毎日、1000件以上のアクセス、4000件以上の閲覧がある情報発信ブログ。花や有機農業・野菜作り、市民運動、行政訴訟など
てらまち・ねっと



 一週間前の1月29日に日本銀行が「マイナス金利」という政策を決定した。
 ≪日銀がマイナス金利導入を決定、日本で史上初≫(TBS 1月29日)等と報道されていた。

 賛否両論というより否定的意見が多い印象だったので、先日、少し調べてみた。
     (2月2日 ⇒◆日銀・市場の魔術師、黒田総裁/預金者を罰するマイナス金利とは/未知領域・期待と不透明感

 前記TBSは、★≪「預金の利息収入が入らないので、銀行に預ける部分をやめて、タンス預金で(収入が)減る部分を抑えようとしないか、そこが最大のリスク」≫としていた。

 その後、2月3日に日経が★≪普通預金に企業から口座手数料 三菱UFJ銀検討≫と報道した。
 それを受けてか、2月3日 j-castは、★≪銀行が預金を「拒否」する時代が来る 「マイナス金利」が招く異常事態≫とした。
 産経は、★≪“マイナス金利ショック!” 銀行が直面する「苦難の道」≫

 分かりやすかったのは、共同の★≪知識ゼロでもわかる【経済用語】 難解な最新トピックスがスラスラわかる!!≫
 ≪「弾詰まり」だった黒田バズーカ/・・日銀は日銀当座預金に振り込まれたお金を銀行が引き出して企業や個人などへの融資に回し、これによって経済活動が活性化され、デフレ解消が実現されることを期待した。だが、振り込まれたお金の多くは日銀当座預金に留まったまま、その残高だけが増える結果となっていた。
 これに業を煮やした日銀が打ち出したのがマイナス金利だった。「罰金を科す!」と脅しをかけたわけだ。今度こそデフレという怪物を倒そうするものだったのだ。
・・・ 預金から手数料を徴収するという驚きの金融政策であるマイナス金利だが、黒田バズーカが火を噴くとは考えにくい状況なのである。≫

 ライブドアニュースは、★≪日銀マイナス金利 効果はあるが“短期的な劇薬”≫としている。

 東洋経済オンライン 2月4日は★≪マイナス金利なのに、早くも株価下落の理由 株式市場の反応は、なぜネガティブなのか≫
 ≪むしろ、政策導入後の2日目に相当する2日には早くも株価が下落するなど、過去2回の緩和策では考えられないほど、市場の反応はネガティブである。特に為替相場が円安になっていない。・・・3月決算を控え、このまま円高・株安を放置すれば、夏の参院選へのネガティブな影響は不可避となる。とにかく、115円のような円高水準にならないように、政府が考えた最善の策がマイナス金利の導入だったのだろう。しかし、現実には円高圧力は解消されていない。原油価格の急落で株安傾向が再び強まる可能性があり、リスク回避先である円に資金が向かいやすくなっている。≫

 なんとなく、状況への理解が進んだ印象。

人気ブログランキング = 今、1位
人気ブログランキング参加中。気に入っていただけたら ↓1日1回クリックを↓
 ★携帯でも クリック可にしました →→ 携帯でまずここをクリックし、次に出てくる「リンク先に移動」をクリックして頂くだけで「10点」 ←←
 ★パソコンは こちらをクリックしてください →→←←このワン・クリックだけで10点

●日銀がマイナス金利導入を決定、日本で史上初
         TBS 1月29日
 年明けから世界経済への不安が続いている中、日銀は29日、日本で史上初のマイナス金利の導入という追加の金融緩和策を決めました。お金を預けても、金利を逆に払わなくてはならないというマイナス金利。黒田バズーカ第3弾の狙いはどこにあるのでしょうか。

 午後0時半すぎ、市場が大きく揺れました。平均株価は、その出来事が伝わると一気に600円近く値上がり、また下落に転じるなど、乱高下しました。

 「マイナス(金利)ですか」(投資家)
 日銀が日本史上初めてのマイナス金利導入を決めたからです。

 「デフレマインドからの脱却に対して、マイナスの影響を及ぼすおそれが高まっている」(日本銀行 黒田東彦総裁)

