Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

「華麗なる恋の舞台で」感想

2014-03-15 22:58:00 | モース&ショーン・エヴァンズ


下の方に3/16付追記しました。そこはネタばれありです。新作映画じゃないからネタばれなしにと努力してもあまり意味ないかと思い直したのと、実はそこがおもしろかったので・・・・


なぜか突然2004年の映画「華麗なる恋の舞台で(原題Being Julia)」を見ました。10年前のショーン・エヴァンズが出ていると耳にしまして、ジェレミー・アイアンズも出ている、美術監督が「ハワーズ・エンド」と「日の名残り」と同じ人、ということで興味を持ちました。

主演ジュリアを演じたアネット・ベニングはこれで主演女優賞を受賞したりノミネートされた、原作は有名なサマセット・モーム。
売れっ子舞台女優が中年の危機にさしかかった時に若い恋人と出会って・・・という話は、どこかで聞いたようなお話だけれど、後半の展開が楽しめました。

しかしね、もう若くないと自覚した女性が自分にまだ魅力があるかと悩むってのは、なんか現実味がありすぎて私には正直言って辛かったですよ!そしてなぜかアネット・ベニングには感情移入できなくて。彼女はエマ・トンプソンみたいに知的な役なら素敵だろうけど、こういう感情に溺れるタイプに見えないんだもの。。。最初はミランダ・リチャードソン(パレーズ・エンドのヴァレンタインちゃんのママ)にこの主役の話はあったとDVD特典映像で見つけた時に、彼女だったらよかったのに!と思いました。

しかしですね、この映画のすごいところは、彼女を取り巻く男達なのです!
まず、夫マイケルがジェレミー・アイアンズ!!



彼は元俳優で今は劇場経営にビジネスセンスを発揮して、妻で大儲けしているやり手イケメンです。妻がワガママ言っても、それを甘く丸め込んでしまう器です。

そして「ファンで~す」と現れて、積極的に口説いてきた恋人トムがショーン・エヴァンズ!なぜかアメリカ人!イギリス男にはないロマンチックでセクシーな若者という設定なのかしら?それにしては、お茶を入れる仕草が板についていたわ。



長年の友人チャールズ卿がブルース・グリーンウッド(スタトレ/パイク艦長)!!女優である主人公ジュリアが唯一本心を話せる友人。ダンディーとはかくあるべきという、ジェレミーとは違う大人の魅力を発揮してます。彼は後半の要のひとつ!



息子ロジャーも美少年~美声年、トム・スターリッジという俳優さんでこの役にぴったりでした。パブリック・スクールを卒業して進路を考え中。彼もね、ママの坊やだと思っていたら作中だんだんいい感じになっていくのですよ・・・



演技の恩師ジミー・ラングトンはマイケル・ガンボン!!ホグワーツの校長先生に教わったら何も恐くない・・・というのは冗談ですけれども、この先生はジュリアの守護霊のように、行動の指針。



ああ・・・なんて羨ましい環境だろうか。これだけの役者が揃っていれば、どんなストーリー展開になってもどう転んでもいい人生を過ごせると思います。しかし、主人公の大女優だけでなく、若い女優も出て来るのだけどそっちもピンと来ないのですよ。この豪華な男性群に比べてなぜ女優達には華がないんだろう??もしや、スタッフ、特典映像で見たら監督もプロデューサーも男性だったけど、男性が恋愛対象か?とまで思って調べたけれどふたりとも女性のパートナーがいました・・・・ただ、映画キャスティングには関係ない、原作者のサマセット・モームが同性愛者でした。むむむ、ジュリアの演劇の恩師のように、モームは映画製作の背後霊守護霊となって美男を配したのだろうか。だったら女優の方も手を抜かないで欲しかったです。







*ご注意  ここからネタばれありの追記


ジュリアの心のオアシス、チャールズ卿は貴族のイケメンで、恋人が若い女優に走った時も、傷心のジュリアに寄り添ってくれるのですが、身も心もすがりたくなったジュリアのキスに、「女性を恋愛対象としていない」と告白するのです。ああ、昔から、気の強い恋多き女の理解者はゲイの男だったのですね。で、ラストはジュリアが若い男女におみごと復讐する大円団がこの映画のクライマックスなんですけれど、そのパーティーに彼は若い愛人と思える男性と出席するんです。そこをジュリアの息子が通りかかる時に、そのゲイカップルに視線を一瞬投げるのです。その少し前に、息子はママとの会話で、「僕も自分の道を行こうと決心した」と語ってるんだけど、その僕の道とは視線の先のことだったのかなあ、と私にだけかもしれないけどもうひとつのクライマックスが隠されてたように思うんですよ。原作は1937年に書かれていて、ゲイは有罪だったはずなのでおそらくこの脚色は後に同性愛だとわかった原作者モームへの、製作者のリスペクトかと思ったんですが、はて原作を読んでいないし、息子の視線の意味については公式サイトにも載ってないしで、証拠はないのですけどね。

