新型コロナウイルス感染症で入院していた86歳男性は、しだいに酸素吸入量が増えて、先週末には10L/分になっていた。家族には、人工呼吸はしないことで同意は得ていた(病状悪化時は、DNRの方針)。
週末ダメかと思ったが、何とか持ちこたえた。今年の初めから、県のコロナ本部に連絡しても、80歳代後半~90歳代のCOVID-19の患者さんは人工呼吸器管理の適応はないでしょう、と言われていた。(相談自体も、約束違反といわれたりした=高齢者は入院した病院で最期まで診る決まり?)
現在入院している2名の高齢女性(94歳、86歳)は、それでも酸素吸入10L/分までいってから、幸いに(奇跡的に?)回復に向かい、現在酸素吸入は不要となっている。
86歳男性は通院(他院)している脳神経内科からドネペジル5mgの処方を受けている、軽度の認知症はあるが、普通に会話は可能だった。糖尿病があり、デキサメサゾン投与でさらに上昇した血糖コントロールを行っているが、食事を食べていた。(中止すべきかもしれないが、食事を要求されて、明らかなむせもない)
時々自分で酸素マスクを外していた。意識清明なので、酸素10L/分リザーバー付きは圧迫感があり、ずっと付けるのはつらいだろう。画面(カメラ2台で病室を観察)で外しているのが見つかると、看護師さんに注意されて、ゆっくりとまた付けていた。
昨日は酸素10L/分でも酸素飽和度が90%未満が続くようになった。ダメもとで、県のコロナ本部に連絡してみると、ネーザルハイフローまでなら高次医療機関で行うという返事だった。
県から指定された医療センターに診療情報提供書を送ると、さっそく受けてもらえることになった。感染症対応の救急隊が来て、搬送となった。(気管挿管・人工呼吸器管理まではしない方針)
県内の病棟逼迫が軽減したこと、県本部の先生と、受け入れ先の先生が特に親切だったという幸運が重なった結果らしい。
今日は、COVID-19の77歳男性が感染病棟に入院した。胸部CTでは、両側肺野に軽度のすりガラス陰影が斑状に散在している程度だった。血液検査で炎症反応、重症化の指標も軽度の上昇のみだ(今のところだが)。
認知症がなく、ADL完全自立の患者さんは久しぶりだ。感染病棟の看護師さんは、このところ重症相当+認知症(かなりの介助量)の患者さんが続き、疲弊している。
高齢で入院扱いとなっただけで、自然経過で軽快退院できる患者さんの入院で、ちょっと一息つきたいところだ。
大学病院や県内有数の医療機関でも、中等症Ⅰ相当の酸素吸入を要しない患者さんを診ている。そういう患者さんは当院のような病院で受けたい。。高次医療機関では中等症Ⅱ(酸素吸入あり)から重症の患者さんに対応してほしい。
まあ、コロナは経過中に悪化するので、入院時の病状では重症度が決まらないから仕方がないのかもしれない。それでも高熱が数日続いている患者さんは確実に悪化するので推定はかなりできると思う。