 マイナス金利、どういうことなのでしょうか。銀行は通常、一定量のお金を日銀に預けています。日銀は、一定額を超えた部分には銀行に利子を0.1%分払っていますが、この利子の一部をマイナス0.1%にするというのです。すると、銀行は、日銀にお金を預けるだけで損をしてしまうため、お金を預けることを控え、個人や企業に積極的に貸し出すようになり、個人は住宅や株式に投資し、企業は設備投資を増やすだろうという目論見です。

 デフレ脱却の目的で、日銀はこれまで、国債を大量に買い入れ、市場へのお金の増やす量的緩和で物価の上昇を図ってきましたが、29日で物価上昇の目標を達成する時期を3回後ろ倒ししました。これまでの金融政策の限界を指摘する声もある中で・・・

 「量・質・金利といった3つの次元で緩和手段を駆使することで金融緩和を進める。従来の量的・質的金融緩和の限界を示すものではない」(日本銀行 黒田東彦総裁)

 一方で、銀行の預金の金利が下がるため、消費を冷やす可能性もあると専門家は指摘します。

 「預金の利息収入が入らないので、銀行に預ける部分をやめて、タンス預金で(収入が)減る部分を抑えようとしないか、そこが最大のリスク」(ニッセイ基礎研究所 矢嶋康次チーフエコノミスト)

 黒田バズーカ第3弾、デフレ脱却の出口は、いつ見えてくるのでしょうか。

●普通預金に企業から口座手数料 三菱UFJ銀検討
     日経 2016/2/3
 三菱東京UFJ銀行は日銀のマイナス金利政策への対応として、大企業などの普通預金に口座手数料を導入することを検討する。手数料の水準によっては事実上のマイナス金利になる可能性がある。中小企業や個人に対しては定期預金の金利引き下げを検討し、口座手数料の導入は見送る。今後ほかのメガバンクも同様の取り組みで追随する可能性がある。

●預金金利下げ続々 「マイナス金利」余波が早くも庶民に
        日刊ゲンダイ 2016年2月4日
 日銀の「マイナス金利政策」導入の余波が早くも庶民生活に広がってきた。

「横浜銀行」(神奈川)や「八十二銀行」(長野)の両地方銀行は1日から、1年以下の定期預金の金利を0.005%下げ、普通預金と同じ年0.020%にした。「りそな銀行」も2~5年物の定期預金の金利を0.005~0.025%引き下げ、年0.025%に設定。ネット専業の「ソニー銀行」も普通預金の金利を年0.020%から年0.001%と大幅に引き下げた。

 いずれも16日から始まる「マイナス金利政策」で長期金利が下落したのを受けた対応だが、「ソニー銀行」を例にみると、100万円を普通預金で1年間預けていても、利息はたった10円しかならないことになる。

 他の大手行も今後、足並みを揃えてくるとみられるが、マイナス金利による減収分を庶民の預金で穴埋め――と考えているようで許せない。

●銀行が預金を「拒否」する時代が来る 「マイナス金利」が招く異常事態
         j-cast 2016/2/3
日本銀行がマイナス金利政策を発表したことで、銀行の預金口座にかかる「口座維持手数料」の導入に注目が集まっている。

日銀が2016年1月29日に決定したマイナス金利政策は、2月16日以降、銀行が日銀にお金を預けた場合、年0.1%の金利を支払わなければならない仕組み。銀行の収益力の低下につながるため、預金者にも応分の負担を転嫁しようということのようだ。

日経「三菱UFJ、口座維持手数料検討」報道の衝撃
口座維持手数料は、米銀などで導入されているクレジットカードの決済などに使う預金口座に対する管理手数料で、預金残高に応じて手数料水準を決めたり、免除したりする。シティバンクなどでは手数料を徴収する代わりに、ATMの利用手数料などが無料になっている。

そんな口座維持手数料を、三菱東京UFJ銀行が大企業などの普通預金に導入することを検討すると、日本経済新聞(2016年2月3日付)が報じた。個人や中小企業の預金は対象外だが、預金での利息収入よりも手数料が高くなれば事実上のマイナス金利、つまり預金をして銀行に金を払うことになる。銀行にとっては、預金の受け入れを抑える狙いがあり、他のメガバンクも追随する可能性も指摘している。

