Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

Parade's End ネタバレ感想

2012-10-22 16:37:00 | パレーズ・エンド


Parade's End、自分の言葉で感想書き挑戦します!ネタバレあり注意
60分×5=5時間ドラマです!ふえ~~
でも話は意外にシンプルです。

主人公クリストファー=18世紀大好き北イングランドヨークシャーの地主の息子。
政府会計士。保守的で自分の思想に忠実、頑固。真面目。無表情だけど、気持ちはまっすぐ!
↓写真右は息子のマイケル。息子の姿に自分の子供時代を重ねる場面が出て来る。
 本当は自分のじゃないかも知れない妻の息子への愛は、タイトルにもある
「Parade」が彼の中では伝統のある家を受け継いで行く役目への責任感とも重なる。



妻シルヴィア=美女で流行に敏感で贅沢好き。本来頭はいいけど固い話は大嫌い。
夫を愛し尊敬しているのに、行動には他の男が絡むので、世間や家族から余計な批判を買う。
昔の中上流の女性として男なしで動かない。美女だから動かせちゃうんだよね。。。
↓下の写真は、私が大好きなシルヴィアの姿。ベッドの回りには白百合があるの。



ヴァレンタイン=女性参政権運動家。後に学校の体育の先生に。知的でボーイッシュ。
職業を持つなどドラマでは新しい時代の象徴のひとつ。愛にも何ごとにも純粋で情熱的。
↓戦争から戻ったクリストファーに会いに走る姿は性格を語っていますね。



この3人の三角関係でクリストファーの人生に起こる出来事と、
第一次世界大戦を機に、帝国主義の没落が始まり、機械化が進み、土地こそが財産だったものが銀行のマネーフローへと価値が変わって行く世の中が、表裏一体となってストーリーが進行するのです。
頭が固いはずの男クリストファーも、初めは男と結婚することでしか自分の存在を世界に現せない古いタイプの女シルヴィアと結婚しますが、若くて20世紀に生きるヴァレンタインと出会い、戦争の前線の塹壕の中で死を身近に感じた時、自分にとって生とは何を意味するのか、自分が選びとる価値はどちらなのかに目覚めるのですね!あれ!これって男の成長物語なのかな!

クリストファーは、真面目で融通が利かないタイプです。ただそれだけだったら「いい人だけど変な人」で終わってしまいますし、原作では太ったブロンドの男という設定。でもその半端ない真面目さ、理想追求の信念を美しい振る舞いとして説得力を持たせるため、ベネディクト・カンバーバッチをキャスティング、ということになったのですかね!例えば元愛人と向き合ってテーブルにすわっているシルヴィアをカフェの外から見つけて、妻にきまりの悪い思いをさせないために、自分は姿を消しメッセージをギャルソンに言付けるのです。その行為を彼女は鏡越しに見ていて夫を「chivalry/騎士道のある」と目の前の男に語るのですよ。品のある=度を超すと滑稽でさえある行動を説得力を持って演じられる俳優として!
クリストファーの容姿は、個人的にはファンとしてはあまり好みの部類ではないのですけど、そのキャラクターを現した不器用さまで体現していて、それがその、誠実さ、忠実さを強調して愛すべき主人公になっているのです。
ベネディクトもインタヴューで主人公の性格を今まで演じたどの役よりも愛していると言っていますが、共感しそうな要素に納得してしまいますね!

私は実は前半はヴァレタインの純粋な姿にすっかり心を奪われていたのですけど、物語が進んで、彼女もそれなりにクリストファーと心と言葉を交わし、就職して大人として自分の意見を言ったりするのを見てるうちに、なぜだか理想主義でまっすぐな彼女にもの足りなさを感じ始め、シルヴィアの、決してクリストファーに届かない強い愛にも惹かれてしまいました~~!なんかシルヴィアは恋する女の愚かさも含めてやはり愛らしい存在だと思うので、ラストに彼女にちゃんと救いが用意されていて良かったです!!

