
中村うさぎ、石井政之著、平凡社新書235刊
何らかの劣等感を持たない人はいないのではないでしょうか。意識しない人はいるかもしれませんが。私も劣等感をいくつも抱えていますが、若い頃は、本当に深刻な悩みでした。年齢を重ねる毎に諦めとも悟りとも、何とも言い切れない諦観を抱くようになりました。しかし、そうした悩みは、客観的に考えれば、体したことはないものです。
本書は、自分の容姿にこだわり美容整形を受け、それを公表している中村うさぎさんと、生まれながらに、顔に大きくはっきりした痣を持つ石井政之さんの対談集です。石井さんの場合には、誰が見ても歴然とした顔の痣によって、他者の視線に脅かされ、自ら選ばなかったユニークフェースという不条理によって、苦しく暗い生い立ちをお持ちです。
一方の中村さんは、自分の顔付きが嫌で堪らず整形するに至りました。つまり、客観的に見れば中村さんの悩みは石井さんの悩みと比べれば、どうというレベルの事ではないのでした。にもかかわらず、お二人の対談から、世の人々が、客観的な観点ではなく、自身の視点から作り出してしまう劣等感や思い込みに悩まされており、それは、実は他者の視線、他者の評価という、本来、客観的に掴みようのない不確かなものに振り回されている結果であることが浮かび上がります。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/中村うさぎ
http://ja.wikipedia.org/wiki/石井政之
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また、障害者やマイノリティを表現する言葉が、様々な制約を受けている現状にあって、物事の本質を表すべき言葉が隠蔽されているという、鋭い指摘が提示されています。平明な言葉で、深い議論が交わされています。
評価は4です。
何らかの劣等感を持たない人はいないのではないでしょうか。意識しない人はいるかもしれませんが。私も劣等感をいくつも抱えていますが、若い頃は、本当に深刻な悩みでした。年齢を重ねる毎に諦めとも悟りとも、何とも言い切れない諦観を抱くようになりました。しかし、そうした悩みは、客観的に考えれば、体したことはないものです。
本書は、自分の容姿にこだわり美容整形を受け、それを公表している中村うさぎさんと、生まれながらに、顔に大きくはっきりした痣を持つ石井政之さんの対談集です。石井さんの場合には、誰が見ても歴然とした顔の痣によって、他者の視線に脅かされ、自ら選ばなかったユニークフェースという不条理によって、苦しく暗い生い立ちをお持ちです。
一方の中村さんは、自分の顔付きが嫌で堪らず整形するに至りました。つまり、客観的に見れば中村さんの悩みは石井さんの悩みと比べれば、どうというレベルの事ではないのでした。にもかかわらず、お二人の対談から、世の人々が、客観的な観点ではなく、自身の視点から作り出してしまう劣等感や思い込みに悩まされており、それは、実は他者の視線、他者の評価という、本来、客観的に掴みようのない不確かなものに振り回されている結果であることが浮かび上がります。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/中村うさぎ
http://ja.wikipedia.org/wiki/石井政之
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また、障害者やマイノリティを表現する言葉が、様々な制約を受けている現状にあって、物事の本質を表すべき言葉が隠蔽されているという、鋭い指摘が提示されています。平明な言葉で、深い議論が交わされています。
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