2月18日に地域の基幹病院循環器内科から転院してきた78歳女性は、先週の土曜日から断続的に嘔吐していた。
もともとステロイド依存気管支喘息で同院の呼吸器内科に長年通院している。今回はうっ血性心不全で循環器内科に入院していた。当院に転院の依頼が来た時に虚血性腸炎が発症して、それが治まってからの転院になった。
虚血性腸炎といっても、血便が出たわけではない。腹痛で腹部CTを行うと、横行結腸の壁肥厚を認めていた。虚血性腸炎以外の原因も指摘しがたいが、放射線科の読影レポートの病名(推定だが)はそうなっていた。(消化器内科で内視鏡を行ったわけではない)
当院に転院してきた時には腹部症状はなく、食事摂取は普通にできた。長年のステロイドで肌の色が赤ら顔(毛細血管拡張があり、赤黒い)で、満月様顔貌だった。全身の皮膚が薄くなっていた(ちょっと引っ張ってもめくれそう)。
土曜日に、前日に入院した急性腎盂腎炎の患者さんを診に来た時に、この患者さんが腹痛を訴えていると看護師さんから報告があった。診察した時は腹痛は治まっていたが、その後嘔吐した。
腹部手術の既往はなく、送られてきたCTで見ると胆道系疾患はないようだ。プレドニン15mg/日なので、PPI(ネキシウム20mg)も処方されている。
症状は持続してないので、土日は点滴500mlを2本で経過をみていた。日曜日にも嘔吐して、月曜にも嘔吐した。腹痛は自制可だったが、左上腹部~側腹部に圧痛がある。
月曜日に腹部CTで確認すると、空腸が拡張して消化液が貯留している。腸管の走行が変だ。外科医に相談すると、経過と腹部症状からまだ腸管壊死はないだろうが、腸間膜のどこかにはまり込むなどの内ヘルニアが疑われるという。
夕方だったが、基幹病院外科に連絡すると、すぐに診てもらえることになり、救急搬送した。夫に連絡して、直接先方の病院に向かってもらった。