その救いのカンピオン将軍は物語の展開に欠かせない、愛らしい紳士で、クリストファーのゴッドファーザーです。彼の存在が、重苦しい主人公のドラマにかなり安心感を与えてくれています。(そして笑いも。。。)

重苦しいと言えばクリストファーの兄マークも!ルパート・エヴェレット演じるお兄様、長男なのになぜか家督から辞退して、結婚せず、お父上の悩みを増幅してくれちゃって。。。怪しいですが、ヴァレンタインの味方でもあるし、父上とクリストファーの間に入って家に貢献しようとはしてるんだけど、クリストファーの誤情報を父上に渡してしまうという、ちょっと、やるならもっと役に立ってよ!といいたくなる元美青年!

カンピオン以外にクリストファーの味方で欠かせないのは親友のヴィンセントで、スコットランド訛りがかわいいホビットサイズのこの詩人さん、女性の趣味以外はすごくいい味だしてるんだけどなあ。恋愛は狂気のようなものだから仕方ないか。。。。

人じゃないけど、まるで登場人物のように心に残るのがグロービー・ツリーと言われる、クリストファーの生家の庭にある古い大きな杉の木です。ありとあらゆる小さなモノが何代にもわたる家族にキラキラびっしり枝にも幹にもくっつけられて、彼の背負う家と土地と伝統をかわりに支えているかのようです。その木が家をつぶしてしまうとシルヴィアは「異教徒(英国教会に対し)!野蛮人みたい!!」と忌み嫌っていたんですね。そしてついには自らの手をその木に降してしまう。クリストファーにとっては、母、父、に続いて自分を縛っていたものをシルヴィアに奪われて、やっと過去ではなく未来に目を向ける決心が本当にできたのでしょうね。

グロービー・ツリーのいい写真が見つかりません。本当はもっともっと美しいのに!


メイキングオブでこの木が作り物と知ってぶっ飛びました===

ところで、上のリンクのインタヴューに、ベネディクトが軍服を着た感想がありました。
あのウールの制服は、乾いた寒いところでは暖かくていいんだけれど、日向ではすごく暑くて、濡れると寒くてただ重いだけ!ただ戦闘マシーンとなって闘うしかない、そうです。ふーん。。。セクシーではあるけど、100年前には実用・機能性はあまりなかったようで。でも、補足すると、ドラマ中、テントで寝ている時は白っぽい肌着(綿かウールね)の上下を着ていたけど、戦場に押しかけて来た妻に会いに行った時は、カーキ色のシャツの下に肌着は着ていなかったので、そこが体温調節がうまくいかなかった一因でもあるかと思います!!
軍服への興味から、昔の下着へまで興味の幅が広がって困ってます。今日、下着の図鑑までポチッとしてしまいました。いえ、ファッションとして興味があるんですよ!アンティークの股引とか大好きです!

では最後の写真は、物語の終わりの入浴シーンから。。。戦友とのパーティー前ですよー^^;



ラストシーンはロンドン、セント・ジェイムズ・パーク横のホワイト・ホールのホース・ガードです。ここで戦争終結のパレードが終わり、(Parede's End)それはまたクリストファーの世襲のパレードの終わりでもあるという比喩ですね。たぶん、ここは本当のホースガードだと思うんですけれど・・・そんなロケできるのかな?
ティジュンズ夫妻やヴィンセントが住むロンドンのフラットのグレイズ・インは別の場所で撮影したと何かにありましたが、私グレイズ・イン・ロードに住んでいたことがあり、グレイズ・インのお屋敷は大きくて美しくてひっそりとしているなあと眺めたものでした!!

22:45追記
このブログ執筆中に夫のJが帰宅して、デスクトップにのせておいた上の入浴写真を指指して「これは誰か」と聞いて来たのには驚きました!1cm四方のアイコン状態だったのに、なぜ見てる??もしやストーカー??おかげで、書き漏れが出てきたぞ。。。きっとそのうちネタバレ感想その2を書くと思います・・・