なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

甲状腺炎

2012年11月19日 | Weblog

 発熱とのどの痛みで昨日の救急外来を受診した80歳女性は、咽頭痛ではなく、頸部痛だった。受診の2日前から症状が出現して、嚥下はできるが、頸部に痛みを感じるという。甲状腺右葉の結節に自発痛と圧痛を認めた。圧痛のある甲状腺疾患といえば、亜急性甲状腺炎だが、80歳であるのかどうか疑問だった。昨日の日直をしていた大学病院の医師が抗菌薬(セフトリアキソン)を入れていたので、その日は帰宅として、月曜日(今日)に甲状腺エコーを予約していた。白血球数20000、CRP20と炎症反応が上昇して、甲状腺機能亢進を呈していた。

 今日行われた甲状腺の結節部は亜急性甲状腺炎のエコー像ではなく、高エコーと低エコーがまだらになっていた。甲状腺外来を担当している外科医に紹介した。化膿性甲状腺炎として治療して経過を見るという。まずは抗菌薬投与を行い、軽快しなければ手術を考えるそうだ。化膿性とすれば、どこから細菌がはいってくるのかと思ってきいてみると、咽頭の梨状窩からという。院内に甲状腺外科の先生がいて助かった。

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この肺炎は何だ

2012年11月18日 | Weblog

 今日日曜日の日直当直は大学病院からの応援医師だった。胃腸炎で入院させたい68歳男性の患者さんがいると連絡があった。昨日から発熱(高熱)と下痢が続いているという。白血球は7600でCRPが15。肝機能障害とCKが18000と高値だった。血清Naた130、Kが3.2と低下していたが下痢があればそのせいかもしれない。血清クレアチニンも軽度上昇していたが、脱水症による可能性もある。それにしたも胃腸炎にしてはおかしい。以前に診た胃腸炎様の症状で腹膜炎だった患者さんに似ているような気がする。腹部CTで他の疾患を検索する必要がある。患者さんを直接診てから決めることにした。

 病院に行ってみると、胸腹部CTが終わっていた。左肺の側背部に浸潤影が広がっていた。2週間前に温泉ホテルに宿泊したことがあった。肺炎球菌とレジオネラの迅速検査を提出したが、どちかも陰性だった。喫煙者で気腫性の変化もあった。腹部は小腸と大腸に大量ではないが、消化液の貯留があった。明らかな腹膜炎を示唆する所見はない。肺炎と胃腸症状は直接関係があるのかわからなかった。そのうち便がでたので診た見ると黒っぽい泥状便だった。潜血反応陽性で上部消化管出血だ。6年前に上部消化管内視鏡検査を受けていて、胃潰瘢痕を指摘されていた。そのころから大腸ポリープで消化器科でEMRを受けていた。今回も2週間後に消化器科に入院して大腸ポリープのEMRが予定されていた。肺炎があって、それと同時に胃潰瘍再発からの消化管出血もあって、消化管出血でタール便が出ていたのを、患者さんが下痢が続いていると表現したのだろうか。全体像がよくわからない。当院では手に余ると思って、基幹病院に連絡したとろこ診てもらえることになって救急搬送した。

(後日談)基幹病院から報告が報告が来ていた。搬送翌日に検査した尿中レジオネラ抗原は陽性で、レジオネラ肺炎と診断されたという。下痢もレジオネラ肺炎の一症状だった。

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高齢者の脳梗塞

2012年11月17日 | Weblog

 昨夜87歳女性が意識障害と左半身麻痺で救急搬入された。頭部CTでは以前の左前頭葉の梗塞巣のみで、出血がないので脳梗塞再発だが、まだ描出されていなかった。洞不全症候群(洞除脈)で心臓ペースメーカー植え込み術後のため、頭部MRIができなかった。今日頭部CTを再検すると、右中大脳動脈領域の脳梗塞が確認された。歩行はできないだろう。嚥下障害がどの程度かが問題になる。週明けまでは点滴で経過をみることにした。

 当院の内科系の診療がますます厳しくなって、病棟を診に来ていた消化器科医と話をしたが、お互いに元気が出ない。診療を縮小して、がまんするしかないという話になってしまう。そもそも外科医と内科系医師の数が同じで、整形外科などを含めた外科系医師の方が内科系医師よりも多いというバランスの悪い病院になってしまっている。

