●質問番号2番 家庭排水処理の方式や予算について 答弁者 市長
公共下水道や農業集落排水のような集合処理では、処理施設の維持管理に莫大な財政負担が必要であることを、誰もが認める時代になっている。実際に、下水道事業は、全国の自治体財政を圧迫している。しかも、全国的に、急激な人口減が予想される中で、長大な公共物の建設、維持の是非は、重大な判断をすべき案件である。家庭排水処理の方式や予算をどうするかは、重要な課題だ。
山県市においては、「高富・富岡地区の公共下水計画」が完了するのは2年後の2018(H30)年の予定であり、残るは美山地区だけとなる。
2009(H21)年12月議会での私の一般質問と当時の副市長の答弁の要点は次のようである。
高富・伊自良地区に投資してきた金額をみると、集合処理(公共下水、農業集落排水=高富と伊自良の全域)の対象地域の市民22000人約7000世帯に対して約230億円の投資がある(利子分を除く)。
旧美山町は、1994(H6)年に「下水道基本構想」を策定した。次に、自治体合併前の2003(H15)年にできた「基本計画」では、2つの大きな処理区域で「集合処理」する人口は6割、その事業費は約71億円、他地域の人口4割は合併処理浄化槽で概算事業費約10億、これらを合わせて約81億円を見込んでいる。
私が、「計画を見直すのが現実的」と指摘したところ、市は再検討する旨を示し、「集合処理人口が0割で合併浄化槽人口が10割、このようなこともありうる」とまで答弁した。
美山地区の合併浄化槽の普及率が約30%であることを前提に質問する。
1.若い世代が住むには、水洗トイレはいまや不可欠であり、対策が急がれる。
美山地区の計画の再検討状況はどのようか。
年次的に、今後の予定、実際の事業着手の見込みはどのようか。
2. 自治体合併前を含めて、家庭排水処理に市がいくら支出してきたかを市の提供のデータ、H21年議会の答弁等から整理したのが、この質問に添付した別表である。
市の投資(支出)してきた額を、その地区の「1世帯当」でみると、
伊自良の集落排水は「約450万円」、赤尾、梅原、大桑、桜尾の集落排水は「平均で約370万円」、高富・富岡の公共下水は「約270万円」と概算できる。
これに対して、美山地区を合併浄化槽で進めれば、「1世帯当約50万円」で済むことになる。
従来より、合併浄化槽については、希望があれば申請してもらって、補助金を交付するという極めて受動的、消極的な姿勢が伴う制度で整備してきた。今後、もし「美山地区はこの制度を継続する」
となれば、伊自良や高富地区で莫大な市の公金を投資して整備したことに比べて、無策に近い政策といわざるを得ない。3町村が合併して、「美山地区」への行政サービスが薄くなっている、という声が少なくない中、あまりに露骨な政策判断と批判されるだろう。
この点、そしてこの格差のおそれについて、市長の見解はどのようか。
3. 伊自良や高富地区が、美山地区を合併浄化槽で整備した場合の5倍から9倍程度の大部分をすでに支出したのだから、美山地区についても相当程度の額をかけて「合併浄化槽」を進めるべきだと私は考える。しかも、より速やかな整備完了させる計画が不可欠だ。
他県を見ると、合併浄化槽を個人任せではなく、市町村が設置し、維持管理していく方式も展開されている。事業は、公共下水道などと同じ考え方で、申請者の方から浄化槽設置工事の一部を工事分担金としておさめてもらって合併浄化槽を設置、合併浄化槽は市の所有であるから、使用者から使用料をいただいて維持管理(点検・清掃・法定検査)を市が行う公営企業方式など、である。
さらに、合併処理浄化槽の維持管理の徹底のために、市町村直営ではなく、民間のノウハウや資金力を活用した「PFI」手法を導入する自治体もある。
維持管理について、市の直営とするか民営とするかはともかく、市町村設置方式とした場合の費用はどれくらいと想定できるか。
無策に近い「合併浄化槽設置を個人任せにする」のでなく、先の方式などを「見直しの基本方向」と認識すべきではないか。 以上
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