米国の「センチュリー21・デパートメント・ストアーズ」(以下、Century 21)が9月10日、連邦破産法11条の適用を申請し経営破綻した。筆者が初めてニューヨークに行った1980年代初めからよく知る店舗で、「オフプライスストア(OPS)」という名称を知ったのも、ワールドトレードセンター近くにあったCentury 21を訪れてからだ。
米国は富の9割近くが上位2割の富裕層に集中し、国民の3割以上が貧困層と言われる。おそらく中間層の没落も日本以上に深刻ではないか。だからこそ、オフプライスビジネスが拡大すると言える。かたやCentury 21はマンハッタンの一角に旗艦店を構えていた。ストアロイヤルティを上げるには、知名度がある高価格ブランドを主体にしなければならない。
しかし、それらの放出は限られる。ブランド側がイメージの毀損を恐れるからだ。そのため、処分をせずに取っておかれたキャリー品や、小売店のセールで売れ残った在庫品を仕入れるわけだが、これらは色や型・サイズがバラバラで、ジャストトレンド、ジャストシーズンの品揃えは難しい。きちんと編集して売場の体裁を整えたところで、どうしても品揃えの奥行きは浅くなってしまう。
Century 21はこうした課題を抱えながらも、好景気に支えられ中間層を集客して収益を上げることができた。ところが、富裕層による富の収奪が中間層を没落させると、品揃えがネックとなって一気に影響を受ける。おまけにニューヨークはコロナ禍でエリート層がリモートワークとなり、全米からの観光客やインバウンドまでが激減した。
ニュージャージーやペンシルベニア、フロリダの店舗も、かなりの集客減になったはずだ。それをECでカバーするにしても、端から商品の色や型・サイズが揃わないのだから、ワールドシッピングが可能でもアクセス数は上がらない。結果、コンバージョンレート(アクセス数に対する買い上げ率)も低いままだったと思う。
一方で、米国のオフプライスストアは総じて好調に推移している。第1位はT.J.MAXXやMARSHALLSなどを展開する「TJX」で、米国の他、カナダ、ヨーロッパと3200以上を出店し、2019年は年商315億ドルで対前年比5.9%の伸びを誇る。第2位の「ROSS」は約1800店を有し、年商160億ドルで対前年比7%増。第3位の「Burlington」は700店以上の展開で、年商は72億ドル、対前年比9.6%増と、2ケタに迫る勢いだ。
三社で550億ドルも売り上げるのだから、寡占というより鼎占(ていせん)と呼ぶ人もいる。いずれも広大な北米大陸の郊外で店舗を広げ、家賃負担を抑えている。しかも、そこそこの知名度があって値引き率が訴求でき、放出量が多いメーカー余剰品を仕入れて品揃えを組み立てている。その方が売上げが伸びて、利益率が良くなるということ。収益に貢献するビジネスモデルを作ったことが成功の要因と見て間違いない。
多店舗化するオフプラスストアはまやかしか
日本でも今、オフプライスストアが注目されている。バブル景気がはじけた時もスポットを浴びたが、マスメディアはアウトレットとの違いを明確に伝えることはなかった。一般大衆を引きつけるには「全品○%オフの激安」と訴えれば、十分だったからだ。現在はSDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれる中で、メーカーや小売業では売れ残りを廃棄するだけでなく、二次流通に放出する選択肢が出てきた。少しでも現金化したいとの思惑も見え隠れする。
オフプライスストアとは「仕入れ」を伴う小売業態だ。ワールドもゴードン・ブラザーズ・ジャパンと合弁で「アンドブリッジ」を開発し、OPS市場に参入した。品揃えはSCや駅ビルの「値頃なブランド」(単価1万円未満)、駅ビルに出店するショップやアパレルメーカー、百貨店の平場に並ぶ「アッパーブランド」(単価2万円未満)、それ以上の「高級ブランド」(単価2万円以上)で構成されるが、仕入れを伴うのでその割合は必ずしも一定しない。