Traditional Weatherwear

2014-03-12 20:10:00 | ファッション


通勤用のバッグは、以前はレザー製品を使っていたのですけど最近はトートバッグに落ち着きました。しかもペランとした生地だと私の場合冬のコートに合わないのでキルティング素材がボリューム的にバランスがいいんです。レザーのバッグを持ったらトートやエコバッグは薄い生地の方がいいのですけど。

それで最近本屋さんの雑誌コーナーにたくさん置いてあるカタログつきのバッグ(本棚にあるんだからメインは雑誌なんでしょうけど、バッグが欲しいから買うのですよね?)にキルティングのを見つけて、SCOTLANDって書いてあってちょっと嬉しくなり、ブランド名は「Traditional Weatherwear」ってよくわからないけど買いました。

買ってから調べたら、レインコートの「マッキントッシュ」の会社名を名前にして日本で売り出した英国マッキントッシュ社のブランドでした。そして驚いたことに、英国マッキントッシュ社は日本の企業が所有していたのです。私がすっかりファッション業界に疎くなっているうちに・・・

Wikiによれば、19世紀にスコットランドでできた会社で、オリジナルのゴム引き防水布で作ったコートが人気となり、軍、国鉄、警視庁への供給をしていた。そしてここからは私の推測ですが、1970年代に安価な人口繊維が台頭し、その後ハイテク防水繊維が世界中で開発されて、制服業界でのシェアは落ちたのじゃないでしょうか。しかし伝統と歴史はお金では買えない貴重な財産ですから(ここからまたWikiによると)21世紀になってグッチ、エルメス、ヴィトン、リバティなどのトップ企業とコラボをし、そして、そして、日本女性に大人気となったんですって!調度その頃、私はロンドンにいて、実はeBayで自分の不要になった服を売っていたのですが、マッキントッシュのレインコートを出したら、日本の方が落札してくださったんです。そうか!そうだったのね!
(私のコート、セールでサイズがちょっと大きいのに買ってしまい、ほとんど着なかった)

そして2007年、マッキントッシュは日本の商社に買われたそうです。その年には調度私もロンドンから東京へ引っ越したので、なんだか勝手な親近感を感じました。日本では私が買ったバッグのブランドを、日本のカジュアルなマーケットに合わせて展開しているみたいですね。2011年にはロンドンの高級ブティックエリアのメイフェアにMackintoshのお店をオープンしたとのことで、日本企業が英国伝統をちゃんと支えて欲しいなあと思います。バブルの時代に、ピカデリーの老舗デパート「シンプソンズ」を日本の企業が買収したのですが、なくなってしまいましたし、「アクアスキュータム」も日本企業が買って、一度イギリスのイェーガーに買収された後、2012年には中国企業のものになっていますから。

ちなみに、Mackintoshという単語は、イギリスでは「レインコート」を意味します。別に防水布でできていなくてもレインコートならマッキントッシュと言います。ブランドのMackintoshは高級品です。一流のお店にしかありません。しかし一般の人々にとっては、高級ブランドは知らなくても知っている言葉なのが微笑ましいです。

ヨーロッパの装飾と文様

2014-03-09 10:33:00 | いろいろ


今、この本を読んでマス。
BBC/シャーロックをきっかけにドラマ&映画見るようになって
→原作の本読んだり、
→その時代の遺産でもある美術作品など見に行ったりしてたら
→意味が知りたくなった

10代にマンガを描いていたので絵にはもともと興味はあったのですけど、西洋芸術のアイコンや様式の意味をひとつひとつとか体系的に知ってたら、もっと面白いのかと思いまして。なんとなくは知ってることもあるけど、専門に研究してる人が整理して並べてくれて、頭がスッキリします。

それでこの本は、様式の名前やモチーフ、地域(ロシアや中国とか)や時代など簡単な切り口で写真や絵がメインで簡単に説明してあるので私のような難しいことは読みたくない!って人にぴったりです。それでいて格調高い装丁なのも好ましいです♡

例えば、実在や想像上の動物が持つ意味が、日本の絵なら鶴や亀はめでたいとか桜や梅は春の喜びとかピンと来るように知ってるものが増えれば、美術展を見る楽しみも増えるかと思ったんですよね。さて、読み終わってから美術展に行けばその効果のほどもわかるかな。。。



