みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

素数の音楽(The music of Prime)

2008年11月08日 | 
小川洋子さんの「博士の愛した数式」で、数学の美しさに目覚めて以来、気になっていたのだけど、読了。
小川さん絶賛の評そのままに、静かに興奮が打ち寄せてくる。素晴らしい内容だった。

素数=2,3,5,7,11,13,17・・・。1と自分自身でしか割れない数。これだけ科学が進歩しても、未だそのN番目の素数を表現する式は分かっていない。
謎に包まれた神秘の存在。その素数の謎に挑む天才数学者たちの熱き思い、豊かな発想、時代を越えて受け継がれる叡智のたすき、素晴らしいなあ。深い敬意を感じずにはいられない。

ピアノ的には、なにより、この素数の謎を解く手がかり「リーマン予想」が、音楽と深い結びつきがあったことが、目から鱗。
(ピタゴラスの音律→調和級数→ゼータ関数→リーマン予想、と進む)
改めて、音楽は美しい=数学は美しい=世界は美しい、と思う。

この本の核心の「リーマン予想」は、この本を読むまでは、なんじゃらほい?だったけど、数学の素養のない読者に分かるように、とても丁寧に書かれてた。豊かな表現、比喩に彩られた文章も素晴らしい。原文も素晴らしいんだろうな・・・。

本書で紹介されてた数学者たちの発想の幾つかは、とても興味深い。
たとえば、影の話。
多分、影なのだ。自分が見ていることも、認識できることも。
普段見えていることが影であったとしても、角度を変えて眺めれば、おおよその形は把握できるようになる。いろんな視点で眺めること。影だけで判断しないこと!ですね。

あと、恐いと思ったのは、インターネットのセキュリティ技術を支えるているのは素数だということ。
いつしか天才数学者によってリーマン予想が証明され、今の公開鍵暗号技術が役に立たなくなる?ネット社会、危うし?

自分の辿った数学探検ルート、「博士の愛した数式」→「世にも美しい数学入門」→「素数の音楽」は、けっこうお勧めです。

素数の音楽 (新潮クレスト・ブックス)
マーカス・デュ・ソートイ
新潮社

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博士の愛した数式 (新潮文庫)
小川 洋子
新潮社

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世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)
藤原 正彦,小川 洋子
筑摩書房

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コメント (2)
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