
澄みわたった空に通りがかりの家々に金木犀がうかがえる。あの小さな花のどこに強い香りを秘めているのだろうと思う。白っぽい木犀を見たことがある、銀木犀だろうか。秋を印象付ける花のひとつだ。
マレーシアの工場へ出向した知人が「地域がら果物には不自由しないがひとつだけ手に入らない果物」と教えてくれたのは柿だった。その季節になると、柿の甘みのあるほどよい食べごろのものが無性に懐かしくなる、と話し「柿は日本の果物である」と言いながらデザートのそれをひとりで食べていた。
もうひとつ秋の果物には栗がある。柿とともに日本を代表する果物だ。あのトゲのどこに美味しさの秘密があるのか不思議だ。市内の産地では出荷が最盛期を向かえている。台風の被害も無く生産量は多く、茹でた栗のように生産者の気持ちはホカホカという。
1個100円近くなので「今年は無花果のジャム作りを半分にした」と不満そうに話す知人。スーパーに並ぶそれは小ぶりで1パック数個ほどで400円近くする。子どものころに食べたものは自分たちの拳くらいあったように思う。
裏通りにある高いブロック塀越に毎年ざくろが姿を見せる。ざくろも秋の果物のひとつ。原産地のペルシャから中国経由で長崎に渡来したそうだ。渡来と関係ないかも知れないが小さなルビー色の粒は綺麗だが食べると酸味が強くあまり美味しいとは思わない。今年の実は少し大きい。熟れて裂けるまでにはもう少しかかる。
(写真:道路を見下ろすざくろの実)