「それでも夜は明ける」感想

2014-03-07 18:06:00 | ベネディクト・カンバーバッチ


鞭シーンが恐くて身動きできず何度も手がしびれてしまいました。
黒人奴隷を逃がさないよう脅しと罰の鞭打ち。描き方は見る人を配慮して撮ってあるのですが、それでも行為そのものが残酷なので、想像力がなくたって充分痛い。
宗教心の強いアメリカ南部でよくもこんなことがまかり通ってたとふと疑問に思ったけど、つまりキリスト教の教えは「人間にのみ」当てはまるので、黒人は人間じゃないから家畜だから持ち主の勝手、という発想だったのですよね。それにしては、反抗できない奴隷の女性を犯すとか旨い部分だけいただいて、読み書きしたら知恵がつくからいかんとか警戒して、人間だとは心の奥で南部の白人も知ってたに違いない。だけど合法だから自分の富や立場を守るためにやっていた、と。
戦争では敵国人を多く殺すのが正義、とそれと同じで、人間が作った制度で、人が人の人権や命を奪うという・・・

メインの登場人物、主人公ソロモン(イジオフォー)、奴隷主のフォード(カンバーバッチ)とエップス(ファスベンダー)、奴隷女性の波パッツィー(ニョンゴ)以外に、私の心に残ったのが、フォードの白人使用人ジョン(ダノ)。

こいつがね、低い地位の白人にありがちな弱い者いじめで。アメリカの現在には詳しくないのですが、ヨーロッパでアフリカ人やアジア人の排斥をするのも、教養のない収入の低い白人の労働者階級に多い。彼らにとっては自分に残された尊厳が白人であるということなので、非白人を攻撃して優越感に浸りたい。私も数年のロンドン時代に出会ったのは児童公園で貧乏そうな白人の子供にChina,Chinaとからかわれたくらい。子供だからたぶん親の価値観の受け売りですね。攻撃はされなかたけど、バスで隣に座ってたおばさんが、スーパーの袋から賞味期限が近づき値引きされたサンドイッチを出して食べながら読んでいたのが外国人排斥運動の文章だったことも。

そしてもうひとり心に残った人は、名前を覚えてないけど、日曜日(キリスト教の教えにより、日曜は働いてはいけない。なぜかそれは奴隷にも適用されたいたようです)に、パッツィーがお茶に訪問していた黒人女性。会話によれば、彼女も元奴隷だったけれど所有者に女として気に入られて、奴隷労働は間逃れて、たぶん家と女中を与えられて暮らしている。そしてパッツィーに「旦那の慰み者になるつらさはわかる。夜は目をつむりなさい。」という趣旨のことを諭す。でもパッツィーの方はソロモンに「こんなふうに生きるくらいなら死んでも神は許してくれる」と殺してくれと頼むんですよ。希望を捨てずに生きるソロモンには断られちゃうけどね。

この(たぶん)妾として生きる女性は「綿を摘まなくていいんだから幸せ」とお茶を楽しんで、状況の中で少しでも幸せに生きようとしてる。彼女と、さっきの弱い者いじめの白人労働者のふたりは、奴隷とその主人は私の見渡す限りはいない(世界のどこかにはいるかもしれないけど)今の世の中にも、大勢いるんじゃないかと思ったんです。

特に元奴隷の女性なんてすごくわかるなあ。
私のバイト先の上司は、非合理な指示をしたり、社外に社会人として正しく対応できないし、いわゆるパラハラしても自分にはその概念も理解できない、尊敬できない人。そういう人とは議論しても違う理屈で生きてる人だから無駄だよなあと、バカにしながらも指示をハイハイ、と聞いてるんですよ、私。彼女に「それは違う」と反論する人も職場にいるんだけれど、マネージャーにふたり呼ばれて協力して仕事するように、って幼稚園のケンカみたいに諭されて結局その上司の非が認められることもないのを見てしまうと、処刑されないよう黙々と綿を摘んだり、サトウキビを刈る奴隷のようになってる私。

現行制度の中で少しでも自分が幸せに生きようとしたのは、「それでも夜は明ける」の奴隷主達やその奥方達、奴隷商人も同じなのかもしれない、と小さい役の登場人物達を見てて思えました。

ところで、ブラピがかっこ良かったです。もうずっと彼の出演作は見ないままなのですが、ずっと昔、12モンキーズの時はサイコな役だったけど汚い身なりでかっこ良かった。あれを思い出す長髪と髭面で、しかもソロモンにとってはものすごく重要な役、つまりなかなか美味しい役。ブラピがプロデューサーとして言いたかったこともその役の人が作中で言っていた。力とお金を持ったイケメンの底力に感服しました。昔、アンジェリーナとマイノリティ人種の養子をもらったりしてた時には、彼の考えまでわからなかったけれど、今この映画でわかったような気がします。

人種、セクシュアリティ、性別

2014-03-05 22:06:00 | 異文化
「それでも夜は明ける/12 Years A Slave」がアカデミー作品賞を受賞し、アメリカという国を見直しました。黒人奴隷の実話の映画。簡単に言うと、人種差別の罪を白人中心のショウビズ界が認めたということになるのでは?まだ残る差別をなくしていくために必要な大きなステップだと思いました。正直言うと、ベネディクト・カンバーバッチが出演していると言っても、重くて辛そうなので楽しみに待つ映画ではありませんでした。でも受賞をきっかけに製作のブラピや監督、知らなかった主演や助演の俳優さん達の姿を見たり聞いたりすることで映画が見たくなりました。世界中に私のような人は多いはずですよね!

