Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

フランケンシュタイン再び

2014-04-07 20:45:00 | ベネディクト・カンバーバッチ
両バージョン1回ずつ見て来ました。フランケンシュタイン再上映。先行予約で当選したチケットはなんと1番端っこ、しかも入場口階段の上という特殊な位置のため前は手すり、後には席はないという孤独席。ロイヤルボックス席と勝手に命名して落ち込まないようにしました。しかしそこはオープンしたてのTOHOシネマズ日本橋!スクリーンは凹面なので端でもちゃんとよく見えました。


この縦の裂け目は人間の産まれて来るヴァギナを連想させるし、ベネディクト・クリーチャーは裂け目から出た後にそこからぶら下がってるヒモで遊んで喜ぶのですが、あれは臍の緒みたいでした


前回観賞後に私の頭に残ったことは、まず、hedgehogさん提唱のフランケンシュタイン博士=同性愛or性的不能説
それと、原作者メアリー・シェリーの育ちと執筆環境を知って疑った、産む性としての自分のジェンダー嫌悪
ああ、こうして書くと、ダニー・ボイルが言った人間の普遍的な問題、「神と人間」「自然と科学」などの対立はどこかに吹っ飛んでます。もちろんそういうテーマも重く受け取りましたが、もっと個人的なテーマをより感じるのは私が女性だからなのでしょうか・・・

2回目なので、最初にBCクリーチャーを見た時そのあまりの異形さに直視できないほど哀れに感じたのに、今回はかわいさ倍増、しっかり見入って「足の指の演技がうまいな」とか「ロンパって相手の目を見ない視線と正常に目を合わせる視線が交互に出るのが怪物っぽいな」と分析さえしてました。



二人の俳優の違いもよりはっきりと分かるように。JLMはクリーチャーも博士もBDよりも輪郭が強く、元々は正常だったのが「研究に没頭」「人造人間だから」という理由があって普通じゃなくなっているキャラに見えた。時がたてば狂気も治まり怪物もやがて人間になれるのではないか、と思えた。一方、「天然の気違い博士」と「創造物」に見えるBCキャラのふたりは治らない。あれが博士とクリーチャーの自然な姿に思えてしまう演技でした。BCは瞳の色が薄いことは遠目にはわからないのに、存在感そのものが薄いんです。JLMがしっかりと影と輪郭線がある油絵としたらBCは水彩画のように儚いのです。声もバリトンで身体も大きいのに、はっきりとこの世のものに見えないのです。

印象はさておき。

前回見た時に、ラストシーンで感じた博士とクリーチャーの一体感。
今回はそれを全編に感じる結果に。なぜなら一番上に書いた、ふたつの説が頭にこびりついていたから。
フランケンシュタインは同性愛者か不能者か。原作ですと、彼には愛する大親友がいて同性愛者の可能性もあるのだけれど、ニック・ディア脚本では大親友は割愛されているので、どうやら不能者じゃないか。という目で物語を見ると、博士の婚約者エリザベスに対する関心のなさに納得できます。女性があれだけ積極的に愛を(性を?)求めてるのに、頑に拒む男!たとえ頭の中が怪物問題でいっぱいだったにしてもあり得ない拒否。でも研究に取り憑かれた博士は自分の不能は意識になかった。それが、自分の研究の実であり失敗と思ってたクリーチャーに「愛とは・・・」と説かれてしまい、悔しくも意識したのじゃないでしょうか。エリザベスの言う普通の方法で子供を作れないフランケンシュタインは、無意識に不能の穴埋めとして人間を作ったけれど、その結果、成長したクリーチャーは本当に博士の欠陥部分を補う役割になって、彼の婚約者と交わった。博士とクリーチャーは二人でひとりの男なのです。

さてメアリーのジェンダー嫌悪の方は、実は彼女がまだ18歳だったことを考えるとそんなに不思議じゃないです。リンク先の記事にも書いたけれど、教養のある頭のいい少女だったんです。知的活動する人間が、頭のいい紳士や自分が、動物と同じように性交する事実を、ひとつの世界に統合してる最中だったんじゃ・・・もしかして現実に彼女はフランケンシュタインが言ったような「女は男のように考える能力がない」「女の得意な事はあるのか」と男に言われて冗談じゃない!と思ったかも。必死で自分の知性を証明したかも。彼女は妊娠して、せっかく頑張った理性の証明よりも明らかな自分の身体の変化に無理矢理統合させられたんじゃ・・・

だからやはりあの物語は、「知性」vs「愛と肉体」の統合物語に思えるのです。主従関係は逆転するんだけれど、相反するものがイン&ヤンのように、互いに必要として完成するという。そして新しい光の世界にふたりで漕ぎ出すというラストシーンが大好きなんです!!!!
統合なんてダニーもニックも言ってないんだけれど、あのラストはそういう風にしか解釈できなくて。
でも、どなたか「こんな意味にもとれるよ!」と思われる方、ぜひご意見聞かせてくださいね。