NBCニュースで、オリンピックの歴史家ジェレミー・フックスは「完全に幸せなオリンピックは一度もなかった」と言っている。今回のTokyo2020については、
“But this much controversy I think is really unprecedented,” Fuchs said. “I think you’d be hard-pressed to find an example in history where citizens of a host country are this unhappy.”
「しかし、これほど多くの論争は本当に前例のないことだと思う。ホスト国の市民がこれほど不幸であるという歴史の例を見つけるのは難しい」
と語った。
トーマス・バッハ会長が語ったようにパンデミックの中で開催されたこの大会は、『全世界が通っているこの暗いトンネルの終わりの光』となるはずだった。
しかし、オリンピックの負の側面が浮き出された大会となり、選手村のバブルも崩壊し、いくつかの違反事例が生まれ、選手も含めた五輪関係者の新型コロナの感染者数も437人に至った。
「緊急事態宣言」下にある東京都の新規感染者数は増加、5日連続で4000人を超えた。組織委員会の武藤事務総長は「五輪とは関係ない」とコメントした。
パンデミックの中で、迷走に迷走を重ねた日本。その根本にある「病理」は太平洋戦争を避けられなかった当時から変わっていない。80年前と今を比較するのはナンセンスという意見もあるが、事態の推移を考えるとこの類似性を否定するのは難しい。
あの戦争で、日本は何を失ったのか?最盛期には800万人を超える兵力を動員し、途方もない額の戦費を使い、国力を限界まで傾け、持てる人的資源、物的資源を注ぎ込む。日本は多くの人命を失っただけでなく、多くの財産が無に帰され、官民の在外資産、海外領土を喪失した。
コロナ関連予算のうち約3割がまだ使われないままだ。新型コロナウイルスに対処するため、補正予算で総額で70兆円以上の金額を確保した。ところが実際に使われたのは50兆円程度。残りはオリンピックの赤字に補填される。オリンピックによる経済の牽引にかけた政府の完敗だ。
財政出動というのはただお金を支出すればそれで効果が得られるというものではない。コロナ関連予算の場合には、まずは困窮した生活者支援が最優先事項だ。日本はお金の「使い方」をもっと真剣に考える必要がある。
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