すでに全国的に報道された「マークイズ福岡ももち」での女性刺殺事件。筆者は2018年の開業時はプレスプレビューに招待され、その後も家族で訪れているだけに「えっ、あそこで人殺し。しかも、容疑者は更生施設を抜け出した少年って」ことに驚きを隠せない。
改めて事件を振り返ってみよう。8月28日、金曜日、午後7時半頃、福岡市中央区にあるショッピングモール・マークイズ福岡ももちの1階女性トイレで、21歳のアルバイト吉松弥里さんが刃物で刺されて死亡した。現場近くにいた中学生の少年(15)が血の付いた包丁を持っていたとして、現行犯逮捕された。
福岡県警によると、容疑者の少年が持っていた刃物の形状と、 女性の傷跡が一致したことなどから、9月9日、少年は殺人の疑いで再逮捕された。その後の取り調べで、少年は「腹が減ったので、包丁で店員を脅せば食べ物をもらえると思って盗んだ」と供述。だが、詳しい動機や事件の背景は未解明な点が多く、警察は慎重に捜査を進めている。
このコラムは、少年法の厳罰化や実名報道の是非、更生支援について、言及する場ではない。むしろ、アパレルを販売する施設でお客が命を奪われた事実を見つめ、いかに殺人などの凶悪犯罪を未然に防ぎ、買い物客の安全を守るか。それについて、考えてみたい。
凶器となる刃物の展開を見直す
福岡警察によると、凶器となった包丁は刃渡り約18.5センチ。事件の直前に少年が「施設内で盗んだ」疑いがあることがわかっている。
包丁を入手したのはどこか。マークイズ福岡ももちで包丁を販売していると思われるのは、以下の店舗だ。1階では、100円ショップの「キャンドウ」、生活雑貨の「デイアンドデイズ」、インテリア・生活雑貨の「フランフラン」。2階では、インテリア・生活雑貨の「ニトリ」、アウトドア用品の「スノーピーク」である。だが、これら全てが万引き防止の装置を設置しているわけではない。
キャンドゥは原則として包丁は店頭に展開せず、「包丁をお求めの方は店員にお声掛けください」とのPOPを掲示している。マークイズ福岡ももちも同様の対応をとっており、店頭で盗まれるのを防ぎ、犯行に使われることがなかった点では、危機管理が奏功したと言える。
デイアンドデイズとフランフランは、包丁を取り扱っていたとしても1〜2種類。防犯装置がなければ、盗むのはそう難しくない。ニトリは施設に隣接する構造で、平日の夜7時過ぎはお客も少ない。防犯カメラはあっても死角が多く、防犯装置がなければ盗まれた可能性もある。スノーピークはまな板セットと包丁単体を取り扱うが、店舗に在庫を置くとすれば店頭の柱を取り囲む棚だ。ここはレジからは視認性もいいので、犯行は不可能と思われる。
どちらにしても、施設内の店舗が扱っている包丁が盗まれ、殺人の凶器となったことは、店舗もデベロッパーも重く受け止めなければならない。その点で、キャンドゥは管理をきちんと行って犯行に使用されることを防いだのだから、他店でも包丁のような商品の展開方法は、一考せざるを得ないだろう。
米国のショッピングセンター(SC)では、エントランスに金属探知機を設置しているところもある。凶悪犯が外部から侵入するのを防ぐためだが、日本はそこまではしていない。それだけ「安全な社会だった」わけだが、ついに施設内で販売されている商品が凶器になった。休日で昼間の時間帯なら、被害は計り知れない。
かつて小倉駅周辺で刺傷事件が相次いだ時は、ラフォーレへの影響を心配して本社の森ビルから「小倉、大丈夫か」との連絡があったと、西村一孝館長は語っていた。マークイズ福岡ももちを運営する三菱地所は、これから天神イムズの再開発事業を控えており、防犯対策を再考せざるを得ないだろう。また、2022年春には福岡青果市場跡に「ららぽーと」と「キッザニア」が開業する。デベロッパーの三井不動産にとっても、今回の事件は他人事ではない。
