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バンドウユミ  Private Blog
  ALBA所属 ひよっこナレーター の 上々↑↑ライフ

『ライフ・オブ・パイ ~トラと漂流した227日』

2013-02-21 10:11:35 | Go!Go! わたし ~鑑賞編~
予告編やTVCMを見たとき、これは3Dで観るべき作品だな、と思った。
吉祥寺駅前のシネマビルは3Dメガネを持ち帰れる。
次に観るときに持参すれば、メガネ代は支払わなくていいシステム。ナイス。

 『 ライフ・オブ・パイ ~トラと漂流した227日 』

猫も杓子も3D。そう言っても過言じゃないほどの昨今。
中には「なんでこれが3D?」なのもあるのも確か。
ただ、最初に観たころに比べると、ずいぶんとナチュラルになったと思う。
過剰な3D演出は形を潜め、とても効果的な状態。

乗っていた船が何らかの原因で沈没し、少年・パイだけが救命ボートで難を逃れる。
このエピソード自体はありがちだと思うし、事実数件事例の報告もある。
ただ、このサバイバルのパートナーがベンガルトラ、リチャード・パーカーであることによって、事態が常に極限の様相を呈している。

大海原でただ一人。究極の孤独。
そこでのセーフティ・ゾーン(救命ボート)を巡り、パイとリチャード・パーカーはバトルを展開する。
日が経つにつれ、その関係性は少しずつ変わっていく。

圧倒的な映像美。
効果的な3D映像と演出によって、振り回される感覚。
・・・ぶっちゃけてしまえば、船酔いします。この作品。
私、乗り物かなり強い方なんですけどね。乗り物酔いは今まででただの一度。小型漁船に乗った時だけ・・・あ、ビンゴ

予告編やTVCMで多用されてるクジラのジャンプシーンとか、本当に圧倒的です。
ただこれが「雄大で美しい自然」の象徴か・・・否。

個人的には、これが例えば単一神の信仰をベースに持つ作品だったら、きっとここまで響かないんじゃないかと思う。
お寺にお参りし、神社に詣で、クリスマスを祝いクロスをファッションとして身に着ける、ここ「日本」では。
それはこのパイという少年が持つ【宗教に対する柔軟性】だったり【探究心】だったりに拠るものが大きい。

自分の命、しか存在しない場所。
しかしそれすらも儚く、いつ消えるかもわからない場所・大海原。
いわゆる【極限】は、人に何を与え、何を奪うのか。
「生きる」こと自体に懸命に、とは到底言えない現代人は、やはり平和ボケと言わざるを得ないのかもしれない。

この作品は、哲学です。
だから見終えても、ずーっとずーっと考えてる。
「生きることは手放すこと」成人したパイがしれっと放つ言葉。真理。



ちなみに相方さんと一緒に観てきたのですが、うちではネコ科の後ろ頭はテッパンです。
そして弱るネコ科にはめっぽう弱いです。号泣。
それが例えトラであっても。