【けぶの妄想=山さんの遺したもの=】
警視庁管内で名高い刑事だった、山村精一が殉職してから約2ケ月ほど経った。
四十九日の法要も済ませた直後のある日の朝、
七曲署の同僚だった井川利三は休暇をとって、島津公一は非番で、山村家を訪れた。
養子の息子・隆は学校に行っていたため、お手伝いのふさともう一人、かつてお手伝いだった加代子が応対に出た。
加代子は結婚を期に海外に赴いていたが、たまたま夫の用事で夫婦日本に戻った来たところで山村の訃報を知り、隆が落ち着くまで山村家に加代子だけ残っていた。
他の客が来たのでふさはその応対に出たので、加代子が仏壇に案内した。
井川と公一が順番に参る。
加代子がそれぞれに頭を下げる。
井川が「隆君はお元気ですか?」と切り出す。
「ええ、山村さんが亡くなった頃に比べると、元気になりました。」
公一が「秋元さんのところにはまだ?」と訊くと、
加代子が山村の遺影を観ながら、
「この家のかた付けが済むまではここにいるそうです。私もふささんも今月いっぱいしか居られないんで、隆ちゃんもそのころにはあちらの家に行くことになると思います。山村さんの遺志でもありましたしね。」
と云いながら、井川たちの顔を観て、
「でも、山村の姓は変えたくないそうです。それに遺品も残しておきたいんだそうです。秋元さんもそれは承知したので、どこかに預けることになると思います。ただこの家は出なければならないそうです。」
井川が「それはなぜ?」と訊ねると、
「この土地が元々山村さんのおじさんから借りていたものだったので、返さなきゃならないそうです。隆ちゃんも残念がっていましたけど・・・。」と寂しそうに加代子は答えた。
井川は「そうだったんですか・・・」と部屋を見回した。
ちょっと若い山村の遺影の横に、笑顔の妻・高子の遺影が寄りそうように置いてある。
井川は高子の事は知らない。
ただ、ボスから夫婦の深い絆を聴いていた。
それを思い出しながら少し目頭が熱くなった。
加代子が思い出したように、「みなさん今日は?」と訊ねた。
加代子は井川と顔見知りだったが、井川にはスーツの印象があった。
今日は井川も公一もラフな格好である。
井川が「いや、整理のお手伝いをしようと。特に山さんは事件関係の資料が沢山あるはずなので、そのあたりは我々が整理した方がいいと思いまして。」と切り出した。
ああ、と加代子が反応したが、続けて、
「事件資料や日記の関係は実はもうあそこに整理されているんです。」
え?っと井川と公一が加代子の指した方向を見る。
段ボールが重ねてある。
「あれは、あなたたちが整理したんですか?」と公一が訊くと、
加代子が「初七日が過ぎた頃に改めて藤堂さんと野崎さんがみえて、お二人で昨日まで整理なさってましたよ。」
井川が「ずっとですか?」と訊くと
「殆ど毎日、野崎さんの終電が間に合うまで、なにか語り合いながら整理なさってました。」と加代子が答えた。
井川と公一が顔を見合わせた。
七曲署捜査一係長・藤堂俊介と、既に警察学校に転出した元一係の野崎太郎が二人でずっと山村の私物の整理を手伝っていた。藤堂はそんなこと一言も言っていなかったが・・・。
とりあえず二人はその他の片づけものを加代子とふさと共に整理した。
ただ、それなりに片づけは進んでいたので、大体昼過ぎにはおおよその目途がついて、ふさの作ったかけそばをよばれた後、
「ごちそうさまでした・・・さて、我々はこれで御暇しようか?」と井川が腰を上げた。
加代子が「ちょっと待ってください」と慌てて家の奥に向かった。
戻ってきた加代子が何か長くて大きい袋を持って来た。
その袋を開けながら、
「実は隆ちゃんが、ネクタイだけは残しておくのが辛いそうなんです。理由は教えてくれないんですけど・・・。燃やしてしまうのも忍びないので、みなさんのようにお手伝いにみえた方にお分けしているんです。お二人も良ければ貰っていただけないでしょうか。」と加代子は袋の中に整然と整理されたネクタイを広げて見せた。
