サマー・ウォーズ

　前作「時をかける少女」は瑞々しい佳作として記憶に残る作品でした。何度も実写映像化されておりましたから、何ゆえに今更アニメで描くのか不思議に思ったものでしたが、大林作品よりも清々しい青春映画になってました。だからこそ今回の作品は密かに期待しておりました。
　
　監督の細田守とは、TVアニメ「デジモン」で名を売った人であるらしいのですが、高校生の長男が小さい頃良く観ていた事しかわかりません。このことを知って観ていたならそれなりの覚悟があったの筈なのに、前作の印象が強すぎてずいぶん戸惑ってしまいました。バーチャルな世界を描くのが監督の本領なのは分かりますが、一本の映画作品としては比重が高すぎて失敗してます。小学生の子供をメインターゲットにしている訳じゃないのだから（主人公は高校生なんですもの）もっとリアル世界をたっぷり描いて欲しかった。ディテールもキャラクターも大変上手に出来ているのだから、とてももったいないと感じました。リアル世界版を創ってくれたならもう一度鑑賞してみたいと思うような感性を持っている事は確かです。

　映画作品としては残念でした。