Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

Parade's End 国際会議

2012-10-16 23:15:00 | パレーズ・エンド
DVD来ました。10/6にぽちっとして、到着なさったのが10/13。1週間の空の旅。
でも今見たら、日本アマゾンさんにもあったんですね!お値段はちょっと違いますが。
同時にUKアマゾンさんのマーケットプレイス経由でアメリカの業者に発注したのが別のドラマ「The Ends Of The Earth」なんですが、こちらの到着予定日が11/中旬で、USからでも別にUK経由で来る訳じゃないのに、この時間のかかり方に笑ってしまいます!だって、ドラマのお話が船の旅で95%のシーンが船の上なんですよ。もう、DVDも船便で来るのかと思っちゃいます!!


この実家お屋敷の木のシーンが大大大好きです!!

本編は5時間全部見ましたが、なんか、今感想書いてしまうと、これから見る方のネタバレになるし、さっき勢いで先月末にロンドン大学で開催された「Parade's Endコンファレンス」レポートを訳してみたので、今日はそちらを。
ふーむ。さすがに文学作品ともなるとこんなイベントもあるのですね~。アカデミックな中でドラマのQ&Aって浮かないのかな~。あ、いえ、決してドラマが低次元だと思ってるわけじゃないです。けど、ただ、なんとなく。



「インターナショナルParade's Endコンファレンス」@ロンドン大学
主催:フォード・マドックス・フォード・アソシエイション

原作である文学作品のイベント3日間の中で、BBCドラマの監督スザンナ・ホワイト氏を招いてドラマ作品についてのQ&A会が行われました。


左から2番目がスザンナさんですよね?右端がトム・ストッパード。「戦火の馬」撮影中のベネディクトを見に行って「正に彼だ!」と閃いたそうですよ。

まずエピソード1の効果的な「霧中で道に迷う」シーンについて。馬の色は重要だったのかという質問に対し、スザンナは「馬の色をグレーにしたのは非常に意図的なことで、シーン全体を白とグレーの世界にしたかった。「Some Do Not(四部作の1冊目のタイトル)」とは違って、トムは怪我で処分せざるを得なくなった馬への悲しみよりもさらにカンピオンの車との事故でクリストファーの頭によぎる心配事の方に焦点を当てた。さらにスザンナは、その馬2頭は穏やかに駆け抜ける美しくてロマンチックなシーンと、帽子が落ちて後ろ足で立ち上がるシーンでも使われたことを確認した。

スザンナは時間順に撮影が行われないことの難しさについても話した。ディシャミン家の朝食会シーンは撮影2日目で、アデレイド(ヴァレンタイン)はボイス・コーチと奮闘中だったし、まだ決定してない俳優もいたし、あの時点ではみんなベネディクトの髪のことで頭がいっぱいだったの。シャーロック・ヘアだったのをPE用に白く筋の入ったブロンドにしなくちゃいけなくて。荷馬車は朝食シーンの始めには茶色だったけど、撮影1日目の夜にスザンナは後の霧のシーンではグレーと白の世界に合わせなくてはいけないことに気づき、塗り替えることにした。それで馬車は2日目の朝はまだペンキ塗り立てのカバーがかかったままだったの。

次の質問は、トム・ストッパードのオリジナル脚本がどれだけスクリーンに反映されたか。スザンナ曰く、かなり映像化されているし、省略はテレビ番組の時間内に詰め込む必要からされたものがほとんど。

スザンナは、原作小説からのインスピレーションについても語った。霧の中道に迷ったシーンでクリストファーとヴァレンタインの性的緊張感が非常に重要であることや、そして低い茂みの中での強迫感ただようイギリスの田舎をちゃん描くことがそうだ。またベネディクトは本のペンギン版(ペーパーバック:上の写真)をバイブルのようにかかえてセットをうろうろして撮影の間中そのことについて言及していたとも。

次はキャスティングについて。クリストファー役が最も難しかった。彼は無口であまり感情を出さないし、それでいて視聴者が5時間感心を持ち続けるような役者じゃなければならなかったから。スザンナはそんなことができる役者はほんの一握りしかいないと感じたが、ベネディクトをキャスティングできて信じられないほど幸運だった。

トムとスザンナはクリストファーとシルヴィアに関してはまったく同意見だったのだけれど、カンピオン将軍はもっと難問だった。トムはカンピオンを長身痩身にしたかったけれど、適切な俳優が見つからなかった。スザンナはロジャーを気に入り役に完璧だと思ってたけど。それはまるで、トムのクリストファーのグレイズ・インの部屋が白木張りじゃなくてオークだったのを見た時の落胆が、最終的には全部いいね、となったことのようだった。