アンドブリッジは埼玉、東京、神奈川、京都に4店舗を展開している。さらにワールドはOPSの「ネストドア」を「ららぽーと愛知東郷」に出店した。こちらは直営で「アンタイトル」や「インディヴィ」など自社ブランドで構成するから、実質はアウトレット業態と言ってもいい。同社のアウトレットはすでに全国で22店舗になった。約350店舗の閉鎖による余剰在庫を処分したいのはわかるが、売れ残りがどこまで売れるかも気になるところだ。
一方、オンワード樫山は9月18日、環境貢献型オフプライスストア「オンワード・グリーン・ストア」1号店をSCのモラージュ柏にオープンした。同社は、展開の意図について「生産した製品に最後まで責任を持ち、廃棄することなく循環させることで地球環境に貢献するサステイナブルを目的とした」と耳障りの良いことを語るが、まずは約1400もの店舗閉鎖で生じた余剰在庫を処分したいのが山々だろう。
ブランドの顔ぶれは、レディスが「23区」「自由区」「組曲」「ICB」「エニィスィス」「フェルゥ」、子供服が「組曲キッズ」「J・プレスキッズ」「トッカバンビーニ」。ライフスタイルが「エニィファム」「シェアパーク」。百貨店系、SC系となりふり構わず、総数1万点をオフプライスで売り捌くというから、いかに切羽詰まっているかがよくわかる。
今後は面積300㎡以上の大型店を標準とし、他社が展開するものを含めて取り扱いブランドを拡大する計画で、来春までに関西、東海地域で各1店を出店する。米国はアウトレット業態がプロパー店に影響を与えないように店舗間を50マイルとか、70マイルとか離す規制をしている。それは国土が広大な米国だからできることだ。狭い日本でそれを行うと、今度の他県の都市にある店舗にも影響するので、線引きは難しい。
識者の中には、オフプライスストアを経営が厳しい「地方百貨店に出店しては」という人がいるが、全国各地にはまだまだ40店ほどの地方百貨店がある。もしOPSが出店すれば、プロパーブランドの売上げに影響があると、百貨店側が反対するのは間違いない。ワールドが名古屋近郊にネクストドアを出店したことについても、「都心部の百貨店が激怒しているのではないか」と、懸念を示す識者もいるほどだ。
ワールドはアンドブリッジの展開でゴードン・ブラザーズJPと組んでいるし、オンワード樫山もオンワード・グリーン・ストアで、他社が展開するブランドまで取り扱いを拡大する計画を表明している。大手2社がオフプライスストアを多店舗化していけば、自社在庫だけでは足りなくなるから、他のメーカーや問屋の余剰在庫、商社やOEM業者からの未引き取り品、いわゆるバッタ屋ルートにまで手を出さなければならなくなるのではないか。
もしそんな店舗が百貨店に出店すると、色・型、サイズがバラバラの商品が並んで売場が荒れ、ジリ貧まっしぐらは間違いない。ワールドやオンワード樫山とて売場づくりや編集を標準化するのは容易ではないだろう。しかも、いくら余剰在庫の処分とは言え、ブランド休止による生産調整で在庫は減っていくはずだから、何シーズンも余剰在庫が溢れるとは考えにくい。それとも、アウトレットと同様に「専用品」を作って体裁を整えるのか。それでは在庫処分も二次流通もあったものではない。
Century 21と同じ轍を踏みそうなエストネーション
オンワード樫山は、2020春夏からEC限定のブランド「アンクレイヴ」を販売している。親会社のオンワードHDがデジタル分野における構造改革として進めるD2Cオリジナル開発の一部で、将来的には中核ブランドに成長させる考えという。
だが、アンクレイヴはあくまで生産先行の既製服ブランド。そのため、ネットの向こうにいる消費者がいかに反応するかは、実店舗以上に不確かだ。生産した商品が計画通りに消化する保証はない。それとも、EC限定ブランドを拡大することにより、また余剰在庫が増えるのを見越しているのか。その受け皿としてもオフプライスストアを展開するというなら、なおさら怪しさを禁じ得ない。
