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てらまち・ねっと



 昨日のブログでは、外国の絡みで成り立つ国内経済のことを見た。今日は、日本政府が外国との関係で政策を決定せざるを得ないことなどで、結局何もできないことを整理してみたい。外国の報道から3つをブログにとどめた。

 ところで、12年目になった私のブログ、gooブログからの今朝の通知「4月12日のアクセス数 閲覧数 5.123 訪問者数 1.904」だった。
 小雨なので、ノルディックウォークはお休み。昨夕から二人の幼児を緊急にあずかった。

●円高阻止、介入以外に手立て無しか/日銀の緩和政策をよそに円高・ドル安が続いている/ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2016年4月11日
 ≪円相場が先週の取引で1年5カ月ぶりの円高・ドル安水準を更新したことを受け、世界中のトレーダーは一つの大きな問題について考え込んでいる。いったい円高はどこまで進むのかという問題だ。答えは経済だけでなく、それと同じくらい政治にも関係しているようだ。
・・・ だが今回は、日本の当局内では円売り介入に踏み切れば米国から反発を受けかねないとの懸念がある。安倍晋三首相が米国との摩擦を避けたいという意図を反映している可能性が高い。
 日本当局が介入をためらう理由として、米大統領選に向けた候補者選びでそれぞれ首位を走る共和党のドナルド・トランプ氏と民主党のヒラリー・クリントン前国務長官がいずれも事実上、日本を為替操作国とみなしていることに加え、環太平洋経済連携協定(TPP)が貿易で優位に立つ目的で自国通貨安を誘導しないことを参加国に求めていることなどを挙げた。
 アナリストらによると、日本主催による主要7カ国(G7)首脳会合(サミット)を5月に控えていることもおそらく当局が二の足を踏む理由だろう。
 さらに大幅な円高が進まない限り日銀は介入しないとの意見がある。100円を割らない限り考えにくいものの、80円や90円まで円高が進めばあり得る。≫

●「円高阻止メニュー」に期待高まらず、介入や緩和の副作用に警戒/ロイター 2016年 04月 11日
 ≪週明けの東京市場で円高・株安が、再びじわりと進んでいる。「海外勢による円買いや日本株売りが止まらない」(大手証券トレーダー)という。為替介入や金融緩和など「円高阻止メニュー」の効果には、副作用もあるとされ、市場の期待感は高まっていない。
・・・4月27─28日の日銀決定会合で、マイナス金利幅を拡大させたとしても、銀行株が下落すれば、この2カ月間の東京市場でみられたように、リスクオフからの日本株売り・円買いが進む可能性がある。
<膨らむ円買いポジション、短期的には介入効果も>日本の政府幹部は、円高に対して警戒感を強めている。今週14─15日にはワシントンでG20財務相・中銀総裁会議が開かれるが、為替介入に踏み切れば、波風が立つ。G20間のきしみは、リスク回避の円高材料にされやすい。
あとは、米利上げ期待という「春一番」が吹くのを期待するくらいしかない。円高の裏側でドル安が進む中、米経済の基調を今週から始まる米企業決算発表で見極めることになりそうだ。≫

●アベノミクス行き詰まり招く労働市場の問題/「アベノミクス」に手詰まり感、首相は労働市場改革に注力 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版/2016年4月8日
 ≪安倍氏の経済政策「アベノミクス」が打ち出されてから3年。ただ、成長率と物価上昇率がともにゼロ近辺にとどまるなど、アベノミクスは行き詰まり感を示している。この主な原因となっているのが労働市場だ。ここを起点に一連の本質的な問題―賃金上昇率の鈍さ、生産性と投資の低さ、そして未婚率の高さと出生率の低さ―が生まれている。
 1990年代のバブル崩壊以降、企業はより柔軟に雇用や解雇ができる方法を模索し、これが非正規社員への依存を強めるようになった。
 正社員を保護することで非正規社員が拡大した。事業環境が悪化した時に解雇しやすい労働者の雇用を企業が増やしたためだ。
 非正規社員という不安定な地位と低賃金が結婚相手としての魅力を低下させ、これが人口減少という問題につながっている。政府統計によると、非正規社員の30代男性のうち、昨年結婚したのはわずか27%だった。一方、正社員の30代男性は66%に上った。
・・
 安倍氏は全国民が働く必要性を訴えている。同氏が首相に返り咲いてから3年で労働参加率は上昇し、失業率は20年ぶりの水準まで下げたが、こうした数値は根本的な弱さを覆い隠している。実際には安倍政権下で正社員の数は減少し、非正規社員の割合は過去最高に達したのだ。・・世帯主の収入が減る中、パート職に就く既婚女性や60歳超の高齢者の増加が、労働参加率の上昇の大部分に貢献してきた。≫

