映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

パコの比類なき可愛らしさについて

2008-09-23 08:00:15 | 新作映画
 渓流の漁期も残り少ないので、先週の週末も桂川に行こうとしたのですが、ろくに天気予報も見てない隊長が、台風による荒天につき中止との号令なので、風も雨も無い週末ぼんやりしていても仕方ないく、前々からなるべく早めに観て置きたかった映画二本、レイトショウ・ナイトショウのハシゴをいたしました。
 
 「おくりびと」が大ヒットしてると言う。
職人監督が上手に纏め上げた分かりやすい作品です。かつて、伊丹十三が「お葬式」で見せてくれたような衝撃はありませんが、山形の美しい風景と人情味溢れる方言でのやり取りは心和むものでした。でも、アカデミーを争うのは無理でしょう。モントリオールで評価されたのも何故なのか?不思議です。

 さて、「パコと魔法の絵本」について。
一言、傑作です。わたくしが敬愛するフェリーニの世界観さえ漂っております。「下妻物語」「嫌われ松子の一生」というこれまたユニークな傑作とは、全然趣を異にした「パコ」の魅力は何なのか。原作の面白さは当然前提として、映画的に計算された映像美の素晴らしさが際立ってます。個性的な役者にそれ以上個性的なコスチュームを着け、輪を掛けるような派手な演技の妙味。
でも、わたくしが一番感心したのはパコを演じたアヤカ・ウィルソンの可愛らしさでした。彼女なしでは、大貫のクソジジイどころか、誰もパコのためにザリガニ魔人と戦おうとしなかったことでしょう。結末のオチも、彼女の比類なき可愛らしさがあったからこそ成り立ったのです。これ程はまってしまうと、次回作が難しくなりますが、あの子は永遠にパコでいいのかもしれません。

 話は全然変わりますが、BSで黒澤監督の「隠し砦」を観ました。中学生の頃観たきりでしたので、ずいぶん久し振りなのですが、この春にリメイク版を観てますのでいろいろ比較できました。と、言いますより、リメイク版はスターウォーズの作り替えですよね。そして、スターウォーズは黒沢版の作り替えそのものなのですね。良く、R2とC3POの事は言われますが、隠し砦もラストの姫様接見シーンも馬上追跡シーンもみんなルーカスはうまくパクッてます。天才は天才の凄い所が分かるんですね。感服いたしました。