がんばれ柏崎!
日々のつらさから逃げ出して、何回か関越自動車道をひた走り、冬の日本海を見に柏崎に行ったものだ。いくつものスキー場を通り越して、武石トンネルを抜けてしばらく走るとと、暗く立ち込めた日本海が見えてきた。あの頃のぼくを支えてくれた。がんばれ柏崎!
頭が痛い
旧ソ連諜報(ちょうほう)機関「国家保安委員会(KGB)」の後継機関である露連邦保安局(FSB)の元中佐アレクサンドル・リトビネンコ氏(43)の不審死事件は、ウランの100億倍の比放射能を有する放射性物質「ポロニウム210」を用いた旧ソ連政府による暗殺と噂されている。ポロニウムは、計算上わずか47ng(1億分の4.7グラム)で50%致死線量(4 Sv)の被曝を受けることになる。リトビネンコ氏の身体からはその2倍以上の量のポロニウムが見つかったという。氏は何らかの形で気化したポロニウムを吸った可能性があるとされ、同席者や従業員、警官からもポロニウムが検出されたことも報道されていた。
このポロニウムは銀灰色の放射性金属で、ウランやトリウムが崩壊する過程で生成され、地殻中に極微量存在する。1898年にキューリー夫人は、塊状の閃ウラン鉱(UO2)を化学処理して金属イオンを分離して行き、ビスマスが濃縮している分離物から強い放射線を放出する金属を分離して、それをポロニウムと名付けた。この元素名は、キューリー夫人の母国ポーランドに因んだものだ。
ポロニウム210の半減期は138日で短いために、1グラムのポロニウム210の放射能強度は1,700兆ベクレル(1.7×10^14ベクレル)に達する。体内に摂取すると、アルファ線による被曝が起こる。亡くなる前のリトビネンコ氏は、頬もこけ、髪も抜け落ちていた。その症状は、放射線障害によるものだ。
このポロニウム、実はふつうのタバコにも含まれていることで話題になっている。
2006.12.1発行のニューヨーク・タイムズには、
「喫煙者はたばこ1本吸うたびに、平均0.04ピコキューリーのポロニウムを吸っていること」
「初期の原爆に使われた核物質の何千倍もの放射能があること」
「1日に1箱半のたばこを吸う喫煙者は、年300回も胸部にX線をあびた被ばく量に等しい」
という内容の記事が掲載されている。どうやら、土壌や空中に存在するポロニウム210、ラドン222といった放射性物質がタバコの葉に取り込まれるようだ。1日に20~30本を喫煙することによって、気管支上皮細胞が年間8~9レム被爆するらしい。胸部X線写真1枚の被爆量は0.03レムなので、喫煙者は年間にして胸部X線写真300枚分の放射線を被爆することになる。1979年米国スリーマイル島での原発事故で、周辺住宅地域での被爆量は0.0015レム。これを毎日浴びたとして年間0.5レムなので、喫煙による放射能被爆はとんでもない量ということになる。
土壌のポロニウムがタバコの葉に取り込まれるのなら、タバコの葉を栽培し続ける事で、土壌のポロニウムが浄化されそうなものだ。しかし、ここ30年ぐらいの間のタバコに含まれるポロニウムの量には大きな変化はないようだ。もちろん、ポロニウムを含有するのはタバコだけではなく、ほかの植物にも含まれていて、食物連鎖により蓄積量は増大する。その濃度(Bq/kgDM)210Po[ベクレル:壊変毎分(1分間に崩壊する放射性核種の数)毎キログラム] を比較すると以下のようになる。
陸上植物:8~12。可食野菜:0.04~110。哺乳動物の筋肉:0.07~130。哺乳動物の骨:1~55,000。海藻:4~170。海水魚:0.3~1000。
これを見る限り、タバコよりも海水魚を摂取する方がリスクが高いようだ。ただ、タバコと肺がんの関係を疑う人はいないと思うが、肺がんにはポロニウムも関係しているといって間違いはないだろう。問題なのは、この事実を知らされていないのが、日本の消費者、日本の喫煙者だけであることだ。FSBの陰謀であろうか。
そして、食物連鎖について言えば、連鎖の頂上に立つ人を、特に弱者を食い物にしているどこかの国の役人や政治家どもは、放射性核種の濃縮によりガンで早期に亡くなって然りと思うのだが、現実はそうはならない。
これを思うと、私は頭が痛い。
で、こんな感じでハイジさんの質問に答えさせていただきました。ハイジさんがもし、2006年11月1日前後に犯行現場とされるロンドン・ミレニアムホテルには滞在されていれば、ポロニウム210の被ばくに巻き込まれた可能性があります。FSBの連中にはくれぐれもご注意ください。(ハイジ様宛て私信)