Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

VICTRIA 0203

2017-09-17 13:50:00 | トム・ヒューズ
まだ留学生くんはステイしていますが、私も休みなので昼間夫や子供達が外に連れ出してくれている間、私はついに「VICTORIA」の0203を見られました~!

今エピはなかなかの感動もので、こんなに生活がバタバタしているのに必死で見ることもないんじゃない?と我ながら思いもしたのですが、見てよかった!!幸せです!





仮装舞踏会にヴィクトリアがお取り寄せしたクラウンを被るアルバートと、うっとりと「お似合いよ」と見つめる女王、この箱を開ける過程も面白かった。

箱が届いて「あなたへのプレゼントよ」と言われても「南京条約に目を通し終わったら開ける」というアルバート。ここで、視聴者におお、そういう時代だったか!と思わせると同時に、それを自分でだけ開けてみて「あらーまあ!」とアルバートをそそるヴィクトリア、気になりだして立ち上がるアルバート・・・

と、真面目な夫と悪戯好きで夫を愛する妻の関係が愛らしいです。

しかし実はこの時代1840年ごろは、フランス革命からも月日が経ち、イギリス人にもマリー・アントワネットが「パンがないならケーキを食べれば」と言ったという噂が広がっているのにヴィクトリア女王にはまだ一般人の暮らしが貧窮している実感がつかめていなかったようです。

現在ではマーケットで有名なスピタルフィールドは、当時絹織物職人の工房だと私も改めて知りましたが、女王は国産産業を擁護したいと舞踏会の衣装には外国製品ではないシルクを使うようにと命令を下します。

アルバートの兄がロビン・フッド、メルバーン卿はダンテの格好で現れた仮装舞踏会、200年前の当時でもさらに歴史をさかのぼっているわけで、宮中の使用人達をして「おとぎ話の世界ね・・・」と言わせていますが、

根本的な労働者階級全体の救いにはならないことが、舞踏会中にも怒った労働者が宮殿の周りで叫んでいるのを軍隊が抑制しているのを窓から見てしまった女王は気づきました。

ふむふむ、こうして自分が国民の生活をわかってないと気づくことで、ヴィクトリアがやがて現実的なアルバートや、彼の信頼する政治家ロバート・ピールを頼りにしていくのだな、と思わせる脚本、お見事。



自分も国のために仕事がしたいというアルバートに、パーラメント=国会議事堂の建設パトロンを提案するロバート。へえ~、あの建物はこの時代のものなんですね~。後世の人間にも英国のパワーの象徴として知られていますよ、プリンス。



あと、数回前から個人的に気になっている、宮廷に努める若い貴族たち。貴族以外の階級が議会で勢力を拡大している時代ですが、さすがに宮中では爵位がないといけないのね。一見フットマンみたいな人たちかと思ってたら「ロード~~」と呼び合っていたので気がつきました。

数回前のエピで、ヒルに血を吸わせていたメルバーン卿。この時代になっても瀉血療法が行われていたことにショック。

個人的にはドラマ「パレーズ・エンド」でのエロ神父のイメージが強すぎて、血色のよかったメルバーンにはあまり魅力を感じなかったのですが、この病気と加齢で枯れてきたメルバーン卿には品位を感じていいなとやっと思えました。



別のシーンで、偶然ばったりとメルバーン卿に出会ったアルバートは、様子のおかしい卿に「不躾ですが、お加減は大丈夫なのですか。」と尋ねます。それに対して卿の答えが「大丈夫とは申せませんな。」。

このやりとりも距離感がある会話の中にも意味を通わせているし、

アルバートから「卿は病気だ。けどそれを君に知られたくないのだから、何も言うべきでないよ。」と言われたヴィクトリアが、「もうすぐ(妊娠のせいで)遠出ができなくなるから私を思い出してもらうために贈り物を持ってきたの」と卿を訪ねた時も、

本当は「元気で会えるのはこれが最後かもしれない」と思っているふたりなのに、君主と臣下という立場上、手の甲にキス以上のことはできない感情がスクリーン全体から伝わってきて涙腺がパンパンになりました。

そして、宮殿に戻ったヴィクトリアを待っていたのは、子供の頃からの愛犬の床に横たわる姿。

「ずっとずっと一緒にいたのに。」と嘆き悲しむヴィクトリアを支えて、「年老いていたからね・・・物事は変わっていくんだよ、僕達以外は。」と言ったアルバートの言葉がふたりの愛を表しているんだなーと、ジーーーーン。。。。

結婚した時には、「僕は女王の愛玩動物になるつもりはない」と言っていたアルバート、

戴冠以来頼ってきたメルバーンも弱り、ヴィクトリアにとっていよいよアルバートを信頼して女王の道を歩む時が来たのだなあと思わせるエピでした!







