集英社)。
精神科疾患について一般の人向けに、わかりやすく(春日流・春日節で)記載している。第1章の「うつ」問題では、従来型うつ病と、新型うつ病について書かれている。
うつ状態は躁病以外のあらゆる精神疾患でとりうる。うつ病、統合失調症、神経症、人格障害、さらには精神疾患とはいえない(普通の?平凡な?)人でもうつ状態になりうる。
したがって、精神科医は典型的な従来型うつ病でなければ、うつ状態として対応される。6月1日に記載した患者さんも、精神科の返事はうつ状態(身体化がみられる)としていた。
新型うつ病は医学用語ではなくマスコミ用語?で、「その実体は、神経症(抑うつ神経症)、職場恐怖症、人格障害など」だそうだ。「従来型うつ病のように抗うつ薬をメインにして乗り切る種類のものではない」。
あの患者さんはどうだったのか。早朝覚醒はあり、少なくとも過眠はない。職場ではだめだが、趣味には興じているということはなかったようだ。自罰的(他の人に申し訳ないと)で他罰的ではなかった。
まあ明らかな新型うつ病ではないと思うが、専門医に判断してもらうしかない。
第2章の「躁と双極性障害」に記載されていた文章が、いかにも春日先生らしくていい。
「そもそも人間の精神は、いくぶん抑うつ的で不安も少々、そんなあたりがデフォルトとして設定されているのではあるまいか。いささかネガティブな精神状態を、やり甲斐だとか充実感、ささやかな感謝の気持ちでどうにか底上げして生きていく。まあそれが堅実な人生を送っていくための基本だろう。浮ついたり調子に乗ると、ろくなことがないのが世の定めである。」
その他、(境界型)パーソナリティ障害、神経症、統合失調症などについて、症例をもとに春日流で実践的に書かれている。