2011年4月26日、文科大臣は、沖縄戦での「集団自決」をめぐる大江・岩波訴訟で軍の関与を認めた判決確定を受け、教科書検定について「(検定は)教科用図書検定調査審議会(検定審)で専門的、学術的に審議されている。これからもそうだ」と述べ、高校歴史教科書検定で「集団自決」の記述から日本軍の強制を削除する根拠となった検定意見を撤回する考えがないことを表明した。
沖縄タイムス 2011年4月27日
【東京】高木義明文部科学相は26日の閣議後会見で、沖縄戦での「集団自決(強制集団死)」をめぐる大江・岩波訴訟で軍の関与を認めた判決確定を受け、教科書検定について「(検定は)教科用図書検定調査審議会(検定審)で専門的、学術的に審議されている。これからもそうだ」と述べ、高校歴史教科書検定で「集団自決」の記述から日本軍の強制を削除する根拠となった検定意見を撤回する考えがないことを表明した。 判決確定については「私人の論争なので司法が下した判断についてコメントする立場にはない」とし、沖縄戦については「住民を巻き込み、多くの人が犠牲になった。歴史を風化させてはならず、しっかり子どもたちに教えていくことが重要だ」と語った。
今後の教科書検定に訴訟の結果が反映されるかとの問いには「検定審で客観的、学問的な成果に照らして審議されると思う」と述べるにとどめた。 歴史教科書での「集団自決」の表記をめぐっては、2007年の高校教科書検定で、同訴訟が係争中であることを主な理由として、検定審が軍の強制があったとする記述を削除するよう求める検定意見を出していた。
軍の強制を盛り込んだ「沖縄ノート」を出版し、訴訟を闘った作家の大江健三郎さんは判決確定後、「もう係争中ではない」として教科書での強制記述の復活を期待。県内でも市民団体を中心に復活を要望する声が高まっている。 誤り認めたも同然 高嶋琉大名誉教授 高木文科相の発言に、教科書問題に詳しい琉球大の高嶋伸欣名誉教授は「今さら『私人の論争』と言うなら、その裁判を根拠に強制記述を削除させた検定意見は間違っていたということを認めたも同然だ」と強調。
検定審については「事実上、文科省の原案を踏襲するだけの機関」と指摘し、「政権交代しても官僚支配の教科書行政は変わらない。検定制度から文科省を切り離さないとダメだ、という議論になる」と断じた。
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裁判で歴史を認定するはずはないし、沖縄タイムスのような偏向メディアが歴史を書き換えることは許されない。
政権交代の度に教科書の歴史記述が変わる方がおかしい。
高木文科大臣はのコメントは真っ当である。
集団自決訴訟の核心は「軍命(強制)の有無」であり、軍の関与の有無ではない。
手りゅう弾は軍の関与なしには住民の手に渡らない。
だが実際の集団自決で、大多数の人は棍棒や鍬などの農具を用いており、手りゅう弾を使用した例は稀である。
一発の手りゅう弾も使わずに家族を含む大量殺戮をおこなった金城重明氏等が好例である。
2年前、大阪高裁で敗訴した原告が上告した。
が、最高裁では事実認定はしないので、軍命(強制)の有無については大阪高裁で既に決着していた。
最高裁で確定したことは原告の名誉毀損請求の却下である。
個人の名誉毀損を裁定した最高裁は、高木文科相のいう「私人の闘争」といえなくも無い。
従って最高裁の判断を根拠に教科書に「軍命(強制)」を記述を要求するのは筋の通らない話である。
「歴史歪曲を許さない」というのが左翼の合言葉だが、数を頼んで政府に圧力をかけ、教科書記述の改竄をも目論んでいるのは他でもない彼ら左翼集団であり、2007年の「11万人集会」がその絶好の例ではないか。
⇒検定意見撤回へ動き加速 教科書検定運動関係者 琉球新報 2011年4月23日
⇒「沖縄戦の真実」教科書に 平和教育すすめる会が声明 琉球新報2011年4月26日
芥川賞作家の目取真俊氏が、昨日の琉球新報で「終わらぬ歴史歪曲運動」などと、ピンと外れのご高説を展開しているが、今回の裁判と東日本大震災や小林よしのり氏との関連を妄想するあたり、さすがは作家先生、その創作能力には感心させられる。
文末の次のくだりには、この作家の焦りが垣間見れて思わず笑ってしまった。
「・・・今回の最高裁の決定で裁判そのものは終わったとしても、裁判と同時に焦点化した問題は終わっていないことを、私達は認識する必要がある。 教科書検定意見撤回はいまだに実現されていない。」(琉球新報 4月27日)
そう、焦点化した問題、つまり「集団自決は軍の命令(強制)であると公的に認知させ、教科書に記述させる」という目論み、はいまだに実現されていない厳然たる事実に焦りを感じているらしい。
目取真氏が指摘するとおり、教科書検定意見撤回はいまだに実現されていない。
これも厳然たる事実である。
では長期にわたった、この裁判の意義は何であったのか。
原告側代理人の徳永弁護士のコメントが裁判の意義をよくあらわしている。
原告代理人・徳永信一弁護士の話
名誉棄損が認められなかったのは残念。
しかし、隊長の自決命令について高裁判決は「関与」とし、一審より控えめな事実認定。
この問題は、集団自決に梅澤さんらの隊長命令がなかったという認識が重要だった。
裁判を通して自決命令の根拠がないとの認識が国民に定着したので、意義はあったと総括している。
この裁判が始まった当初、「集団自決があったという事実そのものを教科書から削除する目的で、元軍人が起こした裁判」といった誤った認識を持つ県民も多かった。
事実「11万人集会」に参加した人にもこのような誤った認識で怒りをあらわにする県民もいた。
だが、裁判の過程で沖縄2紙の異常な歪曲・捏造報道による印象操作にも関わらず、集団自決の本質を見据える県民が増えてきたということは、徳永弁護士の指摘の通り、この裁判を起こした大きな成果だということができる。
【おまけ】
最高裁は2年前の大阪高裁判決を確定させたに過ぎない。
復習のため大阪高裁判決を解説した次の動画を御覧ください。
「沖縄集団自決訴訟」不当判決 6-1
「沖縄集団自決訴訟」不当判決 6-3
「沖縄集団自決訴訟」不当判決 6-4
「沖縄集団自決訴訟」不当判決 6-5
「沖縄集団自決訴訟」不当判決 6-6