読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

ソニーとアップル

2013年11月11日 06時24分01秒 | ■読む
西田宗千佳著、朝日新聞出版刊
かつてのソニーは輝いていた。格好良かった。そして、アップルも。でも格好良さの内容はかなり違いました。ソニーの製品は、他者と比べ品質が高いということが第一の魅力で、次にデザインも独自の格好良さがありました。一方のアップルは、とにかくデザインが格好良く、少し本流から外れたテイストがブランド力を高めていたように思います。
現在、アップルは「コンピュータ」をいう文字を会社名から除いて、iPone、iPadなどを収益の柱にして、全世界で圧倒的な売り上げを誇っています。一方のソニーは、ディスプレーの技術の変化の予測を誤り、収益の柱であったテレビのシュアを大きく失い、ゲーム機市場においても、絶頂期の勢いは見られない。
この対照的でありながら、どこか似たテイストを持つ二社を、本書は比較し、評価しています。曰く、アップルの少品種、超大量生産システムは、ホームランを続けないと持たない。総合家電業としてのソニーが、多分野にまたがるリソースを、有機的に統合しつつあるが、斬新な方針や製品を生み出しがたい状況にあること。要するに、アップルは非常にハイリスク、ハイリターンによる経営で、ソニーは、かつての独創の遺伝子を発揮できないまま、残り少なくなったリソースで挑戦しなければならないとしています。
最近でが、物欲を強く刺激する斬新な、あるいは独創的な製品が少ないように思います。その意味で、技術の進歩が激しい中で、技術を深めていながら、未知の地平を切り開く製品は見当たりません。そうした時代に合って、ソニーとアップルは生き残ることが出来るのでしょうか。読了して、そうした感慨を抱きました。
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評価は4です。

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