
仕事柄、ずっと写真撮影に携わって来た。昭和の時代はロケやスタジオ撮りなどで、コンテ作りからディレクションまで行っていた。当時はカメラマンに撮ってもらうだけでなく、レンタルフォトを選択することもあった。
ライブラリーでレンタルできる写真は、プロが物から人物、風景までとあらゆるテーマで撮りだめたポジフィルム(リバーサルフィルム)のデュープがストックされていた。35mm、6×7、4×5とサイズ別で使用料金は違うが、安い物で1万円、高いと3万〜5万円くらいで借りることできた。
海外ロケ、ヘアメイクやスタイリストの起用など、あまりに撮影費がかかる場合は、コンテイメージに合致した写真があるのであれば、レンタルする方が安上がりだった。ただ、スチルライフによるイメージカットは、撮影した方が楽なケースもあった。必ずしも予算がないから、レンタルフォトを選ぶわけではなかったのだ。
レンタルフォトには厳格な契約条項があり、申請した目的以外での使用はもちろん禁止。また、フィルムを毀損、滅失すれば、1枚単価の20倍以上を賠償しなければならなかった。実際、とある代理店の営業が借りたレンタルポジを、酒を飲んだ帰りにタクシーに置き忘れて紛失し、相当額の賠償金を支払わうはめになったという話もあったくらいだ。
ところが、デジタル化が進むとフィルムは無くなり、写真はデータ化された。さらにネット環境の充実で、ストックフォトがそのままダウンロードで入手できるようになった。ライブラリーはストックのスペースが必要でなくなり、パソコンに大容量のハードディスクを付ければ容易に管理できる。反面、ボーダレス化で競争が激化し、レンタル料は格段に下がってしまった。使用する写真のピクセル数にもよるが、35mmリバーサルと比べると、レンタル料は3分の1から5分の1くらいではないだろうか。
さらに今ではロイヤルティフリーで、しかも無償で使える写真がネットに溢れている。制作料金をかけられず、画素数が低くても十分なWebデザインでは使われるケースが多い。カメラ自体も家電化し、性能が高まっているので、構図さえ整えられると、プロが撮ったような写真が撮影できる。プロとアマチュアの差は明らかに縮まっているのだが、これも時代の趨勢だからどうしようもない。
しかし、昨年、DeNAのキュレーションサイトが原稿の無断転載を行っていたことは、ネット業界が著作権問題に曖昧なことを露呈した。写真についてもネットの世界では画面から簡単にドラッグ&ドロップできるため、知らないうちに自分が撮影しアップした写真が勝手に使用されているケースがあるのだ。

このコラムで一昨年の10月25日に投稿した「アパレルにも革新起業が望まれる。」http://blog.goo.ne.jp/souhaits225/e/9502177fb5dd9b218bd236da1e3a56d4
というテーマがある。

このタイトル写真は当方が自らオリジナルで撮影したのだが、先日、「アパレル展示会&サンプルsale業界情報交換コミュニティ(アパレル関係者&その周りのクリエイティブ関係者Only)」という非公開グループのFacebook(カバー写真)で、トリミングを一部変えただけでそのまま勝手に使用されていたのを偶然に発見した。(タイトル写真)
最近はファッションというか、アパレルイメージの写真もネットで検索すれば、いくらでもフリー素材が見つかる。でも、このFacebookの管理者にとってドンピシャの写真がなかったのだろうか。それとも、当方のコラムを見て良さそうだから、短絡的に拝借されたのだろうか。当方もファッション業界で長年仕事をして来ているが、かと言ってオリジナル写真が無断で勝手に使用されるとなると、話は別である。

