車谷 長吉(くるまたに ちょうきつ)が直木賞を受賞した本
作者は特異な経歴を持った人で私小説作家でもある
20代後半から9年間、住所不定の生活をすごし、ふたたび東京に戻って作家として数々の賞をとっている
高校受験の時、県(兵庫県)で一番の進学校を目指したが、失敗して自分が意図しない高校に入学せざるを得なかった
その大きな落差の体験が彼の人間形成にかなり影響したように思える
常に自分を否定し続け、世捨て人として生きたいと願う
私小説作家として、この作品を読んでみても彼の無欲な生活ぶりやまだ自分を捨てきって無いと考えて流れて行く心持ちが淡々としている
だからと言って投げやりになる訳ではなく、人間としての底の底はしっかり持っている感じがする
そうでなければ直木賞作家になれる訳がないですね^^;
ここに書かれている環境は一般的な社会ではなく、その日暮らしの、そして裏社会の人たち?の人間模様が見える(映画化されている)
読んでて重苦しくもなるが、彼の文章に軽い感じがなく難しくも読みがいがあっておもしろい
この本を読む前に、エッセイ集の『銭金について』を読んだが、やはり難しい文章だけれども彼らしいおもしろさがあった(読めない難しい漢字がたくさん使われていて、辞書が欲しかった><;)
自分という人間を捨てたい人だから、文章の内容も社会に遠慮することなく書いていて、改めて知る事がたくさんあった
今年5月に69才で亡くなられ、その訃報記事を読んで興味を持ったのだけれども、彼は今なんと思っているのか・・・な?
もう一度エッセイ集を読みたいと思っている