 詳しくは、ブログの以下に記録。

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●円高阻止、介入以外に手立て無しか/日銀の緩和政策をよそに円高・ドル安が続いている
     ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2016年4月11日
 円相場が先週の取引で1年5カ月ぶりの円高・ドル安水準を更新したことを受け、世界中のトレーダーは一つの大きな問題について考え込んでいる。いったい円高はどこまで進むのかという問題だ。

 答えは経済だけでなく、それと同じくらい政治にも関係しているようだ。


 円は7日の海外市場で107円66銭をつけ、2014年10月27日(107円58銭)以来の高値を記録した。円のドルに対する年初来上昇率は約11%に達し、アジアの主要通貨の中で首位に立つ。

 2013年から積極的な金融緩和を進めてきた日本銀行が16年1月に初めてマイナス金利政策を導入したにもかかわらず、円高の勢いは止まる気配がない。


 こうした円の底堅さの主因は、日銀の緩和政策が生む円安圧力よりもさまざまな海外要因による円高圧力の方が大きいことにある。年初には中国株や人民元の急落を発端に世界同時株安が起き、欧州銀行部門の健全性に対する懸念も広がったことで、投資家は伝統的な安全逃避先通貨である円に殺到した。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ姿勢後退による最近のドル安基調も円高につながっている。

 ストラテジストらは相次いで2016年の円相場の見通しを円高・ドル安方向に修正しており、日本政府・日銀が直接の市場介入に踏み切らない限り足元の円高は止まらないとの見方も多い。


 JPモルガン・チェース銀行のチーフFXストラテジスト、棚瀬順哉氏は、介入を決める上で政治的判断が最も重要な要因となると指摘した。同氏は現在、年内に103円まで円高・ドル安が進むと予想している。年初時点では110円までの円高を見込んでいた。

 政府・日銀はかつては介入も辞さなかった。最も最近に行われた介入は、2011年の東日本大震災直後の円売り介入だ。このときは震災後の日本経済の回復を妨げかねない急激な円高を阻止することが狙いだった。

 だが今回は、日本の当局内では円売り介入に踏み切れば米国から反発を受けかねないとの懸念がある。安倍晋三首相が5日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、「為替市場への恣意(しい)的な介入」や「通貨安競争」を控えるべきだとの認識を示したことについて、事情を知るある関係者は8日、米国との摩擦を避けたいという意図を反映している可能性が高いと指摘した。

 この関係者は日本当局が介入をためらう理由として、米大統領選に向けた候補者選びでそれぞれ首位を走る共和党のドナルド・トランプ氏と民主党のヒラリー・クリントン前国務長官がいずれも事実上、日本を為替操作国とみなしていることに加え、環太平洋経済連携協定(TPP)が貿易で優位に立つ目的で自国通貨安を誘導しないことを参加国に求めていることなどを挙げた。

 アナリストらによると、日本主催による主要7カ国(G7)首脳会合(サミット)を5月に控えていることもおそらく当局が二の足を踏む理由だろう。3月には20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が通貨の競争的切り下げを回避することで合意したばかりだ。

 一部では、さらに大幅な円高が進まない限り日銀は介入しないとの意見がある。三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ為替ストラテジスト、植野大作氏は介入の可能性について、100円を割らない限り考えにくいものの、80円や90円まで円高が進めばあり得るとしている。

