宮尾登美子の自伝小説
『朱夏』の引き続きになる『仁淀川』
綾子が引上げ船で佐世保に着いたところで『朱夏』は終わっているが、『仁淀川』は四国は高知の夫の生家に帰り着いたところから始まる
満洲で終戦時に暴動にあい、着の身着のまま難民となって、まさにその時の着の身着のままで姑の待つ家に帰ってきた
姑は並外れた働き者と頑健な身体と健康に恵まれた人
そして、空襲に遭うこともなく終戦を迎え、物資の不足はあったが農業をしている以上は食べることに困らない生活をしていた
姑は、人並みに暮らすこと、人より飛び出しもせず引っ込みもせずという信条がある
世間の風習に従い、村中の目を気にしながらの生活
高知の町育ちである綾子と、農村で育って農村にお嫁に来て、息子(綾子の夫)が6才の時に夫に死なれて、舅がいるとはいえ、女手一つで家を支えてきた姑
嫁である綾子の、この姑との生活は難民生活とはまた違った苦労が待ち受けていた
農機具もなく、すべて手作業の農家の四季
日の出とともに農作業に追われ、日没後の暗くなる寸前まで外で働く農家の生活
姑は生き生きと自給自足を楽しんでいるように見えるが、綾子には過酷な労働となり胸を病む;;
いずれ、離婚して娘を連れて家を出ていくのだが、その辺のことはさっと触れられただけで、物語は終わっている
宮尾登美子のまさに波乱万丈の人生@@