goo blog サービス終了のお知らせ 

読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

ディーゼルエンジンの挑戦

2010年04月18日 09時49分34秒 | ■読む
鈴木孝著、三樹書房刊
著者は、1928年生まれで、東北大学工学部を卒業後、日野自動車工業(現日野自動車)に入社し、エンジンの設計・生産に励み、副社長で退社後は、京都大学工学博士を取得したそうです。
私は機械工学を専攻したため、こうしたエンジンの話が好きです。工学は理学と事なり、結果を出す事を求められるため、現実との妥協を強いられつつも、理想に一歩でも近づこうとする営みであると思います。特に著者が過ごしてきたエンジン開発の歴史は、社会の中で車が果たす役割が飛躍的に拡大する中で行われた、正に苦闘の歴史であったと思います。
さて、若い人達は、トラックの製造メーカーである日野自動車が、かつて乗用車を生産していたと聞くと驚くと思いますが、本書に登場する「コンテッサ(伯爵夫人)」という車を幼い時に見て記憶しています。ロンドン博物館の「Making of The Modern World」という展示スペースに、19世紀以降のエポック的な技術製品が展示されており、そこに、このコンテッサが展示されているのだそうです。
著者は、この車の設計にも参加していましたが、日野自動車が、事情で乗用車部門から撤退する事になり、ディーゼルエンジンの設計・生産の道を進んだのだそうです。様々な苦労話がありましたが、感心したのは、過給器(ターボ)の機能を車のエンジンに採用する際の問題点やその解決の道筋を実に分かり易く解説しています。そして、現実の実験結果をそのまま受け止めるのではなく、基本原理に立ち返り、自らの心の声に忠実に従って、最善の解決方法にいたる下りは、正しく感動的でした。
評価は3です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« グッド・シェパード | トップ | 地デジのお出まし Part 1 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

■読む」カテゴリの最新記事