Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

NTLive語る会vol.8「みんな我が子」

2019-10-26 19:47:00 | コリン・モーガン
もう8回目の「ナショナルシアター・ライブを語る会」。

きのうの夜(「リア王」講座)から丸1日もあけずに河合祥一郎センセイの司会進行とは、まるで私が河合センセイの追っかけのようなw

私にとっては初の「語る会」で何10年ぶりの駒場です。駅の出口=大学の門。



なななんか看板が目につく・・・



でも少し進むと簡素な感じで、文京区の東大に近い雰囲気



やがて門のところにあったようなダサくはない立て看板が



近寄ってみると



なななんてご親切に!



ついて行きますとも



(途中でカフェなかったなあ・・・おなかすいた)




壇上ゲスト:
松岡和子(シェイクスピアの翻訳で有名ですね)
水谷八也(早稲田大学文学学術院教授/「みんな我が子」パンフ寄稿)
柏木しょうこ(字幕翻訳家)
兵藤あおみ(演劇ライター)
中村未知子(カルチャビル←日本NTLive配給)

NTLive、シェイクスピアや演劇界で活躍されている豪華メンバーです。

河合先生はNTLiveで多いシェイクスピアのご専門ですが、なんと学生時代にこのAll My Sonsにジム役で英語劇に出演されたこともあるそうで、イギリス演劇だけじゃないのですね。All My Sonsのセリフを読んでもシェイクスピアに聞こえました!

水谷先生は新訳をされていて、芝居の終盤にあるジョーのセリフの中の「All my sons」の訳をそのままタイトルにしました。「彼らもまた、我が息子」と。
いいですね!だってそこで英語で見てる人はタイトルの意味を知るんですもの、日本人だってそういう楽しみは欲しい。

松岡さんの感想:ナチュラルな演技でまるで映画を見ているようだった。映画俳優さんたちだからなのか。NTLiveのために作られたような舞台では。

これに対し、水谷先生が「ビル・プルマンの視線の演技なんて劇場ではわかりませんよ、あれは映画の演技です」と。

ふむふむ!

私も劇場で見て気付かなかった涙や表情にスクリーンで驚いたのも無理はなかったのね!

(でもここで誰もコリン・モーガンの表情には言及してくれない)

柏木さんによるとライティングも凝っていて俳優が喋っている時にスポットライトが比喩的な場所を照らしたりしていたそうで、若いエッジーな演出家が伝統的な芝居の中で見せた反抗では、と兵藤さん。

そしてそして、

話の中心は、ジョーとケイトで、

ジョーはアメリカ的理想像(西部劇の男)家父長制の象徴として、町でも部下に罪を着せた男と知られていても「成功」した男として社会的に容認されていた。ただしビル・プルマンは親分肌の男らしさはあまり見せずその点ではミスキャストなのでは、という意見も。へーなるほど。

ケイトは実は裏幕で「夫が息子を殺したなんてありえない」世界を演出し続けていた。
いや、ストーリー的には私の最初の感想は「弱いふりしてみんなを自分の都合通りに動かす女怖い」だったから、黒幕というより明らかだったんですけど・・・

このふたりの隠蔽は、資本主義に生きる人誰にでも起こりえることだよね、というアーサー・ミラー節の話が深く掘り下げられて、

参加した一般人の質問受付コーナーに。

ここで私はフツフツと「誰もクリス(コリン・モーガン)とアン(ジェナ・コールマン)の話をしない」ことについてグルグル迷いだしました。

どうもみんなの関心はそこにはないようだけど、私が来た目的はそっちなのだから、ここで私が何も言わなければ「日本での『みんな我が子』への関心は私とは全く違ったところにあったんだ」とがっくり頭を垂れて帰るしかない。

勇気を振り絞って

「私はあの若いふたりを見るために行ったんですが(ここでロンドンまでと言うのを忘れる)専門家の先生からのコメントを聞かせてください。」

水谷先生「ファンなんですか?」

私「はい。」

水谷先生「クリスとアンよかったですよ」

・・・ここで終わりそうに見せかけその間に思いついていただいたのか、

「クリスという人は爽やかすぎる男ですけど、単純でウブな青年というだけではなく、戦争で多くの部下を失ったと言っている。もしかして見殺しにもしてるかもしれない。日本の自然災害にもあるんだけど、生き残った人の罪悪感を持ち続けていて、自分は幸せになってはいけないと思い込んでいる。だからアンとの距離感もあり、自分としてアンとキスをするよりも元恋人の兄としてのキスになってしまうんですね。」

ナールーホードー

そして柏木さんが「アンは1日のうちでやたら着替えるんですけど、4着も着るんですけどあれは何かしら」

(*ドレス2着とプラスカーディガンだけじゃなかったでしたっけ?)

水谷先生「それはやはりアンの美しさを見せて彼女と結婚したいという気持ちを見せるんじゃない」

(昼のドレスからお出かけ用のドレスに着替えて、夜になったからその上にカーデを羽織っただけじゃないのかなあ?と思った私とは違う専門家の先生だなあ・・・)

それと面白かったのは、

「この後、クリスとアンは結婚しないよね。」

と柏木さんがおっしゃったことです。私には「そして結婚する」としか想像できなかったので。それから会場は、結婚する派vsしない派に分かれました。

確かにクリスの性格としては、自分の親がアンの親にしたことを許せないでしょう。

でもここで、なぜ私がふたりが結婚すると思ったかと言うと、アンはもともとすべてを知っていてもクリスと結婚したいからです。

そして柏木さんもおっしゃってましたが「ジェナ・コールマンは可愛らしい顔をしてものすごく気が強い役をドクター・フーでやっていた」

イギリスにいる人は皆それを知ってジェナを見てると思うんですよ。

方やコリン・モーガンは、ほとんどの役で「報われなく」でも誰かを守る忠誠心が強く健気な役多し。

この組み合わせならば、ジェナが「私と結婚して乗り越えましょう。ふたりで1からお父さんとは違うものを作ればいいのよ。」と言えばなんだかんだで生きるならそれしかないと思うクリスが目に浮かびます。

幸せになるかどうかはまた別の話ですけど、ジェナが欲しいものを手放すなんてありえないんです。← 完全にクララとヴィクトリア


すみません、あまりにも私以外の皆さんが完全にジョーとケイトに集中、隣のスージーとかリディアとジョージは昔付き合ってたよねとかの話は出たのになぜかクリスとアンの話が聞けなかったものですから、レポのつもりが最後は自説シャウトになってしまいましたことをお許しください。。。。