革新政党やサヨク市民団体で構成する「オール沖縄会議」が主催する「県民大会」は、自民、公明両党など県政野党・中立勢力が欠席し、しかも県内11市のうち9市長は不参加という歪な形の「県民大会」となった。
参加者の中にも、どこまでで“オール沖縄”の民意なのか、といった疑問の声も上がっている。
自民公明や大方の首長が参加を見合わせた理由は、大会は悲惨な事件の追悼に名を借りた、海兵隊の沖縄撤退など「反基地色」の強い決議を盛り込んだことが背景にある。
来月10日の参院選を控え、与野党対立が影を落とした形の「県民大会」となった。
大会直前の9日未明、中国軍艦が尖閣近海を侵犯する非常事態が起きたが、翁長知事は、中国海軍の尖閣侵犯に関してはひと言のコメントも発することなく、「県民大会」に参加した。
そりゃそうだろう。
「日米安保は理解する」と主張する翁長知事が「中国の脅威」を抗議した直後に「海兵隊撤去」をスローガンにする「県民大会」に参加したら、その整合性に説明責任を問われるからだ。
同大会をリードする共産党は当初、「全基地撤去」「安保反対」をスローガンに掲げる予定だったが、大会直前になっても大会への参加諾否を明言しない翁長知事を「乗せるため」(承諾させるため)、「全基地撤去」を一旦引っ込めて「海兵隊撤退」スローガンにした経緯がある。
「オール沖縄会議」は、県議選(6月5日投開票)や参院選を控えていることもあり、与野党協議がない中で「海兵隊撤退」「米軍普天間飛行場(宜野湾市)の県内移設断念」といった政治色の強いテーマが決議案に盛り込まれた。
自民党県連は「政治的催しとの誤解を与えてはならない」と反発。公明党県本部も「オール沖縄会議だけでステージをつくって、そこに乗れと言われても乗れない」(幹部)として、参加を見送り、前日の17日、独自の「追悼大会」を開いている。
大会終了後、翁長知事は「中央に党本部があるところは整合性を取らなければいけない。県民の心を一つにするのは簡単ではない」と指摘したが、出席した市民からは「政治的観点を入れるべきではない。遺族や被害者本人は『違う』と思うのではないか」と、冷ややかな声も上がった。
下記の沖縄タイムス記事に掲載されている写真を見れば、この大会が追悼に名を借りた「政治集会」であることが位置も器量全である。
沖縄タイムス 2016年6月19日 17:03 県民大会2016 米軍属暴行殺人事件 注目 事件・事故 社会・くらし
「海兵隊は撤退を」のメッセージボードを一斉に掲げる参加者=19日午後、那覇市・奥武山運動公園陸上競技場
「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾!被害者を追悼し海兵隊の撤退を求める県民大会」(主催・オール沖縄会議)が19日、那覇市の奥武山公園陸上競技場をメーン会場に開かれた。6万5千人(主催者発表)が参加し、米軍関係の事件や事故を根絶するため在沖米海兵隊の撤退などを求める決議を採択。会場は被害者への鎮魂の思いと静かな怒りに包まれ、二度と事件を繰り返させない決意を日米両政府に突き付けた。
» もうたくさんだ 坂本龍一さん【県民大会・著名人メッセージ】
翁長雄志知事も登壇し海兵隊撤退や県内移設によらない米軍普天間飛行場の閉鎖と返還について「不退転の決意をここに示す」と表明した。
海兵隊撤退は県議会が事件への抗議決議で県議会史上初めて明記し、大会決議案にも盛り込まれた。基地あるが故の事件・事故を根絶するためには根源となる基地をなくす必要があるとの考えで、米軍普天間飛行場の県内移設によらない閉鎖・返還、日米地位協定の抜本的改定を併せて要求している。
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沖縄タイムスは昨日の「政治集会」をなんとしてでも「県民大会」にしたいようで、今朝の沖縄タイムスは合計14面を使って「県民大会」の大合唱である。(やれやれ)
■一面トップ~32面トップまで一枚続き
海兵隊撤退へ
6万5000人結集
県民大会 犠牲者傷む
■二面トップ