留学生ホームステイ

2017-09-16 08:55:00 | 異文化
日曜日から留学生を我が家にホームステイとして受け入れているので、オタク生活は棚上げとなっています。

それでも水曜日にAXNミステリーチャンネルで始まった「オリバー・ツイスト」と木曜日の同じチャンネル、「オックスフォードミステリー ルイス警部」はチラリと見ました。・・・テレビって娯楽だったんだなぁと改めて噛み締めました。いつもは本気で集中して見ていたテレビドラマも、こうして日々の喧騒からちょっとした気分転換になるのだなと・・・。

でも今日は外国の学生を受け入れるとはどんなことかを少し書きますね。

今回は、娘の高校にオーストラリアから28人の高校生が1週間来たケースです。実は娘も相手先の高校に費用は学校持ちで来月行くため、そういう生徒の家庭は積極的に受け入れをしてくださいというポリシーなのです。

ということで受け入れ家庭に当選してしまい、まずは「成田へお迎え」から。

学校の先生とホストファミリーが成田空港の到着便ゲートに集合して、オーストラリアからの一行を待ちます。

我が家に泊まるのは17歳の男の子なので、ほぼ大人として扱えるかな、とゆったり構えていた私もその場の雰囲気に緊張感が高まってきました(汗)。ホストマザーとしてしっかりしなくちゃ!とか。

ふと気づいたら、そこは懐かしいターミナル2の出口B。数年前、ベネディクト・カンバーバッチさんが初来日した時に出迎えをしたあの場所でした。あの時の緊張感もすごかったけれど、なぜ高校生ひとりのために私は緊張したのか・・・

ついにゲートからお揃いの「〇〇School Japan Ture」と刺繍が入ったポロシャツ高校生たちが現れ、先生から担当の留学生を引き渡されたのは夜8時ごろでしたが、飛行機好きの娘が早く来たがったので、その日3時ごろから成田空港をウロウロ飛行機を見てまわっていた私はぐったり(笑)。

翌日からは学校があるためちょっと外食するにも遅い時間だったため、娘と私は空港でお弁当を買っておきました。なんといってもホストファミリーの重要な役目の一つは食事の提供です。

実はお弁当の種類も、東京駅の駅弁ショップみたいに気の利いた種類が揃ってないのにガックリ。駅弁は立派な日本文化だし、国際空港でもっと力を入れるべきじゃないかなあ。

チキンカツサンド、トンカツ弁当、焼き鳥弁当というセレクションから留学生くんが選んだのは焼き鳥。ちょっと意外。スカイライナーの中でお弁当を食べながら家に向かったらあっという間でした。

スカイライナーの駅から我が家までは徒歩10分なのですが、スーツケースがあったので我が家の最寄駅から夫にメールして迎えに来てもらおうとしたら返答なしだったので、タクシーにしました。そしたらなんと410円?!そうか、タクシーの初乗りは1キロからの計算になったのでしたね。運転手さんごめんなさい~

その日はお部屋に案内して、シャワーの使い方などを教えて、それから翌日はお弁当をホストファミリーが用意する日だったので、6時半に家を出る私は寝る前にお弁当作りでした。日本らしいお弁当ということで、ワカメと梅干のおにぎりとササミカツを甘辛く煮たもの(冷凍食品)、枝豆(これも冷凍)を子供達と私の3人前作って冷蔵庫に格納して就寝!