この報道に、三菱東京UFJ銀行は「当行から公表したものではありません。また、(口座維持手数料の導入について)検討もしていません」と、否定する。

同行の預金残高は約156兆円(連結ベース、2015年12月末)。このうち、法人等預金は約46兆円で、15年9月末と比べて約1兆円減らした。ただ、預金全体では1.6兆円増えており、日銀の当座預金への預け入れを増やせば、収益力は低下する。預金の受け入れを抑えたいと判断してもおかしくない状況になってきた。

とはいえ、その現実味はあるのだろうか――。銀行にとって、預金口座は相手先企業と関係を維持する有力なツール。まして普通預金は、普通であれば、誰でも簡単に口座がつくれて、低いながらも金利が付くので、企業側にも負担はない、両者にとって「便利」な口座だ。
収益低下で銀行同士のにらみあいが続く

しかし、口座維持手数料を取られるとなると、企業側は安易に口座を開設しないし、メインバンク以外に保有している預金口座は解約するかもしれない。企業側が銀行との取引をしぼる可能性が高まることになる。

外資系金融機関での勤務経験がある、金融アナリストの小田切尚登氏は「法人取引には決済性預金を扱う当座預金もありますが、それだと与信枠が必要になるのでどんな企業でもつくれるというわけではありません。中小企業や個人とのあいだでは取引できないので、結局、普通預金口座を残さなければならない場合が出てくると思います。大企業取引でも(導入は)なかなか難しいと思いますよ」と話す。

さらに、「日本では、銀行は電気や水道と同じように社会インフラとみなされていますから、必要以上に高い手数料を徴収しようとなると、間違いなく批判にさらされます。市場原理からいえば、正しいのですが...」という。

そうなると、口座維持手数料を導入した銀行から、導入していない銀行への預金シフトが生じる懸念もある。銀行同士がにらみ合い、預金者への負担転嫁は難しいかもしれない。

ちなみに、すでにマイナス金利を導入している欧州連合(EU)域内の銀行でも、預金金利へのマイナス金利の適用や口座維持手数料の導入はあまり例がないという。
深刻な地方銀行から預金を減らし始める?

じつは、国内でも口座維持手数料を取っていた銀行はある。インターネット専業のジャパンネット銀行は2012年7月まで、月額180円(税別)を徴収していたが、現在は無料。三菱東京UFJ銀行も、インターネットバンキングの利用者向けの「スーパー普通口座」で徴収していたことがある。「総合的な判断」から現在は廃止したが、2009年6月までは残高10万円以下の預金者に月額300円(税別)の手数料がかかっていた。

また、2015年11月1日にシティバンク銀行のリテール事業を統合して発足したSMBC信託銀行プレスティアは、現在も、取引残高など一定の条件を満していないと、月額2000円(税別)を口座維持手数料として徴収している。

一方、経済学者で慶応大教授の池尾和人氏は、2016年1月29日付の言論プラットフォーム「アゴラ」で、「マイナス金利政策により予想されること」と題して、「銀行が預金者に負担を転嫁。これまで徴収していなかった口座維持手数料をとるようにするなどのかたちで、預金金利をマイナスにする」と、言及している。

メガバンクに目が向くなか、むしろマイナス金利の影響が深刻なのは、預金が過剰に集まっている地方銀行や信用金庫。池尾氏もツイッター(2011年2月19日付)で、「私も最近、日本の(とくに地方)銀行は(例えば、口座維持手数料の導入などで)預金を減らす勇気をもつべきではないかと考えるようになりました。『希望を捨てる勇気』ならぬ、『預金を捨てる勇気』。」と語り、銀行が預金を受け入れすぎているとみているようだ。

預金は運用しなければ銀行はコスト倒れになってしまう。前出の小田切氏も「導入するのであれば、地方銀行からの可能性が高い」とみている。

銀行の規模縮小は免れないが、預金を減らしてでも運用リスクを下げることが必要になってきたというわけだ。

そうした中で、日銀の黒田東彦総裁は2016年2月3日、東京都内で開かれた講演会で、導入を決めたマイナス金利について、「必要な場合、さらに金利の引き下げを行う」と述べ、マイナス幅の拡大による追加金融緩和を辞さない考えを示した。