サザビーグループが運営するセレクトショップの「エストネーション」も、銀座店の1階をオフプライスストア「エストネーション セントラル」にリニューアルする。2~3階は当面、エストネーションを継続するが、来年2月には全フロアをOPSにするという。こちらも消費増税や暖冬、コロナ禍よる2ヶ月の休業で業績が悪化したからだろうが、他にもいろいろ理由は考えられる。
インポート中心のセレクトショップは、バイヤーの独りよがりで仕入れた商品も少なくない。だが、お客のほとんどがSPAの色柄、デザイン、サイズ別の編集に慣れて来ており、チョイスされた商品で奥行きがない品揃えでは、必ずしも満足できなくなっている。それはお客のライフステージや階層に関係なくだ。市場が成熟すればするほど、セレクトショップで、お客が「これ、ください」にならないことも、在庫を残している理由と思われる。
もっとも、オフプライスで高価格ブランドが75%オフになるのは魅力だが、プロパーで20万円なら割り引きされても5万円。デフレ慣れしたお客からすると、決して安くは感じない。オンシーズンに買い逃し、色型もサイズもどんピシャなアイテムならともかく、どれかの条件が欠ければ購入には二の足を踏む。ならば、メルカリなどで欲しいブランドを見つけた方が得だと考えるのではないか。
巷では売れ残りブランドのタグや品質表示を切り取り、別のものに付け替えて販売するビジネスが登場している。だが、これはVMDなどに左右されないオンライン販売によるものだ。しかも、元の商品が原価率をかけた高価格ブランドだから集客できている面もある。ただ、今度は安定した仕入れができるかや倉庫負担にどこまで耐えられるかという課題も出てくる。果たしてエストネーション・セントラルの商品までが流れるのだろうか。
日本は米国とは市場性も消費行動も違う。いくら中間層が没落しているとは言え、掘り出し物のブランドがあれば、なけなしのカネをはたいても買いたい人々は一定層いる。もちろん、格差社会の拡大で、とにかく安ければ何でもいいという人々も増えている。ただ、安い商品ならすでに掃いて捨てるほどある。まやかしのオフプライス商品など、すぐに見破られるのがオチだ。米国で好調だからと、日本でもOPSが多店舗化が進むとは限らない。
米国は富の9割近くが上位2割の富裕層に集中し、国民の3割以上が貧困層と言われる。おそらく中間層の没落も日本以上に深刻ではないか。だからこそ、オフプライスビジネスが拡大すると言える。かたやCentury 21はマンハッタンの一角に旗艦店を構えていた。ストアロイヤルティを上げるには、知名度がある高価格ブランドを主体にしなければならない。
しかし、それらの放出は限られる。ブランド側がイメージの毀損を恐れるからだ。そのため、処分をせずに取っておかれたキャリー品や、小売店のセールで売れ残った在庫品を仕入れるわけだが、これらは色や型・サイズがバラバラで、ジャストトレンド、ジャストシーズンの品揃えは難しい。きちんと編集して売場の体裁を整えたところで、どうしても品揃えの奥行きは浅くなってしまう。
Century 21はこうした課題を抱えながらも、好景気に支えられ中間層を集客して収益を上げることができた。ところが、富裕層による富の収奪が中間層を没落させると、品揃えがネックとなって一気に影響を受ける。おまけにニューヨークはコロナ禍でエリート層がリモートワークとなり、全米からの観光客やインバウンドまでが激減した。
ニュージャージーやペンシルベニア、フロリダの店舗も、かなりの集客減になったはずだ。それをECでカバーするにしても、端から商品の色や型・サイズが揃わないのだから、ワールドシッピングが可能でもアクセス数は上がらない。結果、コンバージョンレート(アクセス数に対する買い上げ率)も低いままだったと思う。
一方で、米国のオフプライスストアは総じて好調に推移している。第1位はT.J.MAXXやMARSHALLSなどを展開する「TJX」で、米国の他、カナダ、ヨーロッパと3200以上を出店し、2019年は年商315億ドルで対前年比5.9%の伸びを誇る。第2位の「ROSS」は約1800店を有し、年商160億ドルで対前年比7%増。第3位の「Burlington」は700店以上の展開で、年商は72億ドル、対前年比9.6%増と、2ケタに迫る勢いだ。