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喘息の季節

2012年11月16日 | Weblog

 今日は内科新患外来を診ていた。一昨日から咳と痰が続くという24歳男性が受診した。微熱と咽頭痛もあった。聴診すると喘鳴(軽度)がある。動くと息切を感じるという。夜間に喘鳴を自覚していた。小児期に喘息で受診したことがあったらしい。胸部X線で肺炎はなかった。吸入して軽減したが、ネオフィリンとデカドロン入りの点滴を1本することにした。テオドールとシングレアを処方して経過をみることにする。ウイルス感染によるいわゆる風邪で喘息発作を生じたものと思われる。慢性喘息となっていくかどうかは今後の症状による。慢性化する時は、吸入ステロイドを開始する方針とした。

 看護師の34歳女性は妊娠中で先週喘息発作が起きて、産婦人科で喘息の治療を受けたが、あとは内科で診てもらうようにと言われていた。短期間のプレドニン内服(10mg/日7日間)と吸入ステロイドが出されたが、内服が終了してから吸入開始となっていた。2日前に電話で相談されたので、プレドニン内服中からすぐに吸入を開始するように伝えていた。また喘鳴が出てきたというので、吸入ステロイドの吸入回数を2倍にして、プレドニン30mg/日4日の内服とした。

 55歳男性は20本/日を35年の喫煙歴があり、1か月前から特に夜間の咳・痰・喘鳴が続いていた。発熱はない。胸部X線で肺気腫の変化はなかったが、いわゆる「きたない肺」の印象を受けるものだった。COPD+喘息症状として、できるかどうかはわからないが、禁煙することを勧めて、喘息に準じて吸入ステロイドとテオドール内服を2週間分処方した。

 あとは施設入所中の精神遅滞と若年発症脳血管障害の3名が受診した。介助で車いす移動の方、寝たきりでストレッチャー移動の方、寝たきりで胃瘻による経管栄養の片だった。胸部X線で、2名は肺炎がなく、一名は軽度に肺炎があった。いずれも外来の抗菌内服治療で経過をみることにした。うまく軽快治癒してくれるといいが、入院するとちゃんと点滴できるかどうかという問題が発生してしまう。

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血管確保に苦戦

2012年11月15日 | Weblog

 昨日、誤嚥性肺炎再発で治療を再開していた92歳男性は、末梢の血管からの点滴が困難となった。大腿静脈から中心静脈ラインをとろうとしたが、うまく入らなかった。動脈から一横指開けて穿刺したが、動脈血が引けて来て断念した。おそらく動脈の影に静脈があると思われたが、結局断念した。血管外科で使っている血管を診るエコー借りてきて、再度検討することにした。

 今日は衰弱して食事摂取できない82歳女性が、やはり末梢の血管からの点滴困難となって、中心静脈ラインをとることにした。腰が曲がって仰臥位にするのも難しい患者さんだった。右側から穿刺すると血管にかすりもせず、これは無理かと思われた。ところが左大腿静脈にはあっさりと穿刺できて、ラインが確保できてしまった。やれやれ。

 今日は勤務医が脳出血と判明して、院長をはじめ数人の医師が急遽集合した。当直明けで午後休んでいた脳外科医に連絡して、脳血管障害の専門病院に入院の手筈をつけてもらい、同じ科の医師が付き添って救急搬送した。外来や検査、さらには救急や夜間の当番などを調整しなければならず、午後中ずっと動き回っていた。

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久しぶりの若い肺炎

2012年11月14日 | Weblog

 27歳男性。1週間前から発熱・咳が続き、内科新患外来を受診した。食欲がないので、1本点滴が出ていた。外来担当医(外部から応援)の指示で点滴終了後に帰宅になっていたが、妻が妊娠中(ほとんど臨月)ということもあり、当院の看護師をしている母親は入院を希望した。入院を希望していますと、外来看護師から連絡が来た。症状が長いので血液検査を追加した。白血球9700、CRP7.6と上昇していた。胸部X線はとっていたので(異常なしと記載あり)、画像を確認した。左下肺野に浸潤影が疑われた。胸部CTで確認すると浸潤影が確かにあり、肺炎の診断で入院にした。内科病棟は80歳台がほとんどで、90歳台もけっこういる。20歳台はこの患者さんひとりだ。