1週間の間に留学生は全員で「東京ディズニーランド」と「浅草~江戸東京博物館」に外出があったのでその2日分はお弁当なし、要お弁当は計3日間でした。毎日ではないのがラッキー、だって夕食は毎日ですからね。

お弁当も最初の2回は「おにぎり+おかず」(2回目はタコさんウインナーとコロッケとミックスベジタブルのサラダ)という典型的な日本式にしたので、3回目は「クロワッサンのハム&チーズサンドイッチ」とおせんべいと葡萄のデザートに。私も簡単で嬉しいし、留学生もそろそろ日本食は十分体験したでしょうから。

夕飯メニューの方は、

月曜・・・回転寿し(楽しいと思って連れて行ったのだけれど
     家ではいつもどんなもの食べてるのか聞いたら
     「お母さんはお料理が上手でいつも家で食べる」
     という回答が来たのでつい
     「うちもいつもは家だけどここも楽しいよね?!」
     と言い訳のようなことをしてしまいました(苦笑)。
火曜・・・ポークロースの味噌漬け焼き+キャベツ千切りサラダ
     じゃが芋と玉葱の味噌汁+ご飯+アイス
水曜・・・焼きそば+シュウマイ+卵とワカメのスープ+ロールケーキ
木曜・・・トンカツ+ポテトサラダ(手作り)+ご飯+ヨーグルト     
     (この時はわざわざトンカツソースを買ったのだけど、
      リーペリンのWorcester sauceの方を選んでた(笑)
金曜・・・東京大学内のレストランのバーで、彼が選んだのはカレー
     ミニサイズのバー仕様でしたが、
     「日本のカレーは美味しい」とのコメントでした

ちなみに朝ごはんは、毎朝シリアルとパンやドーナツを用意して、特に日本の朝食はなし。留学生一行は、明日か台風が来たら明後日に広島と京都に行くので、その時に旅館かホテルに泊まれば「納豆、焼き魚の朝ごはん」に出会えるでしょう。 

それ以外にホストファミリーの仕事としては、お洗濯があります。特に後半は旅行になるので、汚れ物はなくして東京を出すのが親切ですものね。男の子のパンツやソックスを洗うのは、娘の幼なじみの子がロンドンから泊まりに来る時くらいですけど、夏場だしTシャツやポロシャツ、ショーパンも1回来たら洗うタイプの子らしく洗濯物出してと言ったら出てきました。

あとは私が5時までお仕事あるので、学校が4時半頃に終わった後、娘が学校の他の友達と渋谷に行ってプリクラを撮ったりして楽しんでました。 

それを娘がSNSにアップしてたら、校内の子たちから「い~な~!」「裏山!」のコメントが。娘の学校は英語コースが大きい高校なのですが、たった28人の留学生と交流できるのは1000人以上いる生徒の中でも限られた子になるのか・・・と改めて。 

それから留学生たちは原宿にも学校の先生に連れられて行きました。定番のキディランドを楽しんだようで、うちの子は「昭和電気のオタマトーン」という楽器のようなものを買ってきました。へ~そんなものが存在していたことも知らなかったけど、可愛い顔の音符の顔なんですよ~

  

あとはね、お洗濯したTシャツの中に大日本帝国海軍と毛筆で書かれた朝日柄のとかゴジラのとかあって、やっぱこれは東京来てから買ったんでしょうね、それを着る前に一度洗うとういうのは彼のお母さんの躾でしょうか、おおらかそうなオーストラリアの人ってイメージですけど几帳面な人はどこにでもいるものですね。そういえば私のシドニーの義理の叔母も、とても綺麗好きでピカピカの家に住んでるし。

今日は夫が、築地~新宿に連れて行っていて、私はこうして1週間ぶりにPCに向かう時間ができました。

来月は娘がお世話になる家庭の子も今学校に来ていて、娘は金髪でスラリとした女の子にどこに連れて行って欲しいかなどをすでに聞かれて嬉しそう。その子の家には、犬と猫と、なんと馬もいるそうで、私が代わりにホームステイしたいくらいです。

娘は今、学校でも家でも留学生に付き合ってお疲れモードですけど、そういう楽しみが待っているのだから頑張りたまえ。



ファッショナブルな環境

2017-09-08 22:25:00 | 異文化
新しいお仕事がまた大変なことになっていることは9/1のブログに書きました。

ひとつ前のコンシェルジュの仕事は、主に環境と接客相手にストレスを感じましたが、職場の人たちは皆さん良い人でした。

それが今度は反対で、私がサポートすべき上司の性格に難あり&就業状況がブラックなんですけれども、環境は最高なのです。

(まったく、あちらを立てればこちらが立たずとは・・・)


では、職場に入って3週間して少し見慣れてきた目で解説してみたいと思います。
エリート企業ってどんな世界なの?!

