Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

ジュリアン・アサンジ自伝

2013-10-25 14:19:00 | ベネディクト・カンバーバッチ
ジュリアン・アサンジ自伝」ウィキリークス創設者の告白、を読みました。


密林の「なか見!」から目次を含む数ページが読めますよ!上のリンクからどうぞ。

ウィキリークスがリークした脚本は、映画をひとつの作品として0から見たいので読みませんが、ダニエル本とこの本は元になった事実を両面から見ようと、来るThe Fifth Estate公開に備えて読みました!(いつ?!)ダニエル本がすらすらと読みやすかったので、ではアサンジも!と読み始めてドンヨリ・・・ハッカー達の活動、彼の政治理念、世界情勢と各国政府の動きをアサンジに語られると、私の目が文字を追わなくなって辛いのなんの・・・まるで眠気と闘わされる拷問に耐えたかのように強い意志で読んで疲れました。私のIQ値が問題なのね。

目次と本文の間に挿入されていたサン=テグジュペリの言葉が、アサンジを端的に語っていると思う。
「船を造りたいのなら、人を集めて木を伐採させたり、任務や仕事を割り振ったりする必要はない。果てしなく続く海の広さを語って、憧れを掻き立ててやればいい」
きっと彼の理想として引用したのでしょうが、彼のやり方は理想そのまんま。海の彼方を見つめて、現実問題や他のウィキスタッフに気づかいするダニエルのことはまったく見てません!

広い海だけ見つめてたら、そりゃあダニエルを「子細なことに捕われて大局を見失った不愉快極まりない人間で彼の悪意にはほとほと疲れた」・・・・にしか思えないでしょうよ?!ダニエル本は彼らが実際何をやっていたのかわかりやすく書いてあったけど、アサンジ本を読んでも実際に彼らが何をしてたのかよくわからない。それはアサンジが舵取りをしてダニエルが参謀をしていたようだから立場の違いで見ていたものも違うのだろうけれど。。。

父をあまり知らず母親と放浪した育ちで、家庭とか現実とかの実感を知らない人間になったと思うし、彼は読書が好きだと書いている通り、この本を読み始めてすぐ気になったのは、自分や世界の状況を映画や小説に例える描写が多いこと。ヒーロー願望のようにも感じるし、彼の世界では創作作品と現実の区別がないのかもさえ思いました。

コンピューターと出会うまでは、実の母親と異父弟が唯一常に身近にずっといる人だったはずだけれど、家族に対して、彼がどんな感情を持っていたのかも、本からはよくわかりません。書いてないから感じてないとは思わないけど、彼の感情は、正義に叶っているかどうか、それに伴って行動した自分の扱いが不当だったり契約違反だと思った時に、相手の悪に対して燃えます。世の中の不公平や、私利私欲は誰だって好きじゃないけど、人間がそういうつまらないことに動かされる動物だってのも事実で、もちろん、権力が情報を操作する側に集中するのはいけない、ということには私もまったく賛成だけど、すぐ近くにいる人間のケアをしないで、世界で搾取されている人を救いたいと言われても、私は信じないよ!!

・・・ということで、映画の原作に本人の告白本(しかも原稿料もらってから出版をやめたいと言って来たので非公式本になってしまってるそうですよ、出版社によれば。)よりも、不愉快際まりないダニエル本とガーディアン編集者の本が製作者に選ばれたのは、この本からは具体的なことが見えて来ないという理由で、仕方がなかったのだと思います。

と、反アサンジ側にまわるようなことばかり書きましたが、納得、同意する箇所もたくさんあります。「権力者の秘密情報を暴き平等な世の中にしたい」ことには大賛成です!「問題は僕がリークしたことばかり取り上げられて、リークの中身(政府や大企業の悪事)に世間が注目しないことだ」「僕がリークしたことで傷ついた個人は誰もいない。」それがなぜ犯罪者として身を追われて今も拘束されているのか、それは・・・The Fifth Estate を見ればわかるのかな?アサンジに気力をかなり奪われてガーディアン編集者の本に手を伸ばす勇気がまだ出ません・・・・・早よ映画ーーーー!

Yes, yes, I do. More than a secret...