 昨日入院した急性大動脈解離の100歳女性は今朝亡くなって、当直医が死亡確認してくれた。昨日の当直帯に入ったばかりのころに入院した施設入所中の76歳女性(精神遅滞)は、肺炎ではなく急性腎盂腎炎だった。入退院が目まぐるしいと、誰が亡くなって誰が軽快退院したか、わからなくなってしまう。

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救急外来から連絡がきた

2012年11月13日 | Weblog

 今日の午前中、救急外来担当の外科医だったが、次々に救急車が搬入されてきた。最初は100歳女性で、胸痛を訴えて救急要請された。胸腹部CTで大動脈解離があり、上行大動脈から腹部の下行動脈まで解離していて、左肺に出血があった。さすがにこの年齢では手術はないので、疼痛治療をして保存的に診るしかない。外来で心不全・甲状腺機能低下症で私が診ているので、入院も引き受けることにした。家族はとにかく痛まないようにだけしてほしいという希望だった。どこまで持つかわからないが、このまま固定して助かるということはあるだろうか。

 88歳男性は発熱と咳で救急搬入された。胸部X線で右肺に多少陰影があるが、今回の肺炎の陰影かどうかはっきりしない。呼吸器症状はなかった。救急室の看護師さんは、左膝が痛いと言っていますと教えてくれた。救急隊の記録にも左膝痛が続いていて、明日整形外科を受診するつもりだったとあった。触ってみる腫脹してかなり熱感がある。

 この患者さんは1年前に喘鳴と熱で入院している。世話している孫がRSウイルス感染症にかかっていると聞いて、RSウイルス迅速試験を行うと陽性だった。高齢者にもあるんだと驚いた記憶がある。喘息発作に準じた治療で経過した。ところが、入院中急に高熱が出て、誤嚥性肺炎でも起こしたかと思われたが、右膝が腫れて熱感があった。膝関節のX線で関節内に石灰化があり、偽痛風の関節炎だった。もともと軽度だが腎機能障害があり、NSAID投与は禁忌だった。ステロイド使用かと思いながら、湿布を使っていたら翌々日には解熱して関節の症状も軽快してしまった。

 今回は左膝関節の偽痛風かとも思われたが、まず整形外科医に診てもらった。単関節炎で炎症反応高値なので、化膿性関節炎を疑って関節穿刺・関節液培養が提出された。化膿性関節炎と想定して治療を開始するという。内科で血液培養2セットを出して、整形外科入院となった。肺炎かどうかは内科でも経過をみていくことにした。

 88歳女性がけいれん発作で救急搬入された。デイサービスに行って、5分ほどの全身けいれんが2回あったそうだ。脳梗塞と症候性てんかんの既往があった。一過性意識障害で短期間入院していたが、その語の入院時にけいれんが起きて意識障害が生じたことがわかった。入院で数日経過をみてから退院とした。

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寝たきり胃瘻、でもまだ若い

2012年11月12日 | Weblog

 53歳女性が発熱で内科新患を受診した。もともと精神遅滞があって、施設に入所していた。施設生活は何十年かになっている。抗てんかん薬が数種類が処方されている。会話はできず、うなり声を発するだけだが、いやだとうなり、うれしいと一瞬笑顔になる。生活全般に全介助で、車いす生活(リクライニング付き)だった。次第に嚥下障害から誤嚥性肺炎を繰り返し、今年の初めに胃瘻造設による経管栄養が開始された。しかし、それでも誤嚥性肺炎になって6月に入院していた。胸部X線・CTを行うと、今回も誤嚥性肺炎が起きていた。

 末梢の血管がほとんど見えず、かろうじて肘の静脈から採血はできるが、継続した点滴はとてもできない。末梢用の点滴を入れるのに、中心静脈ルートをとるしかない。胸郭が変形しているので鎖骨下からはアプローチできない。やむなく、鼠けい部からルートを確保した。さっそく抗菌薬投与を開始したが、前回入院時は最初に使用した抗菌薬が効かず、途中で変更していたので、抗菌薬の選択がむずかしい。

 何度か肺炎を繰り返して、なんとか軽快しても、また肺炎になってしまう。近い将来(今回かもしれないが)肺炎が治らない時が来るはずだが、人工呼吸器装着の適応をどうするかという問題がある。年齢を考慮すれば、当然そこまでやらなければならないが、頸部もかなり固くなっていて、気管挿管する時にうまく喉頭展開できないかもしれない。