理由はどうあれ、当方は写真の被写体を事務所で蔵書するアートブックからピックアップし、コラムのテーマとすり合わせながら、表紙ビジュアル、サイズや色、タイトルをうまく組み合わせてマルチでレイアウトしたシチュエーションを組んだ。そうしたデザイン作業はディレクターとしての本業だから、コラムでも同じスタンスで試みたのだ。仕事のオファーを受けたのなら、当然、ギャラが発生する。
ストックフォトグラフィのGetty Imagesでは、「写真の利用料を払うから、出版社や広告社に写真を使わせて欲しい」と、撮影者に連絡してくるのは業界では有名な話だ。使用料はケースバイケースだが、家族で食事をするに十分なほどを払ってくれるというから、それが世界の趨勢ではないかと思う。
当方が書いたコラムの内容は、現在は終了してしまった「The Flagのイッシュー」で寄稿を求められたものだ。だから、The Flagでの転載ならまだしも、Facebookのような全く別の媒体に使用されるのはいかがかと思う。
元来、レンタルフォトはわざわざ撮影するほどにない写真には向いている。例えば、ご来迎や雲海、 葉っぱから落ちそうな滴、 ハワイの青い海やニューヨークの自由の女神など、被写体そのものが不変ならレンタルの方がバリエーションが多い。ストック数も膨大だから好きなカットを選べばいいのだ。反面、ディレクターの立場から言わせてもらうと、「いかにもありそうな写真」「どこかで見たようなカット」で、オリジナリティは感じない。だから、撮影することになるのだ。当然、経費はかかるわけだが。
それがフリー素材になると、なおさらありがちなカットで、オリジナリティもクリエイティビティも全くない。少しでもビジュアルデザインに携わった関係者なら、同じように感じると思う。Webデザインのように制作費がとれないものは、フリー素材を使わないとしかたないのは理解できる。FacebookのようなSNSのプラットフォームはテンプレートがあり、個人で簡単にアップすれば出来上がるからこそ、カバー写真のようなメーンビジュアルは重要になるのは、百も承知だ。でも、当方はネットだからと手を抜きたくないので、写真も自分で撮影したり、加工したりするのである。
アパレル展示会&サンプルsale業界情報交換コミュニティは、管理者の方々こそ全く存じ上げないが、メンバーに名を連ねるのは実際に面識のある方、FBで友達申請をいただいた方など、業界で活躍されている面々がいらっしゃる。活動の拠点も東京の渋谷というファッションビジネスのコアだ。
そのようなステージで、当方の写真が使用されたのは光栄である反面、ファッション最前線で光り輝く方々の活動が霞んでしまうのではないだろうか。某有名ファッションライターさんのように「だから、アパレル業界はパクリエーターばかりなんだよ」とまでは言わないが、たかがコラムのタイトル写真ですら手を抜かず考えて撮影している人間がいることもご理解いただきたい。
念のためにオリジナル写真と無断使用の写真をアップしておく。 今回のコラムも通常通りFBにリンクするので、もし管理者の方に届いたのなら、カバー写真は差し替えていただくよう切にお願いする。
ライブラリーでレンタルできる写真は、プロが物から人物、風景までとあらゆるテーマで撮りだめたポジフィルム(リバーサルフィルム)のデュープがストックされていた。35mm、6×7、4×5とサイズ別で使用料金は違うが、安い物で1万円、高いと3万〜5万円くらいで借りることできた。
海外ロケ、ヘアメイクやスタイリストの起用など、あまりに撮影費がかかる場合は、コンテイメージに合致した写真があるのであれば、レンタルする方が安上がりだった。ただ、スチルライフによるイメージカットは、撮影した方が楽なケースもあった。必ずしも予算がないから、レンタルフォトを選ぶわけではなかったのだ。
レンタルフォトには厳格な契約条項があり、申請した目的以外での使用はもちろん禁止。また、フィルムを毀損、滅失すれば、1枚単価の20倍以上を賠償しなければならなかった。実際、とある代理店の営業が借りたレンタルポジを、酒を飲んだ帰りにタクシーに置き忘れて紛失し、相当額の賠償金を支払わうはめになったという話もあったくらいだ。
ところが、デジタル化が進むとフィルムは無くなり、写真はデータ化された。さらにネット環境の充実で、ストックフォトがそのままダウンロードで入手できるようになった。ライブラリーはストックのスペースが必要でなくなり、パソコンに大容量のハードディスクを付ければ容易に管理できる。反面、ボーダレス化で競争が激化し、レンタル料は格段に下がってしまった。使用する写真のピクセル数にもよるが、35mmリバーサルと比べると、レンタル料は3分の1から5分の1くらいではないだろうか。
さらに今ではロイヤルティフリーで、しかも無償で使える写真がネットに溢れている。制作料金をかけられず、画素数が低くても十分なWebデザインでは使われるケースが多い。カメラ自体も家電化し、性能が高まっているので、構図さえ整えられると、プロが撮ったような写真が撮影できる。プロとアマチュアの差は明らかに縮まっているのだが、これも時代の趨勢だからどうしようもない。
しかし、昨年、DeNAのキュレーションサイトが原稿の無断転載を行っていたことは、ネット業界が著作権問題に曖昧なことを露呈した。写真についてもネットの世界では画面から簡単にドラッグ&ドロップできるため、知らないうちに自分が撮影しアップした写真が勝手に使用されているケースがあるのだ。

