なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

膵体尾部癌

2021年06月21日 | Weblog

 先週、産休に入る内科の若い先生が診ていた患者さんの中に、経口摂取困難で内視鏡的胃瘻造設(PEG)を消化器科に依頼している方がいた。

 消化器科医とPEGの予定日を決めていると、こんな患者さんがいて、という話をされた。神経内科の外来に通院している筋強直性ジストロフィーの59歳男性だった。

 内視鏡的胃瘻造設術による経管栄養を受けていた(消化器科は胃瘻の管理だけ担当)。ちょうど6か月おきの胃瘻(器具)交換の時期だったが、血便が続いているという訴えがあった。

 大腸内視鏡検査をすると(とりあえずの無処置のS状結腸までの検査)、直腸(Ra)に半周性の発赤があり、血液のoozingを認めた。それで癌の転移巣と診断したのは流石だった。

 腫瘍マーカーを提出すると、CEA 18.3、CA19-9 26656.9と著明な上昇を認め、膵臓癌が疑われた。腹部造影CTで膵体尾部に造影不良域があり、主膵管の途絶・脾静脈への浸潤を認めた。腹膜播種もあった。診断は膵体尾部癌腹膜播種だった。

 

 明らかな肝転移はないが、以前なかったALP・γ-GTPの上昇があり、肝臓内にも腫瘍は行っているのだろう。Hb9.2g/dlと以前の12.1g/dlから低下している。心房細動でワーファリンが投与されていた。

 糖尿病もあるが、もともと血糖コントロールはあまりよくなかったので、糖尿病の悪化で膵癌に気づくということにはならなかった。

 消化器科に入院したが、治療はどこまでやるのだろうか。

 

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