私は今、派遣でとあるイギリス系外資企業のお仕事をしていますが、これがマトルーシュカのようにこのイギリス系はとあるアメリカ系外資企業の内部でお仕事を請け負う、ということをやっています。

最近の企業は、外資でなくてもデザインがオシャレなオフィスが増えているようですが、会員制高級クラブや高級タワーマンションで働いてきた私が見ても今の企業で圧倒されたのは、

日本人女子社員が綺麗なことでした。

国内大手企業が地味にさえ感じました。でも落ち着いて観察すると、綺麗なヘアメイクと高いピンヒールが、そのオフィスのデザインに映えて、美人ワーキングウーマンを誕生させていたのです。

この空気は、イギリスの建築+インテリア+ファッション誌の「Wallpaper」を思い出しました。



この雑誌の現実離れした、この世のものではない御伽話の世界が好きだな~と思っていたのに、実際にあったなんて?!

同じ人を、電車や地下通路などで見かけたとしたら、それほど感動はないような人でも、なぜかあのオフィスではしっくりオシャレなんです。まるでデパートのウインドウのようです。

そんな美しいオフィスでは、さぞオシャレ心が刺激されると思われるかもしれませんが、

私はそのオシャレ企業のロゴ入りTシャツ制服を着た働きアリ。オフィスのデザインがかっこいいだけでなく、なぜか消耗品(ティッシュケースとかプラスチック&紙コップ、食品を乗せるトレイや紙ナプキンなど)にロゴを入れたものを揃えているのですが、アウトソーシングの人員にはロゴ入り制服を着せるとは、消耗品扱いなのかと勘繰りたくも・・・


そのアメリカ系企業の社員さん方は多彩な国籍なんですが、美しいのは女子の姿だけではなく、

働きアリの私に対してまで敬意を払ってくれます。多分、皆英語ができるので英語流の対応を日本語でしている、といった感じ。

特に差が出るのは日本人の男性で、たいへんポライトな人が多いです。レディファースト文化が身についているせいでしょう。

逆に珍しく高慢さを感じるのは白人男性に多いかも。こちらは多分、私がコーヒーを作ったりしている人なので英語は通じないであろうと私を透明人間のように扱うせいかと思われます。

もちろん、日本人でも私を空気扱いする人もいれば白人でもフレンドリーな方もいますが。

それと、環境はインテリアだけではなく、外に見える景色も素晴らしく、東京駅や皇居を見下ろすので、じっくりと眺めてみたいです。丸の内には高層ビルが連立しておりますが、なぜかそのふたつを見下ろすという視点があるとは想像できませんでした。

しかし、上司はなぜか私がサボっているのではないかと疑っているらしい(私ってボーッとしているタイプだからかな~)ので、一瞬でも窓の外など眺めているのを見つかったらどんな意地悪されることか。いっそ鬼上司にクビにされることにでもなったら360度景色を堪能してから辞めるとします。




VICTRIA 0202

2017-09-04 22:02:00 | トム・ヒューズ


シリーズ2、第2回目もヴィクトリアとアルバートの関係がギクシャク。

でも今回、ハッとしたことがありました。

ヴィクトリアはアルバートが王の座を狙っているという妄想に取り付かれるのですが、

幼くして父を亡くし、支配的な母に監禁され、兄弟もいないヴィクトリアって大変孤独だったんだな、相談相手がずっといなかったんだな

ということです。

それで常にヴィクトリアを否定せず安心感を与えるロードMに執着するわけです。

逆にアルバートは、双子のように仲のいい兄がドイツから一緒にイギリスへ来てくれてサポートしてくれるし、

女にだらしがない実の父はちょっとお荷物ですが、ベルギー王のレオポルド叔父さんは子供のことなどに顔を突っ込みすぎるところはあるけど、小国の君主としてはちゃんとしている。

アルバートの方が精神的にバランスがとれているのはそういう環境のせいもあったのですね。

なかなか完璧なカップル、さすが後世で

「ヴィクトリア&アルバート」と呼ばれるわけ。


あとこのドラマ、歴史物もしても今回はバイロンの娘が数学者として登場し、コンピューターをアルバートに披露していました。なんとヴィクトリア時代に!