このコラムで一昨年の10月25日に投稿した「アパレルにも革新起業が望まれる。」http://blog.goo.ne.jp/souhaits225/e/9502177fb5dd9b218bd236da1e3a56d4
というテーマがある。

このタイトル写真は当方が自らオリジナルで撮影したのだが、先日、「アパレル展示会&サンプルsale業界情報交換コミュニティ(アパレル関係者&その周りのクリエイティブ関係者Only)」という非公開グループのFacebook(カバー写真)で、トリミングを一部変えただけでそのまま勝手に使用されていたのを偶然に発見した。(タイトル写真)
最近はファッションというか、アパレルイメージの写真もネットで検索すれば、いくらでもフリー素材が見つかる。でも、このFacebookの管理者にとってドンピシャの写真がなかったのだろうか。それとも、当方のコラムを見て良さそうだから、短絡的に拝借されたのだろうか。当方もファッション業界で長年仕事をして来ているが、かと言ってオリジナル写真が無断で勝手に使用されるとなると、話は別である。

理由はどうあれ、当方は写真の被写体を事務所で蔵書するアートブックからピックアップし、コラムのテーマとすり合わせながら、表紙ビジュアル、サイズや色、タイトルをうまく組み合わせてマルチでレイアウトしたシチュエーションを組んだ。そうしたデザイン作業はディレクターとしての本業だから、コラムでも同じスタンスで試みたのだ。仕事のオファーを受けたのなら、当然、ギャラが発生する。
ストックフォトグラフィのGetty Imagesでは、「写真の利用料を払うから、出版社や広告社に写真を使わせて欲しい」と、撮影者に連絡してくるのは業界では有名な話だ。使用料はケースバイケースだが、家族で食事をするに十分なほどを払ってくれるというから、それが世界の趨勢ではないかと思う。
当方が書いたコラムの内容は、現在は終了してしまった「The Flagのイッシュー」で寄稿を求められたものだ。だから、The Flagでの転載ならまだしも、Facebookのような全く別の媒体に使用されるのはいかがかと思う。
元来、レンタルフォトはわざわざ撮影するほどにない写真には向いている。例えば、ご来迎や雲海、 葉っぱから落ちそうな滴、 ハワイの青い海やニューヨークの自由の女神など、被写体そのものが不変ならレンタルの方がバリエーションが多い。ストック数も膨大だから好きなカットを選べばいいのだ。反面、ディレクターの立場から言わせてもらうと、「いかにもありそうな写真」「どこかで見たようなカット」で、オリジナリティは感じない。だから、撮影することになるのだ。当然、経費はかかるわけだが。
それがフリー素材になると、なおさらありがちなカットで、オリジナリティもクリエイティビティも全くない。少しでもビジュアルデザインに携わった関係者なら、同じように感じると思う。Webデザインのように制作費がとれないものは、フリー素材を使わないとしかたないのは理解できる。FacebookのようなSNSのプラットフォームはテンプレートがあり、個人で簡単にアップすれば出来上がるからこそ、カバー写真のようなメーンビジュアルは重要になるのは、百も承知だ。でも、当方はネットだからと手を抜きたくないので、写真も自分で撮影したり、加工したりするのである。
アパレル展示会&サンプルsale業界情報交換コミュニティは、管理者の方々こそ全く存じ上げないが、メンバーに名を連ねるのは実際に面識のある方、FBで友達申請をいただいた方など、業界で活躍されている面々がいらっしゃる。活動の拠点も東京の渋谷というファッションビジネスのコアだ。
そのようなステージで、当方の写真が使用されたのは光栄である反面、ファッション最前線で光り輝く方々の活動が霞んでしまうのではないだろうか。某有名ファッションライターさんのように「だから、アパレル業界はパクリエーターばかりなんだよ」とまでは言わないが、たかがコラムのタイトル写真ですら手を抜かず考えて撮影している人間がいることもご理解いただきたい。
念のためにオリジナル写真と無断使用の写真をアップしておく。 今回のコラムも通常通りFBにリンクするので、もし管理者の方に届いたのなら、カバー写真は差し替えていただくよう切にお願いする。