実行されれば、銀行の収益力はますます低下する。

●“マイナス金利ショック!” 銀行が直面する「苦難の道」
      産経 2016.2.3
 日銀が1月29日の金融政策決定会合で、新たな金融緩和策として「マイナス金利」を打ち出した。各銀行は相次いで預金金利を引き下げ、金利低下に拍車がかかっている。預金と貸し出しの金利差(利ざや)の縮小で経営を圧迫されている銀行が、さらに苦境に立たされる恐れも出てきた。

 低金利時代が長く続き、銀行が集めた預金を企業などへの貸し出しに回しても十分な収益を得ることは難しくなっている。各行は市場での資金運用や、事業の成長性を評価する“目利き”ができる人材育成などに取り組み、地方金融機関は他府県への進出、再編に乗り出している。

 そんな中、安定的な収益が見込めると注目されているのが富裕層を中心とする個人の資産運用サービスだ。特に関西は、1世帯当たりの金融資産保有額が全国的にも多く、各行は大阪や神戸などの都市圏で営業態勢を強化している。

 りそな銀は1月12日、リニューアルオープンした神戸支店に、ほぼ年中無休で住宅ローンのほか資産運用、相続・遺言などの相談に応じる「セブンデイズプラザKOBE」を開設した。りそな銀の池田博之副社長は「神戸に多い富裕層の多様なニーズにワンストップで対応できる」と強調した。

そうした中でのマイナス金利。国債利回りが一時0・050%と過去最低を記録したことから、国債などで運用する投資信託商品の新規販売を中止する金融機関も出てきた。銀行はまたも試練を迎えている。

 ある関西の銀行関係者は「日銀が期待するように、企業の資金需要が盛り上がってくれればいいのだが」と複雑な表情で語った。これまで好業績をあげてきた企業経営者が先行きに自信を持てるようになってこそ、低金利も生きてくる。(牛島要平)

●知識ゼロでもわかる【経済用語】 難解な最新トピックスがスラスラわかる!!
      共同 2016/02/03 07:30
 今回は、「マイナス金利」、「日銀当座預金」、「量的・質的金融緩和」を取り上げる。
 2016年1月29日、日本銀行は金融政策決定会合を開き、「マイナス金利」の導入を決定した。このニュースを受けて株式市場や外国為替市場は激しく変動し、新聞やテレビも大きく伝えることになった。

マイナス金利が適用されるのは、民間の金融機関が日銀に開設している日銀当座預金。お金を預けていたら手数料を取られるという金融政策は、日本のみならず世界中に大きな衝撃を与えることとなったのだ。

■「弾詰まり」だった黒田バズーカ
 デフレは日本経済を覆いつくしている「怪物」で、これを打ち倒すために展開されてきたのが、お金という「砲弾」を大量に打ち込む量的・質的金融緩和だった。黒田東彦総裁の下、2013年4月から始められた量的・質的金融緩和は、「黒田バズーカ」と呼ばれるほど強力なもの。その第1弾は「マネタリーベースを2年間で2倍にする」というもので、2014年10月31日には「マネタリーベースを年間80兆円増やす」という第2弾が決定された。

 マネタリーベースは、日銀が供給するお金の量で、流通現金(紙幣+硬貨)と日銀当座預金の合計だ。日銀当座預金は民間金融機関が日銀に開設している口座で、日銀が供給するお金はまずここに振り込まれ、これが引き出されて融資などに回されて行く。流通現金は簡単に増やせないことから、量的・質的金融緩和は、日銀当座預金に大量のお金を振り込むことで行われて行く。黒田日銀総裁は、日銀当座預金というバズーカ砲に、2度にわたってお金という砲弾を大量に装填させたわけだ。

 ところが、砲弾は思ったようには発射されなかった。日銀は日銀当座預金に振り込まれたお金を銀行が引き出して企業や個人などへの融資に回し、これによって経済活動が活性化され、デフレ解消が実現されることを期待した。だが、日本経済には大きな資金需要は見られず、振り込まれたお金の多くは日銀当座預金に留まったまま、その残高だけが増える結果となっていた。日銀が装填した大量の砲弾はほとんど発射されず、バズーカ砲は「弾詰まり」になっていたのだ。

 これに業を煮やした日銀が打ち出したのがマイナス金利だった。従来、日銀当座預金の残高には0.1%の利息が付いていた。日銀から供給された砲弾を持っているだけで利益が得られたのだ。こうしたことから日銀は方針を転換し、日銀当座預金にマイナス金利を設定し、「発射しなければ罰金を科す!」と脅しをかけたわけだ。


