なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

心不全の増悪

2022年03月11日 | Weblog

 火曜日内科の先生が当直の時に、午前0時過ぎに心不全の増悪の96歳女性が救急搬入された。(昨日記載したお風呂で溺水の患者さんの後)

 もとも当方が高血圧症・大動脈弁閉鎖不全兼狭窄症・うっ血性心不として外来で診ていた。昨年12月から入院して、2月15日に退院していた。

 心不全の増悪で時々入院して、内服利尿薬の調整で治療していた。大抵はサムスカを短期間内服してもらって、軽快すると中止するということが多かった。増悪時は酸素飽和度が軽度に低下するが、肺うっ血・浮腫は目立たず、胸水の増加だった。

 認知症があるが、自宅生活を希望していた。妹が入所した施設(高級な老人ホーム)に誘われていっしょに入所したが、気に入らず数日で自宅に戻ったころもあった。

 近所の人が病院への送り迎えをしてくれて、時々自宅を訪問してくれていた。親切心でやってくれていたが、患者さんは送り迎えの時にタクシー代替わりに1回5000円を渡すことにしていた。

 兄弟(当地に弟がいる)とは仲が悪く、ケアマネージャーとも折り合いが悪い。近所の人(60歳代女性)をもっぱら頼りにしていた。いつも病院に連れてくるので当方とも顔なじみになった。

 昨年12月の時は、その人が、「外出すると自宅に戻れなくなる可能性があり、寒くなるので心配」として病院に連れてきた。社会的入院として、施設入所の相談をすることにした。

 今回は自分から施設に入所すると言うようになり、近くの施設を希望した。そこは人気がありすぐには入所できないので、市内の病院が経営している施設にショートステイ入所となっていた。(ロング?のショートステイという形)

 

 その日は急に呼吸困難になって、救急要請された。当院にかかりつけなので、搬入依頼があった。心不全の増悪と判断され、酸素10L/分を要する重症だったので、地域の基幹病院にお願いしてほしい伝えた。

 連絡してみたが、超高齢ということで?、断られたそうだ(正確な事情はわからないが)。結局当院に搬入されたが。これまでのような単なる胸水増加ではなく、肺うっ血・浮腫があった。(一番右は退院時の胸部X線)

 少なめの点滴とフロセミド静注とパンプの点滴静注で翌朝には酸素5L/分まで下げることができた。翌日の午前中に病室に行くと、息切れはしているが会話はできる。

 普段診ているので(担当を)代わりますよ、と伝えた。当方がコロナに診療で大変でしょうから、そのまま診ますと言われた。(入院時に、病状悪化時はDNRになっている)

 

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お風呂で溺水

2022年03月10日 | Weblog

 火曜日は内科の先生が当直だった。午後10時過ぎに浴槽に顔が浸かっていた83歳女性が心肺停止で救急搬入された。

 一人で入浴していたが、なかなか出てこないのに家族にが気づいて、浴室を見に行った。浴室に行ってから1時間は経過していたそうだ。顔が浴槽に浸かっていたのを発見して、引き上げた。心肺停止状態だった。

 救急隊到着時、心肺停止(心静止)で心肺蘇生術をして病院に搬入した。蘇生術に反応せず、死亡確認に至った。事故死なので、警察を呼んで検視となった。

 Autopsy imagingを行って、頭部CTは異常なし。胸腹部CTでは両側肺野に肺浮腫を認めた。検視で事件性はなく、溺水と診断された。

 寺沢秀一先生の「Dr.寺沢流 救急診療の極意」のコラムに、「お風呂でみるかる高齢者、つまり寒い季節に熱いお風呂につかって心肺停止してしまったらしい人の死因は何だと思います?」とある。

 「お風呂での高齢者の急死は熱中症ではないかっていう仮説を立てている救急の先生方がいます」、「高齢者が熱いお風呂につかっているうちに熱が上がってぼーっつとして、そのまま高体温になって、意識がなくなって、溺れているのではないかという仮説です」、とある。

 直接死因は溺水になるが、それに至った原因はそうなのかもしれない。

 