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風邪の本を集めています

2012年11月11日 | Weblog

 今日は丸善の医学書コーナーに行った。「誰も教えてくれなかった風邪の診かた」があったので買ってきた。著者は手稲渓仁会病院の岸田直樹先生。これまで「風邪症候群」の本を集めてきた。といっても、それほどの数はない。成書として出たものの数も少ないし、雑誌の特集もそれほどない。たいていは、秋か冬ごろにインフルエンザと組み合わせて特集が組まれる。「かぜ症候群とインフルエンザ」のような名前で出ることが多い。

 古くは田坂先生の分類があって、ずっとその分類によって診療してきた。最近、羊土社のレジデントノート増刊で風邪の診かたの本が出ているが、多数の書者の分担執筆なので、役には立つが診療のコツという点ではいまひとつだった。今日買った本は単独の著者なので期待できそうだ。

 もう一冊の医学書は能登洋先生の「糖尿病診療(秘伝)ポケットガイソ」。あとは、金子タカシさんの将棋の本「美濃崩し200」と、おもしろそうな日本史の本「超軽っ日本史」。いとうせいこうさんの文芸漫談が文庫本で出たのでそれも買った。合わせて一万円弱。

 病院から電話が来て、誤嚥性肺炎で入院していた高齢者の経管栄養を数日前から再開していたが、酸素飽和度が下がったという。誤嚥性肺炎の再発なので、経管栄養を中止して抗菌薬と点滴を再開した。最低量の注入でも、なじまなくなっている。最期まで点滴でいくしかない。

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意識障害の原因は?

2012年11月10日 | Weblog

 昨日の夕方81歳女性が内科クリニックからの紹介で救急搬送されてきた。脳梗塞の既往があり、高血圧症・糖尿病・心房細動・心不全で治療を受けていた。午前中にデイサービスに行っていた時に嘔吐した。施設からその内科クリニックへ連れて行かれたが、意識レベルが普段よりも低下しているため、当院へ依頼がきた。意識レベルは30(JCS)という話だった。

 救急当番は若い循環器科医だった。搬入された患者さんは、明らかな麻痺はないようだったが、脳梗塞再発を疑って、画像検査を行った。頭部CTでは陳旧性脳梗塞のみで、脳出血はなかった。ついで頭部MRIを行ったが、拡散強調画像で新鮮な脳梗塞はなかった。脳梗塞がないと判明した時点で、内科に診療依頼がきた。救急室で患者さんに話かけると(難聴あり)、開眼して返事をした。頭痛などないかと尋ねるとないという。もともと認知症があり、ひとことふたことに簡単な会話しか成り立たない人だった。すでに、もともとの状態に戻っているのかもしれない。意識の評価が難し人なので、実際はどの程度の意識障害だったのかわからない。

 胸腹部CTでは明らかな肺炎はなく、腹部にも特に問題はなかった。血液検査で白血球が一万ちょっとと増加していて、CRPは0.4だった。感染症による炎症の起こり始めのデータと思われた。肺炎がないとすると、尿路感染症が疑われる。おむつをして尿失禁がある。導尿してみると、肉眼的には尿は混濁していなかった。尿検査でも白血球は5-10/HPFと大したことはなかった。細菌は(3+)だった。発や熱悪寒がなく、尿路感染症(急性腎盂腎炎)によると断定もできなかったが、尿培養と血液培養2セットと提出した。入院して、点滴・抗菌薬で経過をみることにした。

 この患者さんは、いろいろと問題がある。まず、糖尿病だが、経口血糖降下剤がほとんどフルで入っているが、HbA1cが8.7%と血糖コントロールが不良だった。インスリンを導入するしかないが、認知症で自己注射はできないから、家族がしなければならなくなる。入院中は速効型インスリンで補正するが、インスリン自己(家族)注射にふみきれるかどうか。

 心房細動・心不全があり、バイアスピリンが処方されているが、本来は抗凝固療法にするべきということになる。既往の脳梗塞も、部位からみて脳塞栓の可能性がある。ワーファリンを開始するか、新しい抗凝固剤(イグザレルト)を開始するか。

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