来店客がいつ危害を加えられるかわからない。凶器が外から持ち込まれるかもしれない。最悪の事態を想定した防犯対策、警備態勢の見直しが急務と言える。
再犯に対する刑事政策が十分ではない
今回の事件は、更生施設を抜け出した15歳の少年によるものだった。しかし、少年だろうと、成人だろうと、矯正教育の最中や仮出所中に殺人事件を起こす可能性は排除できない。だから、再犯をいかに防ぐか。また、再犯の可能性を前提にした対策を取らなければ、今回のような殺人事件は防げない。人が殺されてからでは遅いのである。
日本では2016年12月、「再犯の防止等の推進に関する法律」が施行され、「再犯防止推進計画等検討会」が就労・住居の確保や保健医療サービス、修学支援、犯罪をした者に対する効果的な指導等、様々な取り組みを行っている。しかし、現状は検挙者に占める再犯の割合が48.7%と、約半分にも達する。ソフト面だけの刑事政策では再犯防止には不十分なのだ。
米国でも、出所者の約4割前後が1年以内に逮捕されている。そこで再犯を未然に防ぐために制定されたのが「電子監視・位置情報確認制度」だ。いわゆるGPSによる出所者や性犯罪者などの遠隔監視である。1997年、フロリダ州が全米で初めて犯罪者の位置情報確認にGPS方式を導入した。
米国は連邦制国家であることから、刑事司法は法域ごとに異なる。電子監視・位置情報確認の利用目的や対象者も、公判前被告人の保釈条件からプロベーション(外出禁止等条件の履行を担保する条件)、在宅拘禁、外部通勤、パロール(仮釈放)後の監督指導、施設内位置情報確認等までと様々。暴力犯罪の経歴がない保護観察処分者や仮出所者にも使用したいという州もある。犯罪者の態様が多岐にわたるため、監視・確認の対象範囲も広がっていくのだ。
一方で、人権の問題が持ち上がる。ただ、米国の刑事司法は合衆国憲法上、電子監視機器による在宅確認は、「在宅しているかどうかだけを確認するものであり、プライバシーの侵害には当たらないと考えられる」と、判断している。また、刑事司法機関による制裁の対象者は、「一般市民の安全の確保や保護が優先されると考えられること、刑事制裁措置を受ける者では憲法上の権利が一定の制約を受けることは、各種の判例でも認められている」との解釈だ。
再犯を未然に防ぎ、一般市民の安全を守る上では、仮出所者や性犯罪者などが人権上の制約を受けるのは当然というのが米国の認識なのだ。では、日本はどうなのか。リベラルの政治家や人権団体は大反対するだろう。まして、更生途上の少年にGPS装置を着ければ実名報道と同様、一般に情報が広まり更生に向けやり直すのが難しくなるとの意見が出てくると思う。
しかし、それと再犯の防止とは別個に考えなければならない。なぜなら、今回の少年は更生施設に入所2日後に施設を抜け出している。これは自分の意思でだ。施設側は福岡県警に行方不明者届を出したと言うが、1日経っても少年は保護に至らず殺人まで犯してしまった。位置情報が確認できていればすぐに保護され、事件は起きなかったと言える。SCの警備態勢も万全を期すことができたと考える。
少年再犯を危惧した保護観察所の立ち退き運動
福岡市に土地勘のない方はわからないだろうが、市の中心部では以前から犯罪に手を染めた少年の再犯が懸念されていた。マークイズ福岡ももちと同じ中央区では、居住人口の減少により大名、舞鶴、簀子の3小学校が統廃合され、2014年に舞鶴中学校と同じ敷地に新しく「舞鶴小中学校」が開校した。