また、スザンナは、難なくこなせるだけでなく、それがなくてはならない会話だと思わせることができる俳優を見つけることの難しさを語った。そのため大勢のシェイクスピア俳優やトムの過去の作品に出演歴のある人達になった。

マックス・サンダース教授(フォード・マードックス・フォードの伝記作者の第一人者でおそらく地球上で誰よりもフォードを知る人物!)は、ライでのゴルフシーンを撮影中のベネディクトに会いに行った旅を思い出した。ベネディクトの演技を見てとても安心したこと、誰にとっても困難な、ティジュンを正当に、すなわち思慮深さを表現する資質を充分に備えていることが彼を見てわかったと言った。またサンダースは、演技中のベネディクトをちょっと離れて見ていて、クリストファーがそこに立って頭の中では数学の方程式を廻らせているんだと実際に信じてしまったほどだった。

キャスティングのテーマに戻って、特にベネディクトが原作小説のティジュンと外見がまったく異なる点について。チームは原作通りの外見を備えた俳優を探したかという質問が出た。スザンナは、明らかにふっくらした俳優も見たけれど、結局、クリストファーの内面を細かく解きほぐし、知性を前面に出せる人で進めたことを明らかにした。つまり、記述された外見より、クリストファーの精神性をとった。

次は、ベネディクトが役作りのため体重を増やしたことは本当か、という質問。スザンナは、撮影開始がシャーロック終了のたったの10日後だったのでベネディクトはただちにドーナツを大量に食べ始めたことを説明した。しかし10日間で充分増量するのは明らかに不可能な芸当だし、さらに、順番通りにいかない撮影で、どんな一貫性をも保つのは不可能だったろう。そこで彼はドーナツを10日間食べて、その後はその体重を維持した。ご存知の通り、頬に詰め物をして衣装もふっくらするようにしたものもあった。

それからスザンナは、大人数の主な登場人物が画面に登場していないときも視聴者が覚えていられるように挑戦したことも少し触れた。例えばイーディスやマクマスター。前の撮影で重要な意味があると思った、人物の感情的な動きをグラフにして図示した。これは特に時間軸通りでない撮影が多かったため。しかしながら、110もの会話パートがあったので恐ろしい数のグラフになってしまったけれど!それで役者達にはたくさん宿題ができてしまった。スザンナが言うにはベネディクトとレベッカは素晴らしい出来で、と言うのもベネディクトはいつも誰よりも数歩も早くできてしまうので。

また役者達には、スクリーンには写らない時間に登場人物がどう様々な状況に置かれて行くかの説明も必要だった。例えばなぜ戦後イーディスが辛辣で野心的になったのか、そしてなぜルパート・エヴェレットが自動的にグロウビーの後継者ではないのか、など。

避けられないスケジュール上の疑問も浮かび上がった。スザンナは、彼女が金曜の夜枠だったことで、極めてよく守られたのでは考えた。ダウントンと常に比較されてきたが、それはまったく故意ではないし、実にトム・ストッパードはダウントンの製作決定前から脚本に取りかかっていた。彼女は、もしも、これが日曜の夜だったなら、なぜBBCはこれだけの金をつぎこんでダウントンがはじき出しただけの視聴数を獲得できなかったかという疑問がわき起こったのではと思った。

彼女は、夏放映の枠だったことも有益だったと語った。当時、討論議論の的になっていたから。そしてもちろん、iプレイヤーの視聴数も印象的だったと強調した。

最後の質問はBBCのドラマへの反応について。スザンナは特に新社長のジョージ・ツイストルがParade's Endを賞賛したこと、これがBBCがもっとやりたいことなのだと言ったことが嬉しかった。それから、「The Good Soldier(フォード・マードックスの作品)」もぜひ監督したいけれど、残念ながらまだ誰も予算のオファーをしてくれないの。。。とも語った。

レポート以上


ヴァレンタインの衣装はやはり好きだ。女優のアデレイドさん、天使顔のイメージから小柄な人と思ってたらクリストファーとの身長差は15cmくらいということは170cmくらいか。ふえ。
右はクリストファーの異母兄マークbyルパート・エヴェレット



クリストファーのスコットランド人の親友ヴィンセント。この人いたから救われたのね。この俳優さんがチャーミングだった。


妻シルヴィアは回を増すごとに好きになった。彼女の部屋着ファッションが良かったなあ。