2024冬ドラマはちょっと欲張って9作も視聴している
なんだか特別な作品になりそうな予感がするドラマもあるので、これから次第だけど楽しみ
「さよならマエストロ」
いささか題名に引っかかるものがある。中盤に差し掛かるこの頃になってお腹を押さえる仕草が増えてきたのは、さよならの伏線としての意味があるのだろうか。安直な展開にして欲しくないなぁと感じつつ、最近のTBS日曜枠のあざとさならそんな安っぽい流れも仕方ないかと諦めモードになってもいるけど
西島秀俊のマエストロは然もありなんとすんなり馴染める。愛菜ちゃんのイメージと働く女性が釣り合わないが、父親に反発する面倒くさい娘はその演技力もあって真実味がある。オーケストラメンバーも安定の配置。最近気になっている久間田琳加とすぐ火の付きそうな當真あみに注目しておこう
若干心配なのは西田敏行。このところ出演作全てそうだけど、立ち演技ができないようだ
なんだか近いうちに名優を見れなくなりそうで、ちょっと痛々しく感じるし恐々ともしている
「お別れホスピタル」
同じさよならでもこちらの別れはもっと直接的なシビアさがある。終末を迎えた人々が集う病棟で働く看護師の話し
製作NHK、原作沖田✖️華と脚本安達奈緒子の組み合わせと言えばあの名作「透明なゆりかご」
あの世界観が戻ってきたのかと期待は膨らむ。ただし、基本的に生まれてくる命を迎える産院を舞台にしていたのとまるで逆だから、幸せな結末は期待しようがない
まだ一話しか観れてないのでなんとも言えないけれど、死にゆく誰にでもきっと理由がある。それは悲しいことばかりじゃなくて、生き切った満足感みたいなものが少なからずある様に思いたいし、そんな人生の終わりを温かく描いてほしい
それにしても岸井ゆきのはあの映画以降女優然とした貫禄がついた
「君がこころをくれたから」
一話といえばこの月9ドラマ、録画はしてあるのだが二話以降に期待がもてずそのままだ
永野芽郁ちゃんの主演だというのにこのままだとリタイアかな?
「春になったら」
木梨憲武と中井貴一は同級生。実はわたくしも彼らの同級生。それ故にこのドラマで余命を告げられた男親の心情に同調してしまう。自分が62歳になって感じるのは老いよりも成熟だろうか
まだ明日を信じているし、若い頃には我慢していたことには背を向けて、好きなことだけに目を向けられる図太さと開き直りを手にした。そんな人生でも一番充実した時にこの世を去らねばならないとしたらどんなに悔しいだろう。我が事のようにつまされる物語に静かな感動を覚えている。親子にとって優しい旅立ちになることを期待している
それにしても娘を演じる奈緒は本当にいい女優さんだ
「光る君へ」
源氏物語をこんな角度で大河ドラマにするのか
悪くない。直球で源氏物語をドラマにするのは全ての面で荷が重いから、紫式部に焦点を当て道長を光源氏に当てはめれば並行世界的なお話が生まれる。安っぽい民放製作じゃないので、衣装・美術・キャストに金をかけられるから重厚感があり煌びやかな平安王朝を堪能できる
吉高由里子の紫式部は今のところ絶賛できるほどのことはないけれど、あの時代に抜きん出る才能を活かせたのだからそれなりに変人だったわけで、芯の強さと天真爛漫な軽さを素で表現できる彼女ならうってつけかもしれない
今後内裏での駆け引きや、夜毎の男女の睦み合いをNHKがどこまで掘り下げられるかがポイントかな
「となりのナースエード」
お気楽なお仕事ドラマだと思っていたら、知念実希人原作だからどうやらミステリの要素もかなり濃いようだ。個人的には知念作品が苦手で本屋大賞ノミネートの常連だから図書館で借りられるものは読むようにしているのだけど、文章の相性がわたくしとは合わず退屈で仕方ない
テレビドラマなんで、映像のリズムは小説とは違うからその点で言えば今のところ楽しんで観られている。主人公の出自が序盤で明らかになり、トラウマになっていた姉の死が殺人事件に発展しそうな導入部が終わった。主人公は過去の精算を済ませ外科医に戻れるのだろうか、と言う縦糸に事件解決が上手く絡められれば面白いドラマになるかもしれない
川栄李奈って確かお子さんいたように記憶しているのだけど・・・。アイドルの時と変わらないのは凄い
「ブギウギ」
戦争を経て最愛の人を亡くし子を持つまでが今までの経過
現在の我々市井の人が一度経験すれば一生語れるような人生を、短期間でそれも若いうちにくぐり抜けて生きてゆくのって途轍もない冒険なのに、あの当時を生きた人にとってはそう珍しいことではなかったのか
お母さん譲りの歌唱力ダンス、お父さん譲りのコメディセンスと演技力。趣里はうってつけのヒロインを楽しそうに演じている。これからは戦後日本に光明を与えるハッピーな大団円を期待している
「不適切にも程がある」
こんなドラマがあるからやっぱり日本のドラマに見切りがつけられないんだ。クドカンの脚本は良し悪しの差が激しいため、必ずいつも楽しんでいるわけではないけど、当たると信じられない傑作になることがある。ウエストゲート、あまちゃん、ごめんね青春、俺の家の話・・・どれも大笑いしながらもホロリと涙ぐませたりして、寅さん映画に近いものを感じていた
きっとこのドラマも傑作の仲間入りをしてくれんじゃないかと、二話しか観ていないけどそんな予感がしてしまう。特に1986年(昭和61年)をバリバリに過ごしてきたわたくしどもの世代にはいちいち可笑しみと哀しみを味わえるのだ。車内でタバコ吸うのは当たり前だったし、会社でのコミュニケーションはパワハラ・モラハラ・セクハラ三拍子揃って成立していた。全てそれがいいなんて言わないけれど、今が全部良いわけじゃないこともこのドラマは訴えたいのかな
豪華キャストは流石クドカン。今のところ、一押しは河合優実のスケバン女子高生
「厨房のありす」
これもドラマにしやすく過去に傑作が多いレストランものだ
シェフを障がいのある若い女性にしたのは今時でもあるし、視聴率対策としても正解なんだろう。前田敦子をそんな風に使うのかとも感心する配役で、主人公ありす役の門脇麦の演技力が際立つように作られている
序盤は細かいお客さんのエピソードを挟みながら、ありす周辺に人々の回収に重点が置かれた。なぜ彼女が父母と離れて養父に育てられたのかがこれからのお話の中で語られんだろうけど、そこのあんまり興味はなくて、ありすが客のためにオリジナルレシピでもてなす料理をメインに取り扱ってもらいたい
そのことで人との関係性を築き、人間としての成長が描かれたらずっと観ていけるドラマになるだろう