舞鶴中学校時代には道を挟んで反対側に「福岡保護観察所」があり、更生に向かう少年らが定期的に通っていた。舞鶴校区の父兄らには転勤族も多く、このことを知って「新しく通学するわが子が危害を加えられるかもしれない」と、マンションの外壁に横断幕を掲げるなど保護観察所の立ち退き運動を展開した。結局、福岡高等・地方など4つの裁判所が中央区六本松の九大教養部キャンパス跡地に移転するのに併せ、保護観察所も一緒に移ることで問題は決着した。今のところ、子供たちの安全は保たれている。(六本松地区でも再犯は起きていないが、周辺には駅、商店、マンション、一般住宅、小学校があり、今後のことはわからない)
ところが、今回、舞鶴校区からそう遠くないマークイズ福岡ももちで殺人事件は発生した。少年は県警の調べに対し、「バスに乗って福岡市に行った」が、天神で下車した後は「所持金がなくなり、目的地もなく歩いた」と供述している。位置関係からすれば、少年がどのルートを歩いたにしても、舞鶴校区を通らないとマークイズ福岡ももちにはたどり着けない。
少年は犯行後、取り押さえられる直前に6歳の女児に馬乗りになって押さえつけている。福岡県警は人質にして逃げようとした可能性があると見ているが、これが事実なら明らかに「犯意」や「違法性」、「有責性」が認められるということだ。どう考えても、矯正教育が機能しておらず、再犯が起こるべくして起きたのは否定できない。
少年がもし天神の商業施設で包丁を入手していれば、時間的に小中学生が下校中(夏休みは8月7日〜19日に短縮)の舞鶴校区で犯行が起きた可能性は十分に考えられる。保護観察所の立ち退き運動を展開した父兄らは、「心配していたことが現実になったかもしれない」と、青ざめたのではないだろうか。少年の人権や更生も大事だ。しかし、市民の安全が脅かされるリスクがあることも想定しながら、最善策を考えていかなければならない。
刑事政策的見地から、再犯を防止するハード面の施策についても、積極的な議論が進むことを心から願う。でないと、命を落とされた吉松弥里さんは浮かばれないし、彼女もそう願っているはずである。
改めて事件を振り返ってみよう。8月28日、金曜日、午後7時半頃、福岡市中央区にあるショッピングモール・マークイズ福岡ももちの1階女性トイレで、21歳のアルバイト吉松弥里さんが刃物で刺されて死亡した。現場近くにいた中学生の少年(15)が血の付いた包丁を持っていたとして、現行犯逮捕された。
福岡県警によると、容疑者の少年が持っていた刃物の形状と、 女性の傷跡が一致したことなどから、9月9日、少年は殺人の疑いで再逮捕された。その後の取り調べで、少年は「腹が減ったので、包丁で店員を脅せば食べ物をもらえると思って盗んだ」と供述。だが、詳しい動機や事件の背景は未解明な点が多く、警察は慎重に捜査を進めている。
このコラムは、少年法の厳罰化や実名報道の是非、更生支援について、言及する場ではない。むしろ、アパレルを販売する施設でお客が命を奪われた事実を見つめ、いかに殺人などの凶悪犯罪を未然に防ぎ、買い物客の安全を守るか。それについて、考えてみたい。
凶器となる刃物の展開を見直す
福岡警察によると、凶器となった包丁は刃渡り約18.5センチ。事件の直前に少年が「施設内で盗んだ」疑いがあることがわかっている。
包丁を入手したのはどこか。マークイズ福岡ももちで包丁を販売していると思われるのは、以下の店舗だ。1階では、100円ショップの「キャンドウ」、生活雑貨の「デイアンドデイズ」、インテリア・生活雑貨の「フランフラン」。2階では、インテリア・生活雑貨の「ニトリ」、アウトドア用品の「スノーピーク」である。だが、これら全てが万引き防止の装置を設置しているわけではない。
