フェロシルトの愛知県の見解の問題、愛知県知事の会見、四日市工場の搬入台数などの大幅増に住民の皆さんの同意が得られたこと、石原産業が九州で処分場を契約したこと(たった3万トン?)を発表、工場内の仮置き場のさらなる拡張(たった5万~6万トン分?)を明らかにしたことなど、まとめて紹介します。
● 公開質問状
先日、愛知でダイオキシンやフェロシルト問題など広範に取り組む吉川さんの選挙が無事済んで、お会いしました。
先日来、フェロシルトを「掘り出して袋詰めしたら撤去」だという愛知県の見解が 報道 (5月8日ブログ) されています。当然、この話題も。
吉川さんも愛知県庁に電話したら、職員が変なこといっているから「明日」県庁へ行ってくるとのこと。
そこで、撤去命令を出した愛知県が、「袋詰めしたら撤去」と判断して、その後の放置を県が実際に容認したら、「石原産業を命令違反で告発する、愛知県も行政不作為等で訴える」、そう伝えてくださいとお願いしました。
吉川さんは、問題点を質問状として提出されました。さすが。
詳しいことは、吉川さんの5月10日のブログ 「フェロシルト問題」、愛知県へ公開質問状を提出
【質問事項】
1.新聞報道の「掘り起こした時点で撤去済み」は、愛知県が廃棄物処理法に則って解釈されたものか。そうであれば、法的根拠を示す判例や資料、事例等の文献を示して頂きたい。
2.「掘り起こした時点で撤去済み」という法解釈がまかり通れば、産業廃棄物の過剰保管や不法投棄問題の解決を困難にするのは、誰もが想定できることであり、産業廃棄物「フェロシルト」のみ、特別の解釈で廃棄物処理法を運用することはできない。今後、フェロシルト以外で撤去命令を出した場合も、掘り起こした時点で撤去済みとの解釈をされるのか。
【要望事項】
1.愛知県は、自ら出した措置命令に従い、全量撤去の方針を貫くこと。
2、「撤去」の解釈を見直し、告発も含めた厳しい態度で臨むこと。
質問事項・要望事項について、5月17日までに文書にてご回答頂きたい。
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● 「野積み 撤去といえぬ」愛知県知事 指摘受け修正
5月16日朝日新聞 (写真をクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)
六価クロムを含む土壌埋め戻し材「フエロシルト」が愛知県内の埋設地で掘り出された後、袋詰めのまま野積みされている問題について、同県の神田知事は15日の記者会見で、「袋詰めで現場に置いている状況は、本来的な撤去ではない」と述べ、現場から搬出せず野積みしたままでは撤去完了とはいえないとの見方を示した。これまで県は「掘り出した時点で撤去」としてきたが、市民団体などの指摘を受けて、事実上、修正した。
また、神田知事は「問題は、搬出する条件として、それをどこへ持っていくか、持ち込み先、処分場の確保だ」と述べ、フエロシルトの製造元で撤去を命じられている石原産業(大阪市)に対して、搬出や処分方法について改めて考えをただす方針を明らかにした。
県資源循環推進課によると、県内で袋詰めのまま野積みされているフエロシルトは、長久手町前熊地区に約5500トン、瀬戸市北丘町に約1360トンある。
●1.フェロシルトの全量撤去に向けた今後の見通しについて
愛知県知事 定例会見から / 平成18年4月17日(月)午前11時
【記者】 フェロシルトの撤去問題ですが、長久手町及びまだ期限が来ていない瀬戸市の撤去に係る今後の見通しは。
【知事】 愛知県は、判明しているところがこれまで箇所数で14カ所、今までに撤去が完了したところが10カ所。したがって、進行中のものも含めて4カ所が残っているという形になります。特に問題になっておりますのが、長久手町とそれから瀬戸市の2カ所。
まず、長久手町ですけれども、これは埋設量が、石原産業が最初に調べた数値と大幅に違って増え・・・いろいろ課題がございました・・・今月中に撤去の目鼻が一応ついたということであります。
その背景としては、一つは、トラックで搬出する場合に、石原産業の四日市工場の方へ運び込む。この運び込みにあたっては、地元との協議で、そのトラックの台数など地元の同意、了解を得なければなりませんが、これもいろいろと交渉、折衝していただいて、大幅な増車ということが地元理解を得たということでございます。
それから、袋詰めにして、それを船で運ぶ、別の処分場へ運ぶということについても、現地でのその作業の体制を強化して、速やかな撤去を実施するという。