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コロナワクチン未接種

2022年03月09日 | Weblog

 今日は新型コロナウイルス感染症の95歳女性が感染病棟に入院した。食欲不振で保健所から入院依頼が来た。酸素飽和度は90~92%で低下していた。

 3月1日が発症日と認定されていた。住所は当院の診療圏から外れていて、地域の基幹病院の方が近いが、ベットが厳しいのだろう。

 胸部CTですりガラス陰影と浸潤影が混在していた。発症日が正しければ9日目になるので、すりガラス陰影から少し進行した時期として合う所見だった。

 血液検査では、末梢血が白血球5900・リンパ球10.4%(低下)・血小板24.5万で、CRPは3.6と軽度に上昇している。重症化指標は、Dダイマー3.2・血清フェリチン386.5・LDH235と軽度に上昇している。全体にコロナらしい検査結果だった。

 酸素吸入を開始して、抗ウイルス薬(レムデシビル)をちょっと始める時期としては遅いが開始した。1日~2日経過を診て、悪化する時はデキサメサゾンを投与することにした。

 

 患者さんは独身の息子2人と同居しているそうだ。コロナワクチン接種の有無を保健所に問い合わせると、家族3人とも1回もワクチン接種をしていないことが判明した。どうも知的に問題があるらしい、ということだった。

 

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痛風の関節炎

2022年03月08日 | Weblog

 先週金曜日に、整形外科クリニックで痛風で治療していた57歳男性が内科に入院していた。内科の若い先生が水曜日に外来(内科新患)で診て、症状が続いての入院だった。

 病棟に随分若い患者さんが入院しているなあ、と思って経過を確認した。2月10日過ぎから症状があったので、3~4週間の経過になる。

 不明熱としていたが、発熱と同時に両側膝関節炎・右足関節炎もある。痛風で通院していたので、基本的には痛風の関節炎の患者さんだ。(関節痛と関節炎を明確に区別していない感じだったので、関節炎ですねと強調した)

 入院後はコルヒチン(0.5mg)3錠分3を処方していた。入院後は発熱がなく、炎症反応も軽減していた。経過としては問題がない。

 

 主治医の若い先生の許可をとって、患者さんを診察した。大柄な男性で髭が目立つ。ちょっと診せてもらっていいですか、と話かけた。経過をきちんと話してくれた。

 17~18年前(40歳代)から痛風で整形外科クリニックに通院している。尿酸が高い時は8mg/dlを越えていたそうだ。

 関節炎はもっぱら膝関節で大抵は片側に起きるが、両側のこともある。足関節炎の時もある。第一中足趾節関節に関節炎が起きたことはそうだ。今回左の第一中足趾節関節に発赤・軽度腫脹がある。指摘すると少し痛かったらしい。膝関節・足関節がひどく痛むので、そこは気にしていなかったようだ。

 今回は発熱と両側膝関節痛がほとんど同時に発症していた。少し遅れて(数日)右足関節痛も出現した。発熱は40℃になることもあったそうだ。

 両膝関節がかなり腫脹して、整形外科クリニックで4回関節穿刺をして、処置をしていた。それ以上はできないと言われた。今見ると、両膝関節の腫脹はあまり目立たない。

 ロキソニンを2週間くらい内服して、心窩部痛が出現してやめていた。ロキソニンはあまり効いていなかったようだ。

 左膝関節痛はかなり良くなって(今日になってと言う)、ほとんど気にならなくなっていた。右膝関節はまだ屈曲するとけっこう痛い。右足関節炎症も軽減しているがまだある。

 

 経過中に咽頭痛と下痢があったらしい。皮疹には気づいていないし、現在はない。成人Still病もちょっと考えていたが、この患者さんは関節炎そのものだった。たぶん痛風の関節炎としての程度が通常より重度ということなのだろう。

 山口らの成人Still病の分類基準を満たしてしまうが、これは除外項目が大事で、他疾患があれば該当しない。

 若い先生は入院時に血液培養を提出して、リウマチ膠原病・リンパ腫の検査も提出していた。今のところ判明した分は陰性だった。

 

 これまで、NSAIDsで良くならない痛風をみることはなかった。(そもそも患者さんは痛風の関節炎で内科外来は受診しないが)今回は整形外科で関節穿刺をしたり、ロキソニンを内服したのも効いてきたのかもしれないが、コルヒチンが効いた症例ということになるようだ。

 痛風(関節炎)の程度が重度であれば、NSAIDs・コルヒチン・ステロイドを組み合させて治療することになるのだろう。とりあえず、現在のコルヒチンを継続して症状と炎症反応の推移をみてもらうことにした。