 オーストラリア・ニュージーランド銀行は、日本の貿易黒字の急増を理由に、16年末までに1ドル=105円、17年初頭には100円前後をつけると予想している。同行のシニア外為ストラテジスト、アイリーン・チャン氏は「マイナス金利政策や日銀関係者のハト派的発言がもたらす円安誘導効果には限界があるかもしれない、というのが当行の見方だ」と述べた。

●「円高阻止メニュー」に期待高まらず、介入や緩和の副作用に警戒
            ロイター 2016年 04月 11日
[東京 11日 ロイター] - 週明けの東京市場で円高・株安が、再びじわりと進んでいる。特段のリスクオフ材料が出たわけではないが、「海外勢による円買いや日本株売りが止まらない」(大手証券トレーダー)という。為替介入や金融緩和など「円高阻止メニュー」の効果には、副作用もあるとされ、市場の期待感は高まっていない。

<マイナス金利、イタリア株を押し下げ>
年初からの主要株価指数が、日本より下げている国がある。同じG7国であるイタリアだ。

同国の主要株価FTSE・MIB指数.FTMIBの前週末8日までの下落率は18.27%。上海総合指数.SSECの15.6%や日経平均.N225の16.8%を上回りG20でみてもワーストパフォーマンスとなっている。

下げの中心は銀行株。イタリアの銀行が抱える不良債権は、約3600億ユーロと同国の国内総生産(GDP)の5分の1に相当する水準となっている。ぜい弱な財務体質のイタリア民間銀行に対し、マイナス金利拡大による悪影響が懸念されているのが、株安の背景だ。

前週7日は、ドラギ総裁を含む3人の欧州中央銀行(ECB)幹部が追加金融緩和への意欲を示したことで、市場心理が悪化。「イタリアの銀行株を中心に欧州株全体へリスクオフの株安が広がった」(野村証券・投資情報部エクイティ・マーケット・ストラテジストの村山誠氏)という。

マイナス金利政策の経済効果は、国際決済銀行(BIS)が懸念を示す一方、国際通貨基金(IMF)が支持するなど見方が定まっていない。長期的にプラス効果をもたらす可能性もある。しかし、少なくとも、現時点の金融市場においては厳しい反応だ。

日本の民間銀行の不良債権比率は、大手行で1.1%、地域銀行で2.4%(ともに2014年度、日銀金融システムレポート)と低い。財務体質はイタリアの銀行よりも強固だが、日銀が1月末にマイナス金利を導入した後、日本の銀行株は収益悪化の懸念から大きく下落した。

4月27─28日の日銀決定会合で、マイナス金利幅を拡大させたとしても、銀行株が下落すれば、この2カ月間の東京市場でみられたように、リスクオフからの日本株売り・円買いが進む可能性がある。

<日銀外債購入は「裏口介入」との批判も>
マイナス金利拡大以外の金融緩和策に対しても、市場における円高阻止の期待は高まっていない。


国債購入額の増額は、マネタリーベースの拡大を通じて、これまでのアベノミクス相場では円安材料として受け止められてきた。しかし、日銀が購入できる国債に需給的な余地は、もはや乏しいとして「限界論」が台頭すれば逆効果だ。

ETF(上場投資信託)の購入額を増やせば、株高効果は期待できる。リスクオンの円売り、もしくは日本株買いの為替ヘッジによる円売りが円高を阻止するかもしれない。

しかし、それも「官製相場」との批判を浴びかねない。人為的に株価を押し上げても、企業業績が追随しなければ、いずれ歪みは修正され、円売りも巻き戻される。


日銀による外債購入はどうか。「為替政策を所管する財務省が、為替介入に類似するとして反対する公算が大きい。さらに、国際的にも、為替の『裏口介入』ではないかと批判も出やすい」とみずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏はみる。

外債に連動したETFなどを購入することも可能だ。しかし、東証に上場している外債ETFはまだ6本。アナウンスメント効果を除くと効果は薄い。

<膨らむ円買いポジション、短期的には介入効果も>
日本の政府幹部は、円高に対して警戒感を強めている。 菅義偉官房長官は9日、ロイターとのインタビューに対し、外国為替市場で一時1ドル107円台の円高水準を付けたことに関し、偏った動きには「日本として対策をやる用意がある」と述べた。

