宮本輝の渾身の長編第一部。
終戦直後、焼け跡にバラックが立ち並ぶ大阪から、再起をかける松坂熊吾 が主人公です。エネルギッシュで人情深く頼りになる男ですが、わがままで乱暴なところもあります。
50歳を過ぎて子がなく種なしスイカと思っていたのですが、妻の房江が男子を産みます。
戦後の混乱の中、事業を立ち上げ大きな利益を上げながら、恩知らずの友や、腹心の裏切りなどもあります。
力強い主人公も、内面は弱虫な面があり、その弱さを自覚したとき、ほんとうに大切にすべきものに気づく話でした。
第9部で完結していますので、最後まで読みたい。