
絵画展、会場に入ったとたんそこに並んだ絵の何れもが迎え入れてくれるような感覚を何故か覚えた。一点ごと鑑賞していくうちに初めの感覚がぼんやりとではあるが分かった。
「二人展」、それは姉妹の油絵展で「日々の暮らしに少しの潤いをお届けできれば・・・」との思いから開かれたことが挨拶にある。この展覧会開催はOさんから紹介されていた。Oさん宅の応接間で作品を拝見したり作品の質の高さを聞いていたりで、楽しみに待っていた。
展示作品は80号や100号という大作が並ぶ。入ってすぐ右の土壁の絵にまず見入った。城下町ならでは残っていた風景、幾度となく眺めたり写真を撮ったことのある同じ場所だとすぐに分かった。あの土壁、今は取り壊され見られなくなったこともあり、岩国のあるときを偲ばせる貴重な作品だと思う。
絵に素人な者のひとり言として書いてみる。生活感ただよう風景やそこに働く人物が、特別な強調を強いることなく切り取られていてる。それが作者の上手さだと思う。尾道の港風景には長く見入った。大作でありながら隅々まで繊細なタッチで描かれているところに引き込まれる。
描かれているのに、目の前に現存しているかのような写実的な手法、こうした絵はいつまでも見飽きないし疲れない。午後のひととき、いい時間が過ごせた。