「健さん」の愛称で親しまれていた文化勲章受章俳優の「高倉 健」さんは、11月10日に悪性リンパ腫のため東京都内の病院で死去、83歳だった。18日に事務所から発表され、映画フアンならずとも驚き哀しみご冥福を祈った。それは日本だけでなく世界の映画フアンも同じだった。11月10日は森繁久彌、森光子の命日でありともに文化勲章受章者というのは何かの縁だろうか。
多くの関係者が高倉 健の人柄や俳優、画面とは違う一面など多く紹介されている。そんな中で映画評論家の佐藤忠雄という方が、高倉 健の演技について「歌舞伎の辛抱立役(しんぼうたちやく)系の演技術を映画で完成した俳優」と書いている。辛抱立役とは、「対立する権力者や敵の意地悪なやり方に耐えに耐え、軽はずみな動きをする若者などを抑えながら、最後に見事な決断で正義を行う、真に実力のある男の役である。任侠映画シリーズで、彼はそういう役を完成させた」。
任侠映画が去った後、その役柄で築いた風格が以後の映画での役柄の土台になったという。それは、「おとなしく善良な庶民の本当の男らしさを演じた」ことが証明するという。出演した映画205本のうちいく本観たか記憶にないが、北海道旅行の時わざわざ網走へ足を延ばしたのは「網走番外地シリーズ」の影響を受けてのことだった。
重厚無口、こうした俳優の後継が出ないのか発掘されないのか分からないが、役柄や演技で見せるドラマが少ない。そのためか、最近は大河ドラマしかりであるが、制作意図を公開前に繰り返し宣伝し先入観を持たせているように感じる。制作意図が作品に込められ、それを見たものが受けとれて始めて作品といえるのだろう。出演者の名前と作品の完成度は別と思う。静かにご冥福を祈る。(写真はネットより)。