それから、瀬戸市の方でありますけれども、1カ所は北丘地区でありますが、これは撤去にはかかっておりますけれども、まだまだこれからというところも残っております。
それから、同じ瀬戸市の幡中地区でありますけれども、これは膨大な量であります。一番心配な場所でもあります。
【記者】 4月中に長久手町の方は目鼻がついたとおっしゃったということは、ほぼ撤去が完了するであろうということですか。
【知事】 そういう計画書で、トラック、搬出車両の増車ですね。それから、バック詰めの体制の強化。これが確実に行われていけば4月中に完了するという計画は出ております。
【記者】 幡中地区に関しては、先週末、地元の瀬戸市が中心になって撤去の検討会議というのを行いました。その中で、専門家からは撤去に伴うリスク、周辺への影響ということを考えた方がよい。それよりも、現状のままにしておくということに問題なければ、そういったことも検討材料には挙がってくるのではないかと。
もし、そのままにしておくとなると、県はあくまでも全量撤去ということで命令を出していて、そちらとの兼ね合いでどうなのか、あくまでも県としてはやっぱり全量撤去を求めるという考えは変わらないのでしょうか。
【知事】 フェロシルトが産業廃棄物と、私どもはそのように認定をし、現にあそこの場所に埋設されているわけです。ですから、もとの状況にきちんと復元するというのは基本的な考え方だと思います。そのためには、やっぱり撤去を求めていくというのが、今も県の指導の方向としては変わっておりません。
お話のように、4月15日に、瀬戸市が中心となり、学識者も入った中で検討会が開かれた。その中で、いろいろ議論があったようでありますけれども、まだ具体的な方向や結論めいたことまでは行っていないようであります。そこでやっぱり議論になったのは、膨大な量でありますので、これを搬出するということになれば、1日1,000台単位の車両の行き来が行われていくわけでありますから、環境に与える影響ですね、あるいは地域住民の健康などに対する影響など心配なさいましてね、そのほかの方法があるのか、専門的な立場でもいろいろご議論いただけるということであります。
県の現在の考え方、立場としては、あくまでも撤去。撤去するためには、一番最善の方法は何があるのか、どういう方法がいいのか、あるいは地域に対する影響をどう少なくするのか、その辺りが課題だろうと思っております。
【記者】 この先、例えばまた守れないということになった場合に、県がとれる方法というのは何があるのでしょうか。
【知事】 もちろん、命令を出して、それに対して違反があれば、法的には、それに対して処分というか告発といいますか、そういうことを求めることもできます。ですから、対応が不十分で怠慢があるとか、特に悪質だというようなことになれば、そういうことも考えなければならないケースがあろうと思います。
● 5.フェロシルトの撤去について
愛知県知事 定例会見から /平成18年5月1日(月)午前11時
【記者】 今後の見通しについてお聞きできますか。
【知事】 袋詰めのものについては、現地にまだ置いてある状況でございます。残っている状況でございます。これについては、埋め立てたものを掘り起こして、それで現場の土壌からなくなったという意味では完了いたしましたが、袋詰めのものについては現地に梱包して残っているという状況でございます。
これは当然運び出すわけでございますけれども、会社の方は、基本的には九州の方へ船でそれを運ぶという予定でございまして、今、輸送関係の法手続などを進めているところでございます。
●石原産業 福岡の処分場と契約 フェロシルト 搬入量は3万トン
朝日新聞 2006年05月10日 (リンク切れが早い)
石原産業(大阪市)の土壌埋め戻し材「フェロシルト」の撤去が遅れている問題で、同社が福岡県内の民間最終処分場と3万トンを運び入れる契約を結んだことを同社の安藤正義常務が9日、三重県に報告した。
県庁を訪れた安藤常務によると、今月に入って契約は結んだものの運搬の認可などの手続きが済んでいないという。また、運び出しの時期や方法、どこの現場のフェロシルトを運び入れるかなどは決まっていないという。
県は今後も処分場の確保を進めるよう同社に指導を強める方針で、安藤常務は「四日市工場内の一時保管施設も、さらに5万~6万トン分広げる準備を進めている」と話した。
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