昨日、買い物に出た先で姉が入る病院から電話を受けた。
「緊急手術をします」
頭が混乱した、取るものもとりあえず家に帰った。前回退院が伸びた腹痛の原因が判明したのだ。
小腸に穴があいている。このままほおっておけば命にかかわるので、再度手術をするというのだ。
12月に大腸に穴があき、やっとここまで来たところだった。
混乱した頭で、旦那に連絡。病院は付き添いがいなくても手術はすると言ってくれているが、一人でなんて寂しすぎる。
飛行機の予約をかえるために航空会社に連絡したが、あいていたのは夜遅い便だけだった。どんなに早くても私がつくのは真夜中だ。
遠いというのは、どうしようもない。子どもに頼るしかない。
長男と長女の携帯電話に連絡を入れる。なかなかつかまらず、交互交互に番号を押した。
初めに捕まったのが長男。付き添ってくれないかと頼む。
「ゼミの授業を受けているけれど、先生に話して行くわ、でも、つくのに2時間はかかるよ」
と快諾してくれた。その直後娘が連絡してきた。家にいたのだが、携帯に気が付いていなかったようだ。
これから出かけるところだという。とりあえず事情を話し、何かあったらと頼む。
そこまでたどりついて、実家の継母に連絡をした。
初め、彼女は驚いて、やはり混乱したのだろう。
「私がついていかなければいけないけれど、今朝から膝が痛くてね」
「○○はここにいるのに、●●がいってくれるのね」といくらか娘に憤慨の様子だった。
姉の携帯にメールを送るが返事がないので、息子が行くということを知らせようと、病棟に電話を入れた。
なにかあれば言いつけてほしいと・・・。
しばらくして、継母から電話がかかってきた。どうしたのだろうと話を聞くと、今度は病院に行くと言い出した。
退院できるとふんで、その数日前に息子が浴衣やパジャマを持って帰ってきていたようだ。それがいるだろうから持って行くという。
もう、珍問答だった。
「浴衣全部持ってきているから届けないと」「全部?何枚持ってきているんですか?」「全部」「数えてください」「3枚」「それじゃあ病院に1枚ありますから、手術の分は間に合います」「パジャマもある」「手術をするんだからパジャマは今日は必要ありません」「でも、心配だし」「膝はどうなんですか?」「そんなに痛くないから大丈夫、タクシーで行くから」「タクシーからどうやって荷物運ぶんですか?」「大丈夫」「帰りはどうするの、一人で帰れるのですか」「最後までいて●●と帰るから」「何時に始まって、どれくらいかかるかわかって言っているんですか。この間は5時間かかったのよ。途中で帰りたいといったら息子が困るのよ」「時間ね、知らないけれど、大丈夫、最後までいられる。具合悪くならない」「そんなにいうんなら、行くときに○○を連れていってください。荷物を運んで様子を見たら帰りのタクシーにのせてもらえばいいでしょう」「一人で大丈夫」「浴衣やパジャマをどうやってタクシーから運ぶのですか」「心配だから」「みんな心配しています」
やや20分ほども声が大きくなりながら話しただろうか。心配なのはわかるが、一人でやろうとしない年寄りがいても長男が困るばかりだと必死だった。継母は長男が行くと知って、自分の面倒を見てもらえると判断して言いだしたことだというのが手に取るようにわかった。
娘を連れて行けといったら、少々ひるんだ。自分が案内しなければならないから嫌だったのだろう。あの人は、面倒見てもらえることは好きだが、面倒見ることはしない。だから、人がつかなくなっているというのがわからないようだ。
私は自分の出発の準備もしたいし、学校に行っている子どもたちへのこともしたいと思っているのに、この年よりは何自分のわがままを押し通そうとしているのか・・・。最後に切れた。
「一人で行けるのなら行ってください。ただ、それで具合が悪くなっても、私は貴女の面倒は見れません」
「具合悪くなるだけならまだいいけれど、荷物を持って転んでなにかあっても、これだけ言って止めたということを忘れないでください」
さすがに「浴衣もパジャマも今日はいいのね」といいだした。
自分に置き換えて考えるようにしている。私もあの年になれば、我を通すようになるのかもしれない。その時思い出せるといいと思う。
継母にてこずったこの日のことを・・・。