Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

ダンケルク

2017-09-18 15:46:00 | その他の映画・ドラマ・舞台

2017/7/14レスター・スクエアでのワールドプレミア 写真は全4枚ともBBC NEWSより

留学生は台風のため1日東京ステイを延期して、今朝、東京駅までお見送りしてきました。そしてその足で「ダンケルク」へ。

緊張みなぎる映画で全身硬直して見たのと、1週間のホームステイの仕事が終わった開放感からか、今すごい倦怠感に襲われています!

しかしながら、やはり「ダンケルク」を見逃さなくてよかった!!いい体験ができた!と思える映画でした。(それなのに完売でパンフが買えなくて悲しい)

予告編を見て「おお、ブラナーさんのような大物が出ているのかっ」と思ったのと、娘の好きな1Dのハリーが出ているくらいの前知識以外はなるべく情報をシャットアウトしてきたのですが、

なんとケネス・ブラナーとハリーだけではなく、トム・ハーディーは出てるわ、市井の船長に存在感があると思ったらマーク・ライアンスは出てるわ、ブラナーの隣の将校さんが光り輝いている!!と思ってよく見たらジェイムズ・ダーシー!

これは見逃したら自分を一生責めたことでしょう。映画のネタバレは避けるにしても、キャストだけは知っておかねば、と深く心に刻みました。

それから、ダンケルクという土地は、なんと私はその響きからドイツにあるのかと思っていたのですけど、ドーバー海峡に面しているのですからフランスだったのですね。

そんな私でもメッサーシュミットがドイツでスピットファイヤーが英空軍とわかっただけで戦争シーンが混乱なくシンプルにわかるようにできているのにもうなりました。要するに英軍の視点で書かれているからなんですけどね。

スピットファイヤーを見なくても「ロールスロイス製のエンジン音でわかる」と言ったのがマーク・ライアンスの船長だったのもカッコよかったです。

そのマーク船長の船に乗ってきて事故で亡くなった若者の新聞記事のエピソードは、戦争という国対国の緊急事態にも、一個人の存在が民間の普通の若者の手によって尊重されたシンボリックなエピでした。

それと同じことが、チャーチルからその下の現場の将校たち、若い下士官、民間の人たちにまで徹底していて、国の命令よりも、祖国「home」のために命を救う意志が感じられました。

そういうことで、ラストには、愛国心に訴えるような高揚感がこみ上げるようにできてましたから、これはワールド・プレミアにハリー王子が出席したり、プレミア試写にダンケルクでの本物の退役軍人が招待される国をあげてのイベントになるわけです・・・



俳優さんたちや演出や飛行機に見惚れながらも、

戦勝国イギリスのこの手のイベントにはなぜか複雑な気持ちになるのは、私が敗戦国の国民として、戦争(正しくは国に尽くした人なのでしょうが)を讃えてはいけないという価値観があるからでしょうか。

日本では戦争記念日は今のところ「あんな悲劇は二度と繰り返してはいけない」という厳粛なマイナスの空気に包まれますが、

イギリスでは、空軍の空のパレードでバッキンガム宮殿の上空で華々しい栄光を祝うお祭りとなります。しかも、退役軍人が写真のように車椅子で一般人に混じって参加しているのですが、ユニフォームに勲章をきちんとつけて、同じように年老いた奥さんに付き添われて晴れの舞台に現れている印象です。



ラストに燃料の尽きたスピットファイアを無事に着陸させたトムハは文句なしにカッコよかったですが、

クリストファー・ノーラン監督が「ダンケルク」を撮るにあたって参考にした映画の中に戦争映画に混じって「炎のランナー」を見つけた時、なるほどなあとストンときました。最終的に国威に結びついても、個人の行いであった。

プレミアが戦争記念会みたいになったのは別として、戦争という名誉をかけた価値観に動かされる局面でも、個人個人が人命を救った作戦、戦いの映画だったので私はこの映画が好きでいられるんだなと。