 

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心肺蘇生術なしで

2022年03月07日 | Weblog

 先週末は内科の当番だった。土曜日の日当直は、初めて来た外科医だった。今月から月1回土日の日当直に交代で来てもらうことになっている。

 感染病棟のコロナの患者さんたちが落ち着かないこともあり、土曜日の午後に病院に来た。コロナの患者さんたちは、病状的には良くなっていたが、夜間の不穏で処方追加を行った。

 午後1時半ごろに救急搬入があった。検査を行った後に入院依頼があるかもしれないと思いながら、病棟を診に行った。

 病棟から戻って、カルテを確認すると心肺停止の救急搬入だった。救急隊は特に心肺蘇生の処置もなく、普通に救急室に入っていたのを見ていたので意外だった。

 

 患者さんは76歳男性で、これまで当院を受診したことはない。昨年8月に腎癌で手術を受けていた。腎摘出・脾臓摘出・開胸による下大静脈腫瘍塞栓摘出まで行なわれていたが、すでに肺転移・肝転移・骨転移もあった。

 心肺停止だが、家族の希望で心肺蘇生術は行われなかった(正確には少し実施したが、すぐに中止)。当院で死亡確認だけを行った。おそらく診療している病院で、病状悪化時DNRの話があったのだろう。

 ただ情報が家族の話しかないので、Autopsy imagingが行われた。両側肺に胸水貯留と浸潤影を認めて、肺炎による死亡と診断していた。

 最近(数日前?)病状が悪化して、その日から呼吸困難になっていた。もう数日早く病院を受診していれば肺炎(±心不全)として治療できたかもしれない。(当院から高次医療機関に搬送?)

 

 土曜日はほかに切創の患者さんなどが受診していたが、入院はなかった。当院の今の診療体制では受けられる救急は限られている。このくらいの診療だったら、今後も継続して来てもらえるだろうか。

 

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高齢者のコロナ患者さん

2022年03月06日 | Weblog

 先週の木曜日に感染病棟に入院したCOVID-19の92歳女性に、中心静脈(CV)カテーテル挿入を行った。(人工呼吸器管理をしている病院からみればまったく大した処置ではないが、当院はひとりコロナ診療なので、感染病棟内で行うのは覚悟が必要)

 一昨年・昨年は2例行って、今年は2例目になる。いずれも90歳前後の高齢者だった。病状の悪化で行ったこともあるが、今年の2例は、そもそも入院時から経口摂取が困難だった。

 

 今年の1例目は、クラスターが発生した隣町の病院から転院してきた。地域の基幹病院外科でヘルニアの手術を行ったが、その後経口摂取が充分ではなかった。

 先方の病院に療養転院となってからも経口摂取は進まず、点滴が継続されていた。COVID-19 に罹患して当院に来た時には、経口摂取はまったく無理だった。コロナの問題というよりは、年齢的なものと思われた。

 病状は比較的軽度なので、隔離期間を当院で預かれば、また転院で戻せるという利点がある。迷いなく?、CVカテーテルを挿入して高カロリー輸液を行った。

 コロナが治った患者さんを引き受けると、後方支援病院になって入院費が優遇されるので、受ける病院も異存がないようだ。

 

 今回の92歳女性は自宅から入院してきた。嚥下訓練を行っても、吐き出してしまう。飲み込むと痰が増えて、口腔内を確認すると食残がまだ残っていた。これでよく自宅で食事摂取できていたと思う。

 2週間くらい感染病棟で診て、その後一般病棟に転棟して経過をみる。また嚥下訓練を行ってみるが、経口摂取が難しければ、そのまま点滴継続になる。あとは療養型病院に転院をお願いするしかない。

 

 認知症で動いてしまうことがあり、好ましい穿刺部位ではないが、大腿静脈から挿入している。看護師さん2名で押さえてもらって、なんとか挿入している。

 じっとしてくれれば内頚静脈からにしたいが、首を振られると難しい。コロナ以外の患者さんで、看護師さんがラグビーボールをかかえるように患者さんの頭を押さえて、内頚静脈から挿入したこともあった。器具を穿刺用カバーに置くと吹っ飛ぶので、離れた場所に置くしかない。

 

 経口摂取できるコロナの高齢患者さんでは、夜間せん妄が問題になることも多い。点滴を抜かれないようにするにはどうするか、工夫も必要になる。これは一般病棟の高齢者で慣れているが。

 

 コロナの入院治療が始まった2年前は、若年~中年の患者さんもいたが、昨年末からはほとんど80歳以上の高齢者しか入院してこない。日勤は3名、準夜・深夜はそれぞれ2名の看護師で対応するので、現在は入院4名で手一杯だ。

 6~8名の入院を診ていたこともあるが、当時は半分以上ADL自立の患者さんだった。今は全員要介助で、食事をセッティングすれば自力摂取できる患者さんが、ADL最高の患者さんとなっている。

 

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小脳梗塞?