キャンドゥは原則として包丁は店頭に展開せず、「包丁をお求めの方は店員にお声掛けください」とのPOPを掲示している。マークイズ福岡ももちも同様の対応をとっており、店頭で盗まれるのを防ぎ、犯行に使われることがなかった点では、危機管理が奏功したと言える。
デイアンドデイズとフランフランは、包丁を取り扱っていたとしても1〜2種類。防犯装置がなければ、盗むのはそう難しくない。ニトリは施設に隣接する構造で、平日の夜7時過ぎはお客も少ない。防犯カメラはあっても死角が多く、防犯装置がなければ盗まれた可能性もある。スノーピークはまな板セットと包丁単体を取り扱うが、店舗に在庫を置くとすれば店頭の柱を取り囲む棚だ。ここはレジからは視認性もいいので、犯行は不可能と思われる。
どちらにしても、施設内の店舗が扱っている包丁が盗まれ、殺人の凶器となったことは、店舗もデベロッパーも重く受け止めなければならない。その点で、キャンドゥは管理をきちんと行って犯行に使用されることを防いだのだから、他店でも包丁のような商品の展開方法は、一考せざるを得ないだろう。
米国のショッピングセンター(SC)では、エントランスに金属探知機を設置しているところもある。凶悪犯が外部から侵入するのを防ぐためだが、日本はそこまではしていない。それだけ「安全な社会だった」わけだが、ついに施設内で販売されている商品が凶器になった。休日で昼間の時間帯なら、被害は計り知れない。
かつて小倉駅周辺で刺傷事件が相次いだ時は、ラフォーレへの影響を心配して本社の森ビルから「小倉、大丈夫か」との連絡があったと、西村一孝館長は語っていた。マークイズ福岡ももちを運営する三菱地所は、これから天神イムズの再開発事業を控えており、防犯対策を再考せざるを得ないだろう。また、2022年春には福岡青果市場跡に「ららぽーと」と「キッザニア」が開業する。デベロッパーの三井不動産にとっても、今回の事件は他人事ではない。
来店客がいつ危害を加えられるかわからない。凶器が外から持ち込まれるかもしれない。最悪の事態を想定した防犯対策、警備態勢の見直しが急務と言える。
再犯に対する刑事政策が十分ではない
今回の事件は、更生施設を抜け出した15歳の少年によるものだった。しかし、少年だろうと、成人だろうと、矯正教育の最中や仮出所中に殺人事件を起こす可能性は排除できない。だから、再犯をいかに防ぐか。また、再犯の可能性を前提にした対策を取らなければ、今回のような殺人事件は防げない。人が殺されてからでは遅いのである。
日本では2016年12月、「再犯の防止等の推進に関する法律」が施行され、「再犯防止推進計画等検討会」が就労・住居の確保や保健医療サービス、修学支援、犯罪をした者に対する効果的な指導等、様々な取り組みを行っている。しかし、現状は検挙者に占める再犯の割合が48.7%と、約半分にも達する。ソフト面だけの刑事政策では再犯防止には不十分なのだ。
米国でも、出所者の約4割前後が1年以内に逮捕されている。そこで再犯を未然に防ぐために制定されたのが「電子監視・位置情報確認制度」だ。いわゆるGPSによる出所者や性犯罪者などの遠隔監視である。1997年、フロリダ州が全米で初めて犯罪者の位置情報確認にGPS方式を導入した。
米国は連邦制国家であることから、刑事司法は法域ごとに異なる。電子監視・位置情報確認の利用目的や対象者も、公判前被告人の保釈条件からプロベーション(外出禁止等条件の履行を担保する条件)、在宅拘禁、外部通勤、パロール(仮釈放)後の監督指導、施設内位置情報確認等までと様々。暴力犯罪の経歴がない保護観察処分者や仮出所者にも使用したいという州もある。犯罪者の態様が多岐にわたるため、監視・確認の対象範囲も広がっていくのだ。