それと主演男優賞は「ダラス・バイヤーズクラブ」で80年代のエイズ患者を演じたというマシュー・マコノヒーが受賞。同作でトランスジェンダーを演じたジャレッド・レトも、助演男優賞を受賞という快挙。エイズ患者やゲイの人達は、差別されてきた存在。その人達にスポットライトが当てられたのは、今までタブーのような扱いだったのでこちらも大きな意味があると思いました。少し前にベン・ウィショーが演ずると決まったクイーンのフレディ・マーキュリーだって、80年代にエイズを発症し、当時はホモセクシュアルに神が下した罰とまで言われたエイズへの偏見からのスキャンダルを恐れたのか死の前日までプレスにしつこく追いかけられながらも事実を公表しなかった。理由は彼の家族や友人にまで偏見が及ぶのを彼は防ぎたかったから。

人種、セクシュアリティ、病気ときて、性別への差別問題も、今読んでいる「フランケンシュタイン」の舞台脚本by Nick Dearで感じました。200年前のイギリスの女性に対する考え方について、ちょっと前に原作者メアリーのお母さんがフェミニストだったと知ってから、あの劇の中にあるヴィクターの女性差別発言が実はなかなかすごかったんだなと気がつくようになりました。昔の考えだからこんなもんだとスルーすることも簡単だけれど、長い原作をあんなに分かりやすく書き直してもヴィクターが女性をまったく理解してないことを残したのは興味深いです。

と、ここまで映画とお芝居の話でしたが、なぜこんなことを考えていたかというと、実は、今日バイト先にて気分よくない体験をしてしまったからなのです。

私のバイト先はアメリカ系外資で外国人スタッフも多いですが、1番多い国籍は地元の日本人です。でもこういう企業は英語や他文化理解のための研修もあるし、元々外国経験があるとか海外生まれだとか、海外文化が好きという人も多い。
それでね、今日話した日本人のおじさんは、たぶん自分はオープンで進歩的だと思ってて、私の所属する部署が6人全員女性だからって「百花繚乱でいいねえ。オレも転属したいな」って始まったんです。最初はちょっと褒められてるようないい気分。そのおじさん、切れた蛍光灯を新しいのに変えにきてくれたのですが、私達が「すごく明るくなって嬉しい、ありがとうございます。」ってお礼を言ったら、「あんまり明るくなるとシワが見えちゃうんじゃない?」と言い出して、その時いた私ともう1人の女性スタッフはムッとして「シワないから平気!」と返したんですね。すると今度は「君達はいいけど、困る人も数名いるんじゃない?」とうちの部署の先輩達のことを言い出したんですよ。
いや、私だってもう1人のスタッフだって子持ちのいい年。比較の問題じゃない、その話題を冗談で終わらせずに長々と笑えない年代の人達まで持ち出して引っ張るとは。。。。私の大ッ嫌いな日本のおじさんの会話だ。こんな所にもいたのか。どんなに目の前の私をたてたって、そこにいない女性のことを笑って、私が面白がるとでも思ったんだろうか?

他の国の男性でこんなこと言った人は少なくても私は知らない。日本のおじさんでやっかいなのは、自分ではレディ・ファーストのできる進歩的な男だと思っていること。自分の発言が人を傷つけていると知らないこと。他の国の男だって、若くて奇麗な女性が好きに決まってる。ワタシだって好きだ。だけど、だからと言って若くて奇麗でない人を傷つけては失礼だということは知っているから言いません。年齢だって、日本人以外も実はすごく気にしてる。だけどその話題はしてはいけないと知ってるからしないだけ。そのおじさんの発言、女性ということを特別視して、年齢による容姿を笑うなんて女性差別だわ!と思ったんだけど、これ書いてるうちに、その前に社会的な礼儀を知らないアホが日本のおじさんに生き残ってるんだと気がつきました。
200年前の天才科学者ヴィクターが女性とは会話できない、と思うのはまだ仕方ないとして、21世紀の多国籍企業にまではびこる日本のおじさんが男だというだけで女性をバカにするのは許せん。