三社で550億ドルも売り上げるのだから、寡占というより鼎占(ていせん)と呼ぶ人もいる。いずれも広大な北米大陸の郊外で店舗を広げ、家賃負担を抑えている。しかも、そこそこの知名度があって値引き率が訴求でき、放出量が多いメーカー余剰品を仕入れて品揃えを組み立てている。その方が売上げが伸びて、利益率が良くなるということ。収益に貢献するビジネスモデルを作ったことが成功の要因と見て間違いない。
多店舗化するオフプラスストアはまやかしか
日本でも今、オフプライスストアが注目されている。バブル景気がはじけた時もスポットを浴びたが、マスメディアはアウトレットとの違いを明確に伝えることはなかった。一般大衆を引きつけるには「全品○%オフの激安」と訴えれば、十分だったからだ。現在はSDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれる中で、メーカーや小売業では売れ残りを廃棄するだけでなく、二次流通に放出する選択肢が出てきた。少しでも現金化したいとの思惑も見え隠れする。
オフプライスストアとは「仕入れ」を伴う小売業態だ。ワールドもゴードン・ブラザーズ・ジャパンと合弁で「アンドブリッジ」を開発し、OPS市場に参入した。品揃えはSCや駅ビルの「値頃なブランド」(単価1万円未満)、駅ビルに出店するショップやアパレルメーカー、百貨店の平場に並ぶ「アッパーブランド」(単価2万円未満)、それ以上の「高級ブランド」(単価2万円以上)で構成されるが、仕入れを伴うのでその割合は必ずしも一定しない。
アンドブリッジは埼玉、東京、神奈川、京都に4店舗を展開している。さらにワールドはOPSの「ネストドア」を「ららぽーと愛知東郷」に出店した。こちらは直営で「アンタイトル」や「インディヴィ」など自社ブランドで構成するから、実質はアウトレット業態と言ってもいい。同社のアウトレットはすでに全国で22店舗になった。約350店舗の閉鎖による余剰在庫を処分したいのはわかるが、売れ残りがどこまで売れるかも気になるところだ。
一方、オンワード樫山は9月18日、環境貢献型オフプライスストア「オンワード・グリーン・ストア」1号店をSCのモラージュ柏にオープンした。同社は、展開の意図について「生産した製品に最後まで責任を持ち、廃棄することなく循環させることで地球環境に貢献するサステイナブルを目的とした」と耳障りの良いことを語るが、まずは約1400もの店舗閉鎖で生じた余剰在庫を処分したいのが山々だろう。
ブランドの顔ぶれは、レディスが「23区」「自由区」「組曲」「ICB」「エニィスィス」「フェルゥ」、子供服が「組曲キッズ」「J・プレスキッズ」「トッカバンビーニ」。ライフスタイルが「エニィファム」「シェアパーク」。百貨店系、SC系となりふり構わず、総数1万点をオフプライスで売り捌くというから、いかに切羽詰まっているかがよくわかる。
今後は面積300㎡以上の大型店を標準とし、他社が展開するものを含めて取り扱いブランドを拡大する計画で、来春までに関西、東海地域で各1店を出店する。米国はアウトレット業態がプロパー店に影響を与えないように店舗間を50マイルとか、70マイルとか離す規制をしている。それは国土が広大な米国だからできることだ。狭い日本でそれを行うと、今度の他県の都市にある店舗にも影響するので、線引きは難しい。
識者の中には、オフプライスストアを経営が厳しい「地方百貨店に出店しては」という人がいるが、全国各地にはまだまだ40店ほどの地方百貨店がある。もしOPSが出店すれば、プロパーブランドの売上げに影響があると、百貨店側が反対するのは間違いない。ワールドが名古屋近郊にネクストドアを出店したことについても、「都心部の百貨店が激怒しているのではないか」と、懸念を示す識者もいるほどだ。