知事「国の壁崩す」
新基地阻止へ不退転
「意志と誇り」呼びかけ
■31面(社会面)トップ
子の平和 祈り満ち
米軍犯罪「起させぬ」
沖縄タイムスの各紙面に乱舞する大見出しを見ると、沖縄タイムスは自作自演の「オール沖縄」と「県民大会」の虚像に酔い痴れているように見える。
だが冷静な第三者の目に映った「県民大会」の実態を紹介しよう。
産経新聞2016.6.19 19:04更新
沖縄県民大会「事件を政治利用するな」…事件への怒りは当然、ただ「オール沖縄」には“違和感”も
沖縄県うるま市の女性会社員(20)が元米海兵隊員の男に暴行、殺害された事件を受け、那覇市で19日、事件への抗議や米海兵隊撤退を求める県民大会が開かれた。共産党や社民党、労働組合などでつくる「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」の主催で、会場は抗議の声であふれた。一方、参院選公示を3日後に控えての大会開催に、会場外では「事件を政治利用するな」との批判も根強い。自民党、公明党の議員や、県内11市のうち9市長は参加しておらず、どこまで“オール沖縄”の民意なのか、といった声も上がっている。
「一部議員の不参加、腹が立つ」
暑い日差しの中、大会は那覇市の奥武山公園陸上競技場で午後2時から約1時間半にわたって行われた。翁長雄志(おなが・たけし)知事は「二度とこのような事件を繰り返さないと誓いながら、政治の仕組みを変えられなかったことは痛恨の極み」とあいさつ。
主催者が「県民の人権と命を守るためには、米軍基地の大幅な整理・縮小、なかでも海兵隊の撤退は急務だ」と提案した決議が、参加者の拍手で採択された。
大会に参加した那覇市内の無職男性(75)は「痛ましい事件が二度と起きないよう、全ての米軍基地撤去を求めるのは当然。政治方針の違いなどつまらない理由で一部の議員が大会に参加していないことに腹が立つ」と話した。
一方、会場の外では、大会を冷めた目で見る県民も少なくない。
「実のある抗議になるのか」
「超党派でない大会に何の意味があるのか」と語るのは、21年前の米兵少女暴行事件を受けた県民総決起大会で、当時県議会議長として実行委員長を務めた元衆院議員、嘉数知賢(かかず・ちけん)さん(75)。党派や思想を超えた当時に比べ、自公の議員や県内11市中9市長が参加しない今回は「違和感がぬぐえない。これでは本当に実のある抗議にはならない」と疑問を呈す。
政府が米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設を目指す同県名護市辺野古の青年会長、徳田真一さん(31)は「もう米軍を辞めた男の犯行。当然、人として怒りは覚えるが、事件を米軍基地の必要性につなげる意味が分からない」と話した。
基地前で謝る米兵の姿
辺野古では米軍基地前の歩道を基地反対派のテントが占拠。関係ない「原発反対」の旗を掲げたり、「お前らのためにやっている」と押しつけがましく言われることもある。「地域住民の多くが、反対派は自分たちの都合しか考えないイメージを持っている。今回も選挙前だから開いたのではと勘ぐってしまう」。
同県北谷町で、逮捕された米軍属が所属していた米軍嘉手納基地の近くに住むアルバイトの女性(18)は、事件後、多くの米兵が基地前で謝っている姿を見た。
「そんな姿には目もくれず、海兵隊撤退を求める大会は一方的。基地問題への意見は人それぞれあるのは当然で、あたかも全県民が撤去を望んでいるかのように言うのは間違い」と話した。
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>一方、参院選公示を3日後に控えての大会開催に、会場外では「事件を政治利用するな」との批判も根強い。自民党、公明党の議員や、県内11市のうち9市長は参加しておらず、どこまで“オール沖縄”の民意なのか、といった声も上がっている。
この外にも大会への招待を受けた県内41市長村の首長のうち参加を表明したのは僅かに14人だったとの情報も入っている。