高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

浪速魚菜の会 試食会編

2006-04-01 | 料理日記

 今回の食材は、高山の真菜・木積の筍・大阪湾で水揚げされた飯蛸といかなごです。

  まずは、木積の筍と中国産の筍の食べ比べ。まず、決定的な違いは鮮度にあります。筍はやはり鮮度が命。掘り起こされてから時間が経つにつれて苦味がきつくなります。中国産は食べた時にはそうでもないのですが、後口に筍の苦味がずっと口に残ります。かなり厳しい。それに比べて、穂積の筍は、多少の苦味はあるものの、とても瑞々しくて良かったです。筍を食べて瑞々しいと感じたこと、あんまりなかったです。

Dscn1418  続いて、真菜浸しの湯葉巻き梅のせ(右)と葉牛蒡の細巻寿司(左)

 細巻は若牛蒡の葉の部分をお浸しして、ゴマ・若牛蒡の根の部分・みじん切りのパプリカを寿司飯に混ぜて、巻いたもの。優しい味でとても美味しかったです。

割鮮は、アカニシ貝と飯蛸、あしらいに三島独活と穂積の筍 梅びしおで。アカニシ貝も飯蛸もともに大阪湾で獲れたものです。ちなみに、アカニシ貝は、あまり聞き慣れないかもしれませんが、昔から食用されていたらしく、貝塚からその殻が発掘できるそうです。

Dscn1420 酢の物は、いかなごの羽二重酢。田辺大根の切り干しを酢のものにして、その上からとろろを土佐酢で延ばしたものを掛ける。そして、今朝上がったいかなごを生のまま盛って頂きました。

 生のいかなごは初めて食べました。初かつおもそうですが、旬を感じることができるご馳走ですね。

焚き合わせは、飯蛸の蒸し煮と葉牛蒡の炒め煮。

Dscn1422 焼き物は、穂積の筍真菜味噌焼きと大阪犬菜鳴豚あぶり焼き。

 木の芽味噌の代わりに真菜をお味噌に合わせたそうです。真菜のほのかな風味が、木の芽と違った楽しい一品でした。犬鳴豚の方は、真菜などの湯掻き汁を使って蒸し煮にした後に炙り焼きにしたものです。とても柔らかくて美味しかったのですが、もう少し油抜きをしっかりしても良かったかなと思いました。ただ、それでも油を臭いと思わなかったので、逆にこの豚の良さを知る事が出来ました。

揚げ物は、いかなごと昆布・三島独活・牛蒡・の寄せ揚げ(かきあげ)。あまり小さいいかなごをかきあげにすると牛蒡などの味の強い食材に負けてしまいますね。良く料理の献立を組み立てる時に、このようにかきあげなどの天婦羅にしたりするのですが、気をつけないとダメですね。私も勉強になりました。ただ、さすがに若牛蒡は、ひねた牛蒡と違って、軽い風味が好印象でした。三島独活もその苦味が春を感じさせる味です。

Dscn1425 留椀には真菜の精進出汁と真菜とアカニシ貝、御飯はいかなごと筍御飯。香の物に田辺大根の沢庵です。

 椀のお出汁は、真菜の湯がき汁に昆布とカツオ節、アカニシ貝の湯掻き汁で作られていて、とても美味でした。ただの湯がき汁もしっかり出汁になるのです。本当においしかったです。

 今回の料理は会場となったホテル一栄の料理部の大庭料理長が考えてくださりました。伝統野菜を扱うのは初めてとおっしゃていましたが、頑張って取り組んで頂いたことが反映したお料理だったと思います。この献立になるまでに、代表の笹井さんといろいろとお話し合いもしたそうですが、個性揃いの食材を扱うのは大変ですが、そういう食材程料理人がいろいろと手を加える事が出来る楽しい食材だと思います。

 最後に、残念ながら今まで浪速魚菜の会の料理顧問を務めて頂いた上野 修三先生が、その職を辞することになりました。これからも一会員としてご参加頂けると言って頂きました。上野先生の料理を始めて食べる事が出来、いろいろと教えて頂ける機会に恵まれて、私は本当に幸せものです。今まで、ほんとうに有難うございました。 

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