ワールドはアンドブリッジの展開でゴードン・ブラザーズJPと組んでいるし、オンワード樫山もオンワード・グリーン・ストアで、他社が展開するブランドまで取り扱いを拡大する計画を表明している。大手2社がオフプライスストアを多店舗化していけば、自社在庫だけでは足りなくなるから、他のメーカーや問屋の余剰在庫、商社やOEM業者からの未引き取り品、いわゆるバッタ屋ルートにまで手を出さなければならなくなるのではないか。
もしそんな店舗が百貨店に出店すると、色・型、サイズがバラバラの商品が並んで売場が荒れ、ジリ貧まっしぐらは間違いない。ワールドやオンワード樫山とて売場づくりや編集を標準化するのは容易ではないだろう。しかも、いくら余剰在庫の処分とは言え、ブランド休止による生産調整で在庫は減っていくはずだから、何シーズンも余剰在庫が溢れるとは考えにくい。それとも、アウトレットと同様に「専用品」を作って体裁を整えるのか。それでは在庫処分も二次流通もあったものではない。
Century 21と同じ轍を踏みそうなエストネーション
オンワード樫山は、2020春夏からEC限定のブランド「アンクレイヴ」を販売している。親会社のオンワードHDがデジタル分野における構造改革として進めるD2Cオリジナル開発の一部で、将来的には中核ブランドに成長させる考えという。
だが、アンクレイヴはあくまで生産先行の既製服ブランド。そのため、ネットの向こうにいる消費者がいかに反応するかは、実店舗以上に不確かだ。生産した商品が計画通りに消化する保証はない。それとも、EC限定ブランドを拡大することにより、また余剰在庫が増えるのを見越しているのか。その受け皿としてもオフプライスストアを展開するというなら、なおさら怪しさを禁じ得ない。
サザビーグループが運営するセレクトショップの「エストネーション」も、銀座店の1階をオフプライスストア「エストネーション セントラル」にリニューアルする。2~3階は当面、エストネーションを継続するが、来年2月には全フロアをOPSにするという。こちらも消費増税や暖冬、コロナ禍よる2ヶ月の休業で業績が悪化したからだろうが、他にもいろいろ理由は考えられる。
インポート中心のセレクトショップは、バイヤーの独りよがりで仕入れた商品も少なくない。だが、お客のほとんどがSPAの色柄、デザイン、サイズ別の編集に慣れて来ており、チョイスされた商品で奥行きがない品揃えでは、必ずしも満足できなくなっている。それはお客のライフステージや階層に関係なくだ。市場が成熟すればするほど、セレクトショップで、お客が「これ、ください」にならないことも、在庫を残している理由と思われる。
もっとも、オフプライスで高価格ブランドが75%オフになるのは魅力だが、プロパーで20万円なら割り引きされても5万円。デフレ慣れしたお客からすると、決して安くは感じない。オンシーズンに買い逃し、色型もサイズもどんピシャなアイテムならともかく、どれかの条件が欠ければ購入には二の足を踏む。ならば、メルカリなどで欲しいブランドを見つけた方が得だと考えるのではないか。
巷では売れ残りブランドのタグや品質表示を切り取り、別のものに付け替えて販売するビジネスが登場している。だが、これはVMDなどに左右されないオンライン販売によるものだ。しかも、元の商品が原価率をかけた高価格ブランドだから集客できている面もある。ただ、今度は安定した仕入れができるかや倉庫負担にどこまで耐えられるかという課題も出てくる。果たしてエストネーション・セントラルの商品までが流れるのだろうか。
日本は米国とは市場性も消費行動も違う。いくら中間層が没落しているとは言え、掘り出し物のブランドがあれば、なけなしのカネをはたいても買いたい人々は一定層いる。もちろん、格差社会の拡大で、とにかく安ければ何でもいいという人々も増えている。ただ、安い商品ならすでに掃いて捨てるほどある。まやかしのオフプライス商品など、すぐに見破られるのがオチだ。米国で好調だからと、日本でもOPSが多店舗化が進むとは限らない。