2022年03月05日 | Weblog

 木曜日の昼前に、起床時からめまいが発症した85歳男性が救急搬入された。救急外来当番はちょうど神経内科医だった。

 小脳梗塞疑いで画像検査が行われた。頭部CTで右小脳の低濃度域があるように見える。

 頭部MRIでは、拡散強調画像で同部が淡く高信号域に描出されていた。FLAIRでは同部がむしろはっきりと高信号に描出されていた。T2*で小さく低信号の部位があって出血を疑うが、CTでは出血があるようには見えない。

 MRIから始めると描出された病変の評価を間違うことがあり、CTから始めた方が間違いは少ない。今回は型通り、CTからMRIと検査しているが、判断に迷う。小脳梗塞?。

 

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肝細胞癌の骨転移

2022年03月04日 | Weblog

 水曜日の内科再来を糖尿病・高血圧症で通院している81歳男性が受診した。「あの時の痛みは癌の転移でした」、と言われた。すぐには何のころかわからなかった。

 糖尿病はDPP4阻害薬だけでHbA1cが6.2%、高血圧症もARBとCa拮抗薬で120程度なので、内科の治療としてはまったく問題がなかった。

 

 カルテを確認すると、昨年の9月末に外来を受診した時に、「畑仕事をした後に右の股関節が痛くなった」と言っていた。「整形外科を受診するまで痛み止めがほしい」と希望して、カロナールを処方していた。

 10月初めに整形外科外来を受診した。以前から腰部脊柱管狭窄症で通院していて、下肢の症状は軽快している。「右股関節痛は内科で出したカロナールで軽快」と記載されていた。画像検査はしていない。

 

 2018年に肝細胞癌の手術を当院で行った。大学病院で肝臓移植をしていた医師も含めて、外科医が5名いたころだった。術後に肺炎を来したり、胆管十二指腸瘻になったりとトラブルもあったが、軽快していた。その後のフォローで再発はなかった。

 手術を担当した医師は転勤となり、最後にひとり残った外科医(この3月で転勤予定、外科常勤医不在へ)がフォローしていた。昨年12月に血清AFP値が高値となり、転移の検索で胸腹部造影CTを行った。

 結果は右恥骨に転移巣を認めた。泌尿器科領域にも広がっているように見える。(PET-CTはがんセンターで施行したもの)

 がんセンターの消化器内科に紹介となり、放射線治療科で放射線療法が行われた。放射線照射の影響(癌の影響も?)で尿が出にくくなり、間欠自己導尿に行っていた。

 今後のことを考えると、当院外科ではなく、がんセンターでフォローしてもらう方がいいようだ。

 

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コロナの診療に追われる

2022年03月03日 | Weblog

 昨日も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の96歳女性が保健所の依頼で入院した。

 2日前に微熱・倦怠感で他院を受診して、新型コロナの抗原キットが陽性になった。通所しているデイサービスの施設でCOVID-19の罹患者が出ていた。

 病院から発生届けが提出されて、超高齢で症状があるため、昨日の入院となった。入院した日は家族の車でやってきたが、家族はその日濃厚接触者としてPCR検査を受けた。

 昨日は内科再来を診ていた。前日に警察に逮捕されて拘置所に入った40歳女性は発熱(37.5℃)があり、診察依頼が来ていた。外来が一息つく昼前に来てもらった。発熱以外の症状はなかった。コロナの検査(陰性)・血液検査は異常がなく、アセトアミノフェン屯用で経過をみてもらうことにした。

 午後は保健所依頼の濃厚接触者のPCR検査を行った。新規入院をみて、その後やはり保健所依頼のCOVID-19患者(79歳女性)の外来アセスメントを行った。幸いに肺炎はなく、その時点では軽症相当だった。ホテルではなく、専門の施設でみることになるそうだ。