のちにアルバートは万博をロンドンで開催しますが、先端技術を国益に結びつける実用的なセンスはこのころから光っていたようです。

数学者の女性と話をする時顔を輝かせるアルバートに嫉妬したヴィクトリアですが、

あとで彼女が3児の母と知り、男性のように仕事に生きる女性としての葛藤を共有し、アルバートへの理解を深めたのでした。


お兄様と

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマ「真夏の夜の夢」他

2017-09-03 21:29:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


英国ロイヤルのオペラとバレエを映画館で見られるシリーズ、すごいのが来ました!

創立70周年を記念して今年の6月にイギリス全国の映画館にライブ放送された、英国ロイヤルバレエ団の創設メンバーの振付師フレデリック・アシュトン作品3本です。

映画館といえども生放送でしたらどんなにか興奮するイベントでしょうね、日本も一度やってほしいけど、英国時間の夜7:30からということは、こちらは夜中の3:30・・・夜更かししたらいいのか早起きしたらいいのかもわかりませんね?!

もちろん生の舞台が1番なんですが、今回は録画でもかなり楽しめました。

演目が

1「真夏の夜の夢」シェイクスピア原作、音楽メンデルスゾーン
2「シンフォニック・バリエーションズ」
3「マルグリットとアルマン」(椿姫より)音楽フランツ・リスト

の3本だからです。

1と2がストーリーのある時代物、2はストーリーはありません。

解説にはダーシー・バッセルともう一人男性のプレゼンテイターがいて、今回かなり詳しく監督やダンサーのインタビューも見せてくれました。こういうとき、日本語字幕は情報を漏らさないのでいいですね。

アシュトン作品の特徴の一つとして、「全身を使った動き」を紹介していました。ステップがかなり細かい技術を要求されるのですが、同時に手や肩の動きもありダンサーにはきついのですが、この振りが物語や感情を表現してストーリーがダンスだけで無理なく語られるのです。

これが、日本人ダンサー高田茜にとても合っていたので、「真夏の夜の夢」を見て私は初めて涙が出るという体験をしました。

シェイクスピア原作はセリフで成り立ってますし、バレエ版として人間界の出来事は随分カットはしていますが、それがかえってストーリーを簡潔にしオベロンとタイターニアのロマンスがとても美しいものに仕上がっていました。

スティーブン・マクリーの艶やかな王様っぷりは、初代のロイヤルの誇る王子キャラ、アンソニー・ダウエルの影響らしく、ダウエル本人もアシュトンから教わったことを若いダンサーに伝えたそうです。

人から人へと受けづがれる・・・匠の世界を見たような。

これまで見たタイターニアも美女だけれど妖女とも老女王ともとれるキャラクターだったのですが、高田茜は日本人特有の華奢な上半身でなんとも繊細な女王様だったのです。


それを見た後の「マルグリットとアルマン」では、これが引退公演だったというゼナイダ・ヤノウスキーの大柄な外見が、椿姫という可憐な高級娼婦の繊細さにいまひとつ欠けるなあ・・・と思わざるをえませんでした。

そもそもこの演目は、アシュトンがマーゴ・フォンティーンとヌレエフのために振り付けたそうで、物語も、高級娼婦がお客様の息子と恋に落ちてしまうー

フォンティーントヌレエフは、二人の間に子供もいたのでは?という話があったくらい、個人的な関係も強かったようですが、実生活ではフォンティーンはずっと年上で既婚者ですから、見る人はダンサーふたりを役のキャラクターに重ねてしまうという効果があると思うんですね。

それでついつい私も可憐なマーゴ、またはシルヴィ・ギエムもこの演目は得意で私も見たことがあったものですから、華奢なふたりに比べてヤノウスキーは気品こそあれちょっと大味な気がするなあ・・・と思ったのでした。

しかし、驚きは、幕が下りてからそのあとでした。

通常のカーテンコールのあと、彼女の23年間の踊りをたたえて、花束が続々と持ち込まれるのですが、なんと、

彼女とパートナーとして踊った歴代のプリンシパルたちが花を抱えて次々とステージに現れたではないですか?!私にわかったのは、カルロス・アコスタ、ジュリアン・コープ、それからダウエルや総監督の偉い女性と、と、とにかく、ビリー・エリオットの歴代ビリー全員集合のような豪華絢爛な引退を飾るステージでした。

またヤノウスキーのこれまでの代表的な役の映像も解説の時間に流れ、至れり尽くせりのシネマでした。