円安方向への反転エネルギーは溜まっている。IMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(4月5日までの1週間)によると、円の買い越しは6万0073枚。6万枚は、アベノミクス相場はもちろん、09年以降の円高局面を含めても最大規模の水準だ。

市場では「円ロングが溜まった局面で、介入すれば、それなりの効果は期待できる。G20でスムージング介入まで排除されているわけではない」(国内証券)との見方は多い。UBS証券・ウェルス・マネジメント部・最高投資責任者の中窪文男氏は「ドル/円は日本の単独介入であっても1回目は、3、4円程度吹き上がる可能性がある」とみる。

しかし、スムージング介入にしても、日本当局は、1週間内に4円上昇した前週の円高局面でさえ円売り介入を実施しなかった。緩やかに円高が進む局面では、介入の大義名分は立てにくい。

今週14─15日にはワシントンでG20財務相・中銀総裁会議が開かれるが、為替介入に踏み切れば、波風が立つ。G20間のきしみは、リスク回避の円高材料にされやすい。

あとは、米利上げ期待という「春一番」が吹くのを期待するくらいしかない。円高の裏側でドル安が進む中、米経済の基調を今週から始まる米企業決算発表で見極めることになりそうだ。(伊賀大記 編集:田巻一彦)

●アベノミクス行き詰まり招く労働市場の問題/「アベノミクス」に手詰まり感、首相は労働市場改革に注力
   ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2016年4月8日
 【東京】マツシタ・ケイさん(32)の苦労は、安倍晋三首相が労働市場に目を向ける理由だけでなく、労働市場が日本経済の足かせになっている状況を浮き彫りにしている。

 マツシタさんは同世代の多くの人と同じように結婚して、子どもをもうけようと思っている。つまり、安倍氏が推進する「一億総活躍社会」の市民の1人になろうと考えているのだ。ただ、マツシタさんはまだ両親と一緒に住んでいる。

 2007年に経済学の学位を取得したマツシタさんは、卒業以来、一度も正社員の職に就いたことがない。いまや有望な正社員候補ではなく、一生賃金の低い非正規社員のままかもしれないという未来に直面している。

 安倍氏の経済政策「アベノミクス」が打ち出されてから3年。ただ、成長率と物価上昇率がともにゼロ近辺にとどまるなど、アベノミクスは行き詰まり感を示している。この主な原因となっているのが労働市場だ。ここを起点に一連の本質的な問題―賃金上昇率の鈍さ、生産性と投資の低さ、そして未婚率の高さと出生率の低さ―が生まれている。

 安倍氏は今週、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで「働き方の改革は次の3年の最大のチャレンジになると思う」とし、「(労働市場の改革が)日本が持続的に成長していく鍵になるだろうと思っている」と語った。

 安倍氏は非正規で働く労働者の賃上げ幅を拡大させ、「同一労働同一賃金」の実現を目指すと述べた。同氏は仕事と子育て・介護を両立させなければならない、女性を中心とした労働者の支援を積極化させている。こうしたイニシアチブには保育所や介護施設の数を増やし、育児休業を取得しやすくするといった対策が含まれる。

 1990年代のバブル崩壊以降、企業はより柔軟に雇用や解雇ができる方法を模索し、これが非正規社員への依存を強めるようになった。過剰な生産能力と負債を抱えた「日本株式会社」は人員をカットするか賃金をカットするかという選択に直面し、後者を選んだ。ここに映し出されているのは、日本の大企業は雇用を保障する責任を持つ「公共機関」だという見方だ。

★労働市場での非正規労働者の割合の推移
 ★ 2014年度の年齢別基本給(青は正社員、黄は非正規社員)



左は労働市場での非正規労働者の割合の推移。右は2014年度の年齢別基本給(青は正社員、黄は非正規社員)
 正社員を保護することで非正規社員が拡大した。事業環境が悪化した時に解雇しやすい労働者の雇用を企業が増やしたためだ。