 

 入院した96歳女性は、胸部CTで右肺にすりガラス陰影が散在していた。いかにもの典型的なコロナの陰影ではないが、コロナとしての陰影でいいいのだろう。

 白血球減少(3800)・リンパ球減少(8.3%)・血小板減少(12.8万)がある。Dダイマー2.8、LDH303と上昇していた(血清フェリリチンは正常域)。CRP5.8とコロナとしては上昇して中等症相当だった。検査値にはコロナらしさがある。

 入院後に38℃の発熱が見られた。その時点で発症3日目なので、1週間経過を見ないと何ともいえない。重症化しても年齢の点で高次医療機関への搬送はできない。(県のコロナ本部からは、通常の肺炎でも年齢的にしないでしょう、といわれる)家族には人工呼吸までの治療はしないことを了承してもらっていた。

 

 コロナ関連の仕事で、他の入院患者さんを診るのがおろそかになっている。こちらも疲労が蓄積してきている。先日は階段で足を踏み外して転倒打撲してしまった。骨折はないと思うが、臀部に大きな皮下出血ができた。当直明けで、一瞬意識が飛んでしまったのだった。 

 

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うつ病

2022年03月02日 | Weblog

 昨年12月に隣町の病院からリハビリ目的で転院してきた69歳男性が、自宅退院になる。

 

 昨年6月に同病院から地域の基幹病院に糖尿病で紹介された。HbA1cが14%で悪化していたが、インスリン強化療法で6%台まで改善していた。

 11月ごろから食欲が低下して、ほとんど食べなくなった。転倒打撲したこともあり、基幹病院を受診した。検査では特に硬膜下血腫や脳梗塞はなかった。

 そのまま帰されたが、食欲低下は変わらず、また家族が病院に連絡した。入院を要するが、糖尿病として悪化しているわけではないので、紹介先の町の病院に入院治療が依頼された。

 入院依頼の診療情報提供書に「アルコール多飲が判明した」という記載があったが、それは若い時の話でその時にはそういうことはなかった。

(町の病院から当院への診療情報提供書には、「アルコール多飲が判明した、老衰かもしれない」と入院を依頼されたとあった。老衰?。)

 地元の町の病院に入院して点滴をしているうちに、食事摂取はできるようになった。糖尿病もDPP4阻害薬1剤のみで、HbA1c6%台を保っている。ただ、ベット上の生活になっていて、ADLが低下していた。

 そこで困って?、「当院ではリハビリスタッフはいないので、貴院転院でリハビリをお願いします」という依頼が当院に来た。現在そこの病院の院長になっている先生からだった。(昔、勤務していた病院に大学病院からバイトで何度か来た先生で、顔と名前は知っていた)

 転院してくると、意欲の低下が感じられたので、家族にあまりリハビリには乗らないかもしれないと伝えた。それでもリハビリを行っていると、トイレ歩行くらいはできるようになった。

 しかしその後、リハビリの途中に「疲れた、腰や膝が痛い、下肢がしびれる」と言ってやめてしまうようになった。日中も布団をかぶって横になっていた。症状を訊くと、便が出にくい、食欲がわかないと弱く訴えた。

 意欲がない性格ではなく、うつ状態と判断された。抗うつ薬を開始することにした。SSRIのセルトラリンを25mgから開始して、50mgにすると、しだいに良くなった。

 ベットサイドに行くと座位になって話をするようになった(それまでは寝たままだった)。元気な感じは受けないが、暗い表情は(明るとはいえないが)普通の表情?にはなった。不眠はデジレル25mgから50mgにして、改善した。

 そのうち自分から退院後の通院の話をするようになった。自宅からは町の病院が近いので、退院後はそちらに通院することになった。

 現在の処方は、セルトラリン50mg/日・デジレル50mg/日だが、それぞれもう少し増量はできる(前者は100mg/日、後者は75mg/日まで)。

 本人が同意すれば精神科に紹介した方がいいが、郡部では適切な医療機関が少ない。(かかりやすい精神科クリニックは遠方になる。精神科の単科病院はあるが、結構受診に抵抗があるようだ。)

 町の病院の先生がうつ病の治療をどの程度してくれるかわからない。決まった処方で問題なければ継続してくれると思うが、当院に戻されるかもしれない。

 

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