読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

台湾人生/DVD

2013年07月11日 19時23分41秒 | ■見る
2009年公開の日本映画です。監督の酒井充子さんは、元々新聞記者であったのですが、台湾旅行の際、たまたま現地の年寄りから美しい日本語で話し掛けられ、日本統治の歴史的事実を実感したことが映画製作のきっかけとなったのだそうです。
登場するの昭和元年前後に生まれた方々5人で、私の母と同じ世代です。境遇は様々です。しかし、この世代の人々は日本国民として教育され、戦争も日本人として戦った。しかし、敗戦により、日本から中国に領有権が移行し、大陸で敗れた国民党が台湾に大挙して押し寄せた。そして圧政によって元々住んでいた台湾の人々を押さえ込んだのでした。
登場する人々の幾人かは、自分たちが日本人であると語っています。それなのに、敗戦によって日本政府が自分達を捨てたということに深く傷付いています。懐かしく誇りに思えた日本が自分たちを裏切った。それは、親に捨てられた子のような感じなのでしょう。本当に哀しそうな眼で語るのです。
現代の日本人の多くが知らないこうした事実、あるいは知識として知っていても実感が湧かった事にこの映画では出会えます。そして、教育が人に及ぼす影響の大きさ深さが良く理解出来ます。登場人物が語る日本への思いは深く複雑です。沖縄の旅で感じた彼の地の先人たちの痛みと共に、日本が学校教育によってしっかりと伝えるべき事実であろうと思います。
何年か前に4泊5日の台湾旅行でガイドを務めた年配の男性は、登場人物よりも幾分下の世代かと思います。日本語が堪能で、恐らく元々台湾に住んでいた先住民の末裔かと思います。その方が、台湾東部の地で高砂族の説明をした際に、日本軍の兵士として出征し、何十年かぶりで帰還した日本人名が中村という高砂族の方の話をしました。そして、その際に南の島で日本のために戦って死んだ人々の為、墓所に祈りを捧げても良いのではないかと、ごく控えめに言っていました。その兵士の話も本作品で出てきます。
本作品は誠に地味ながら、人の心の有り様に触れ、深い感動を与えるドキュメント作品でした。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/台湾人生
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評価は4です。

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