一方で、人権の問題が持ち上がる。ただ、米国の刑事司法は合衆国憲法上、電子監視機器による在宅確認は、「在宅しているかどうかだけを確認するものであり、プライバシーの侵害には当たらないと考えられる」と、判断している。また、刑事司法機関による制裁の対象者は、「一般市民の安全の確保や保護が優先されると考えられること、刑事制裁措置を受ける者では憲法上の権利が一定の制約を受けることは、各種の判例でも認められている」との解釈だ。
再犯を未然に防ぎ、一般市民の安全を守る上では、仮出所者や性犯罪者などが人権上の制約を受けるのは当然というのが米国の認識なのだ。では、日本はどうなのか。リベラルの政治家や人権団体は大反対するだろう。まして、更生途上の少年にGPS装置を着ければ実名報道と同様、一般に情報が広まり更生に向けやり直すのが難しくなるとの意見が出てくると思う。
しかし、それと再犯の防止とは別個に考えなければならない。なぜなら、今回の少年は更生施設に入所2日後に施設を抜け出している。これは自分の意思でだ。施設側は福岡県警に行方不明者届を出したと言うが、1日経っても少年は保護に至らず殺人まで犯してしまった。位置情報が確認できていればすぐに保護され、事件は起きなかったと言える。SCの警備態勢も万全を期すことができたと考える。
少年再犯を危惧した保護観察所の立ち退き運動
福岡市に土地勘のない方はわからないだろうが、市の中心部では以前から犯罪に手を染めた少年の再犯が懸念されていた。マークイズ福岡ももちと同じ中央区では、居住人口の減少により大名、舞鶴、簀子の3小学校が統廃合され、2014年に舞鶴中学校と同じ敷地に新しく「舞鶴小中学校」が開校した。
舞鶴中学校時代には道を挟んで反対側に「福岡保護観察所」があり、更生に向かう少年らが定期的に通っていた。舞鶴校区の父兄らには転勤族も多く、このことを知って「新しく通学するわが子が危害を加えられるかもしれない」と、マンションの外壁に横断幕を掲げるなど保護観察所の立ち退き運動を展開した。結局、福岡高等・地方など4つの裁判所が中央区六本松の九大教養部キャンパス跡地に移転するのに併せ、保護観察所も一緒に移ることで問題は決着した。今のところ、子供たちの安全は保たれている。(六本松地区でも再犯は起きていないが、周辺には駅、商店、マンション、一般住宅、小学校があり、今後のことはわからない)
ところが、今回、舞鶴校区からそう遠くないマークイズ福岡ももちで殺人事件は発生した。少年は県警の調べに対し、「バスに乗って福岡市に行った」が、天神で下車した後は「所持金がなくなり、目的地もなく歩いた」と供述している。位置関係からすれば、少年がどのルートを歩いたにしても、舞鶴校区を通らないとマークイズ福岡ももちにはたどり着けない。
少年は犯行後、取り押さえられる直前に6歳の女児に馬乗りになって押さえつけている。福岡県警は人質にして逃げようとした可能性があると見ているが、これが事実なら明らかに「犯意」や「違法性」、「有責性」が認められるということだ。どう考えても、矯正教育が機能しておらず、再犯が起こるべくして起きたのは否定できない。
少年がもし天神の商業施設で包丁を入手していれば、時間的に小中学生が下校中(夏休みは8月7日〜19日に短縮)の舞鶴校区で犯行が起きた可能性は十分に考えられる。保護観察所の立ち退き運動を展開した父兄らは、「心配していたことが現実になったかもしれない」と、青ざめたのではないだろうか。少年の人権や更生も大事だ。しかし、市民の安全が脅かされるリスクがあることも想定しながら、最善策を考えていかなければならない。
刑事政策的見地から、再犯を防止するハード面の施策についても、積極的な議論が進むことを心から願う。でないと、命を落とされた吉松弥里さんは浮かばれないし、彼女もそう願っているはずである。