 マイナス金利はすでに実施されている量的・質的金融緩和の効果を高めるためのもので、日銀が今回の決定を「マイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入」としていることがそれを物語っている。黒田バズーカの第3弾とされるマイナス金利は、2度の量的・質的金融緩和で「弾詰まり」を起こしているバズーカ砲を一気に発射させて、今度こそデフレという怪物を倒そうするものだったのだ。

■黒田バズーカは火を噴くのか?
 日銀のマイナス金利導入に、銀行は腹を立てている。企業は設備投資などに慎重であり、新たな資金需要は乏しいのが現状だ。資金需要があるのは、経営が悪化して資金繰りが苦しい企業が多く、融資しても融資が焦げ付く恐れがあり、その場合に発生した損失は銀行が負うことになる。

 こうした実情を無視して、頼んでもいないのに大量のお金を日銀当座預金に振り込み、「使わなければマイナス金利という罰金だ!」と迫るのはあまりに身勝手であり、銀行の収益を圧迫するのは確実な情勢だ。
 今回のマイナス金利の適用範囲は限定的で、マイナス幅も0.1%とわずかだ。したがって、銀行が即座に大量のお金を引き出すとは考えにくく、「バズーカ砲が炸裂!」とはなりそうにない。

 また、マイナス金利の導入で、ある程度のお金が流れ出したとしても、その行き先は融資などではなく、投機資金となって株式市場や外国為替市場になる可能性がある。デフレという怪物を退治するために発射された砲弾は、予定の軌道を外れて、株価を歪めたり、ファンダメンタルズからかけ離れた円安をもたらしたりする恐れがあるのだ。

 物価上昇率2%との目標をなんとしても達成したい黒田日銀総裁。預金から手数料を徴収するという驚きの金融政策であるマイナス金利だが、弾詰まりが即座に解消されて黒田バズーカが火を噴くとは考えにくい状況なのである。
記事/玉手 義朗
1958年生まれ。外資系金融機関での外為ディーラーを経て、現在はテレビ局勤務。著書に『円相場の内幕』(集英社)、『経済入門』(ダイヤモンド社)がある。

●岡山大学の釣雅雄准教授が解説/日銀マイナス金利 効果はあるが“短期的な劇薬”
     ライブドアニュース THE PAGE  2016年2月3日
 日銀が「マイナス金利」を導入しました。インフレ率(物価上昇)目標2%を達成する狙いとされていますが、日本経済の活性化にどのような影響や効果があるのか。マクロ経済が専門の岡山大学経済学部准教授・釣雅雄氏に寄稿してもらいました。

異次元緩和「第二ステージ」
・・・・・・・・・(略)・・・以上、今回の「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」についてみてきましたが、これは短期的な劇薬と考えるべきです。長期的な経済成長には何ら寄与しません。そもそも、金利がかなり低くなってから行われるような投資は、投資の利潤率も低いはずで、そのような利潤率の低い投資が増えても、長期の成長率を押し上げることはできません。

 私は、今回の政策に効果が出るとしても、現在の雇用環境の改善傾向や、原油安によるコスト減少があるので、このような政策は必要なかったのではないかと思います。日銀はインフレ目標を達成する必要はあるかもしれませんが、原油安などを踏まえて、2%に到達しなくても、この程度の幅なら許容しても良かった のではないかと考えます。

●マイナス金利なのに、早くも株価下落の理由 株式市場の反応は、なぜネガティブなのか
     東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 2016年02月04日江守 哲 :エモリキャピタルマネジメント代表取締役
 2月3日の日経平均株価は、原油安や円高を背景に下落した(写真:AP/アフロ)
日本株が再び急落している。マイナス金利の導入で円安・株高への期待が高まったが、政策発表後の2日には早くも株価が下落に転じるなど、その効果に対して懐疑的な見方が増えつつある。日本株は主要企業が収益を輸出に頼っている以上、円安にならない限り、株価が上昇に向かうのは難しい。しかし、マイナス金利が米国の金利低下を招き、結果的にドル安・円高につながるリスクがありそうだ。