山村はかなりネクタイを持っていたはずだが、既に数本しかない。
「古いものはもう貰っていただいたので無いのですが、最近のものが数本残りました。」と加代子。
井川は、「わかりました。私たちも山さんのカタチに残るものを頂けるのは光栄です。」と、井川主導で公一と残りのネクタイを分けたが・・・一本のネクタイに手が止まり、井川が「これは・・・」と漏らした。
紺地に赤と白の細いストライプの入ったネクタイ。
山村が最後に着用していたネクタイだった。
井川と公一が見合わせていると加代子が、
「そのネクタイが一番隆ちゃんにとっては辛いそうです。無理もないのですが・・・。」
沈黙が続いた。
「これは是非、私に下さい。」
と急に静かに切り出したのは公一だった。
しばらく井川は公一の顔を見ていたが、黙って丁寧にそのネクタイを公一に渡した。
(この文章はけぶの妄想であり、実際の物語とは関係ありません。)
************************************************
なぜこのような文章を書いたかというと・・・。
#700と#701ではデュークが
#702と#703ではデュークとトシさんが、
山さんのネクタイを着用していました。
特にデュークのは山さんが#665等で着用したものと、殉職時に着用したものと両方ともお気に入りの2本でした。
山さんを尊敬していたデュークであればありうることかと。
(ただ、#699ではゲスト片岡氏や#702ではゲスト石田氏もそれぞれ着用)
去ったメンバーのネクタイや昔着用していたネクタイが後々ゲスト用になることは珍しいことではないのですが、メンバーが着用する例は少ないです。ただ、トシさんの場合は初期の三つ揃い紺スーツ時代は山さんやゴリさんのネクタイを着用していた例はありますが。
なので、今回は意図的にデュークに着用させたのではないか・・・と妄想したわけで。
いや、何となくうれしいです。
警視庁管内で名高い刑事だった、山村精一が殉職してから約2ケ月ほど経った。
四十九日の法要も済ませた直後のある日の朝、
七曲署の同僚だった井川利三は休暇をとって、島津公一は非番で、山村家を訪れた。
養子の息子・隆は学校に行っていたため、お手伝いのふさともう一人、かつてお手伝いだった加代子が応対に出た。
加代子は結婚を期に海外に赴いていたが、たまたま夫の用事で夫婦日本に戻った来たところで山村の訃報を知り、隆が落ち着くまで山村家に加代子だけ残っていた。
他の客が来たのでふさはその応対に出たので、加代子が仏壇に案内した。
井川と公一が順番に参る。
加代子がそれぞれに頭を下げる。
井川が「隆君はお元気ですか?」と切り出す。
「ええ、山村さんが亡くなった頃に比べると、元気になりました。」
公一が「秋元さんのところにはまだ?」と訊くと、
加代子が山村の遺影を観ながら、
「この家のかた付けが済むまではここにいるそうです。私もふささんも今月いっぱいしか居られないんで、隆ちゃんもそのころにはあちらの家に行くことになると思います。山村さんの遺志でもありましたしね。」
と云いながら、井川たちの顔を観て、
「でも、山村の姓は変えたくないそうです。それに遺品も残しておきたいんだそうです。秋元さんもそれは承知したので、どこかに預けることになると思います。ただこの家は出なければならないそうです。」
井川が「それはなぜ?」と訊ねると、
「この土地が元々山村さんのおじさんから借りていたものだったので、返さなきゃならないそうです。隆ちゃんも残念がっていましたけど・・・。」と寂しそうに加代子は答えた。
井川は「そうだったんですか・・・」と部屋を見回した。
ちょっと若い山村の遺影の横に、笑顔の妻・高子の遺影が寄りそうように置いてある。
井川は高子の事は知らない。
ただ、ボスから夫婦の深い絆を聴いていた。
それを思い出しながら少し目頭が熱くなった。
加代子が思い出したように、「みなさん今日は?」と訊ねた。
加代子は井川と顔見知りだったが、井川にはスーツの印象があった。
今日は井川も公一もラフな格好である。
井川が「いや、整理のお手伝いをしようと。特に山さんは事件関係の資料が沢山あるはずなので、そのあたりは我々が整理した方がいいと思いまして。」と切り出した。
ああ、と加代子が反応したが、続けて、
「事件資料や日記の関係は実はもうあそこに整理されているんです。」
え?っと井川と公一が加代子の指した方向を見る。
段ボールが重ねてある。
「あれは、あなたたちが整理したんですか?」と公一が訊くと、
加代子が「初七日が過ぎた頃に改めて藤堂さんと野崎さんがみえて、お二人で昨日まで整理なさってましたよ。」
井川が「ずっとですか?」と訊くと
「殆ど毎日、野崎さんの終電が間に合うまで、なにか語り合いながら整理なさってました。」と加代子が答えた。
井川と公一が顔を見合わせた。
七曲署捜査一係長・藤堂俊介と、既に警察学校に転出した元一係の野崎太郎が二人でずっと山村の私物の整理を手伝っていた。藤堂はそんなこと一言も言っていなかったが・・・。
とりあえず二人はその他の片づけものを加代子とふさと共に整理した。
ただ、それなりに片づけは進んでいたので、大体昼過ぎにはおおよその目途がついて、ふさの作ったかけそばをよばれた後、
「ごちそうさまでした・・・さて、我々はこれで御暇しようか?」と井川が腰を上げた。
加代子が「ちょっと待ってください」と慌てて家の奥に向かった。
戻ってきた加代子が何か長くて大きい袋を持って来た。
その袋を開けながら、
「実は隆ちゃんが、ネクタイだけは残しておくのが辛いそうなんです。理由は教えてくれないんですけど・・・。燃やしてしまうのも忍びないので、みなさんのようにお手伝いにみえた方にお分けしているんです。お二人も良ければ貰っていただけないでしょうか。」と加代子は袋の中に整然と整理されたネクタイを広げて見せた。
山村はかなりネクタイを持っていたはずだが、既に数本しかない。
「古いものはもう貰っていただいたので無いのですが、最近のものが数本残りました。」と加代子。
井川は、「わかりました。私たちも山さんのカタチに残るものを頂けるのは光栄です。」と、井川主導で公一と残りのネクタイを分けたが・・・一本のネクタイに手が止まり、井川が「これは・・・」と漏らした。
紺地に赤と白の細いストライプの入ったネクタイ。
山村が最後に着用していたネクタイだった。
井川と公一が見合わせていると加代子が、
「そのネクタイが一番隆ちゃんにとっては辛いそうです。無理もないのですが・・・。」
沈黙が続いた。
「これは是非、私に下さい。」
と急に静かに切り出したのは公一だった。
しばらく井川は公一の顔を見ていたが、黙って丁寧にそのネクタイを公一に渡した。
(この文章はけぶの妄想であり、実際の物語とは関係ありません。)
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なぜこのような文章を書いたかというと・・・。
#700と#701ではデュークが
#702と#703ではデュークとトシさんが、
山さんのネクタイを着用していました。
特にデュークのは山さんが#665等で着用したものと、殉職時に着用したものと両方ともお気に入りの2本でした。
山さんを尊敬していたデュークであればありうることかと。
(ただ、#699ではゲスト片岡氏や#702ではゲスト石田氏もそれぞれ着用)
去ったメンバーのネクタイや昔着用していたネクタイが後々ゲスト用になることは珍しいことではないのですが、メンバーが着用する例は少ないです。ただ、トシさんの場合は初期の三つ揃い紺スーツ時代は山さんやゴリさんのネクタイを着用していた例はありますが。
なので、今回は意図的にデュークに着用させたのではないか・・・と妄想したわけで。
いや、何となくうれしいです。