 現在も正社員には実質的な終身雇用が保障されている。いまや非管理職従業員の38%を占める非正規労働者は、正社員と同じ仕事をしていても、正社員よりはるかに低い賃金しかもらえない。非正規社員は正式な訓練をほとんど受けず、労働組合の保護をあまり受けられず、配属が頻繁に変わり、正社員によって昇進の道がふさがれている。


 「オリエンタル・エコノミスト・リポート」のリチャード・カッツ編集長は、「非正規の仕事にしか就けなければ、30代になるころには魅力的な従業員ではなくなる」と話した。

 これはマツシタさんが置かれている状況だ。同氏は「日本では新卒カードが強い。そこで失敗すると非正規に甘んじることになる」と話した。マツシタさんは現在も正社員の職を探している。

 非正規社員という不安定な地位と低賃金が結婚相手としての魅力を低下させ、これが人口減少という問題につながっている。政府統計によると、非正規社員の30代男性のうち、昨年結婚したのはわずか27%だった。一方、正社員の30代男性は66%に上った。

 経済協力開発機構(OECD)経済局の日本・韓国課長で、チーフエコノミストのランダル・ジョーンズ氏は、労働市場の二極化を改革することが、日本にとって最も重要な課題のひとつだと指摘。これは労働生産性にとっての大きな障害で、現在の日本の潜在成長率を非常に低くしている主因だと述べた。OECD加盟国の中で、日本の労働生産性は下位に位置している。

 ジョーンズ氏によると、正社員を手厚く保護することで有望企業への人材や資金の流れが制限されている。そして、必要な人材確保ができないため、革新的な新興企業はベンチャー資金を呼び込むのに苦戦しているという。


 安倍氏はかねてから賃上げの重要性を強調してきたが、当初は労働市場の二極化にあまり注意を払ってこなかった。むしろ、企業の利益を押し上げて賃上げを促す金融緩和などの政策に重点を置いていた。ただ今年は、日本銀行によるマイナス金利導入にかかわらず景気低迷が続くなか、安倍氏は政策の方向を転換させた。
・・・・・・・(略)・・・
 安倍氏の指示で招集された専門家による検討会が3月にスタートした。ここでは労働市場が賃金に与える影響が審議されるほか、必要な労働法の改正についての進言がまとめられる。安倍内閣は5月にも同一賃金の実現に向けたガイドラインを明らかにする見通しだ。また、安倍氏はインタビューで「非正規という言葉をなくしていこうと思う」とも述べた。

 一方、多くの人が抜本改革の実現に懐疑的だ。かねてからビジネス界の幹部らは正社員を解雇しやすくするべきだと主張してきたが、安倍氏の同一賃金へのこだわりには警戒感を示す。同一賃金は現在の法律ですでに求められているが、実施されることはまれだ。企業幹部らによると、これを実施するには負担が大きいという。

 経済同友会の雇用・労働市場委員会を率いる橘・フクシマ・咲江氏は、「正社員が最も良くて企業は決して誰も解雇すべきではない」など、日本は労働と労使関係について心の持ち方を変える必要があると指摘。労働者には生産性と成果に応じて賃金が支払われるべきで、正社員よりも高い賃金をもらう非正規社員がいてもいいと述べた。

 安倍氏が同一賃金の実現を目指していることについて、フクシマ氏は「(安倍氏が)そこに意識を持ち、是正しようとする努力は素晴らしいことだと思う。ただ是正の仕方を間違えると、今度は逆に正規の人(の賃金)を下げて、こちら(別の人)に払おうということになる」と語った。

 安倍氏は全国民が働く必要性を訴えている。同氏が首相に返り咲いてから3年で労働参加率は上昇し、失業率は20年ぶりの水準まで下げたが、こうした数値は根本的な弱さを覆い隠している。実際には安倍政権下で正社員の数は減少し、非正規社員の割合は過去最高に達したのだ。


 ゴールドマン・サックスが1月に発表したリポートによると、世帯主の収入が減る中、パート職に就く既婚女性や60歳超の高齢者の増加が、労働参加率の上昇の大部分に貢献してきた。

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