前回の本欄では「今、株価が上昇する理由は見当たらない」とし、日銀が政策を打てず、株価は下げていくとの見方を示した。しかし、日銀金融政策決定会合の結果は「マイナス金利導入」であった。筆者の想定はものの見事に外れた。この日、株価は乱高下したものの、政策導入に対する一定の評価から上昇し、海外市場でもこれを材料に株価が大幅上昇した。

マイナス金利の中身については、すでにさまざまなところで解説されているため、本欄では政策自体の説明を省略するが、問題はこの政策の今後の市場への真の影響である。今回の日銀の政策を「黒田バズーカ第3弾」と呼ぶかどうかは別として、市場へのインパクトは残念ながら、過去2回の量的緩和策とは比較にならないほど小さいものである。

米国債利回り低下も円高要因に
むしろ、政策導入後の2日目に相当する2日には早くも株価が下落するなど、過去2回の緩和策では考えられないほど、市場の反応はネガティブである。特に為替相場が円安になっていない。これは、市場にとって、もっといえば日銀にとって大いなるサプライズであろう。ただし、今回の政策で日銀が狙っていたものは「円安・株高」ではないだろう。この政策自体、「新三本の矢」を打ち出した以降、安倍政権がこれを放棄している可能性が高いからである。

とはいえ、3月決算を控え、このまま円高・株安を放置すれば、夏の参院選へのネガティブな影響は不可避となる。とにかく、115円のような円高水準にならないように、政府が考えた最善の策がマイナス金利の導入だったのだろう。しかし、現実には円高圧力は解消されていない。原油価格の急落で株安傾向が再び強まる可能性があり、リスク回避先である円に資金が向かいやすくなっている。


また米国債の利回りの低下もドルの押し下げにつながっている。米10年債利回りは9カ月超ぶり低水準の1.8%台にまで低下したが、まさに皮肉な展開にある。日本の金利が低下する中、投資家は外債など利回りが高い投資商品へ資金を振り向けようとするだろう。ただし、為替リスクを取りたくないため、為替ヘッジを行う可能性が高い。

結果的に米国債が買われ、利回りが低下することで米国債と日本国債の利回り差が縮小し、これがドル円の下押し圧力につながるといった構図になりつつある。為替はヘッジするため、円売りが出ず、円安圧力にはならない。米国債の利回りの方が低下余地は大きいため、現在の金利水準を起点にすれば利回り差は縮小し、ドル円は下げやすい。

日米の実質金利差からみたドル円の適正レベルは、長期で112~113円程度だが、2012年以降では103円程度となる。102円程度までの円高の可能性を本欄で指摘してきた筆者の見方は、金利面から十分に説明可能ということになる。

1万9000円以上は期待できない
バリュエーション面でも状況はきわめて厳しい。今期の日経平均株価採用銘柄の最新の予想EPSは約1170円である。平均的なPERを15倍とすると、適正株価は1万7550円となる。割高の16倍に買われたとしても1万8720円である。つまり、1万9000円以上は期待できないということになる。

一方、14倍にまで売られた場合には、1万6380円まで下げることになる。さらに13倍にまでオーバーシュートした場合、1万5210円まで下落することになる。前述のように、ドル円が円高に向かえば、来期以降の収益見通しも下方修正され、株価の上値は抑制されることになるだろう。

このように、円安をテコにした株高は期待しづらい環境にある。いずれはPER14倍の1万6380円から13倍の1万5210円までの下げを覚悟する必要があろう。ただし、当面はレンジでの推移を想定している。というのも、マイナス金利導入の影響を見極めたいとする投資家が売りを手控え、急落は避けられる可能性がある。しかし、結局は円安にならないことがわかれば、投資家も上値を買い上げることはできない。徐々に手仕舞い売りが膨らみ、来期の業績見通しの下方修正も加わり、下落に向かうだろう。

5日には1月の米雇用統計が発表される。FRB関係者は「世界の金融市場の混乱が利上げ見送りの理由にはならない」としている。今後は米国経済指標の軟調さが鮮明になれば、これが利上げ見送りにつながり、ドル安・円高基調がさらに強まるだろう。円高が日本株の売り材料になることはいうまでもない。マイナス金利の導入に一瞬慌てたが、いまのところ、長期的な方針を変更する必要はなさそうである。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )